間奏 NB1rd No,1
俺は夢を見ていた。夕日が滲む坂道によちよち歩きの女の子と幼稚園児くらいの男の子と何か縦長のバックを背負っている母と背が高い父の家族4人がいた。
誰が何を言っているのかはわからないが、幸せそうに見える。だってみんな笑っているから。
坂道に躓いて泣く男の子。父親が抱き上げてあやすも泣き止まない。父親は困った顔をして頭をポリポリかく。そうすると母親は背中のバックからギターを取り出した。
そのギターは紺と一部黒のストラトだった。母親はジャカジャカと弾いているがアンプに繋いでないため音が派手ではない。でもそれが良かったのか男の子は泣き止んできた。
坂道を行き交う車の音に消されないように歌いながら弾いている。と言っても何も聞こえていないからただの空想だが。
そのまま10分くらいギターを弾き続けた母親は少し疲れたのか休憩してギターを弾くのをやめた。
でも、男の子は泣き止んだ。疲れた顔をしながら男の子の頭を撫でていた。
何故か俺もホッとした。しだいに周りが暗くなってきた。日が沈むということではなく、夢から覚めるということだろう。
和気あいあいとした家族、周りが暗くなっていく中で男の子の笑いながら言った最後の一言だけハッキリと聞こえた。
『お母さんの歌とギターは世界一だよ!』
目の前が真っ暗になる。別にバトルに負けたわけではないし、お金を失うわけでもない。目が覚めると、いつも通りの朝がやってきた。
またいつもの朝がやってくる…