第6話 ウッキー!今年は何年?
ということで学校が終わりゲーセンに3人で来た。
「ふぅやっとついた…」
「ここまで来るの意外と遠いからなぁ」
俺と石森はすでにバテてた。ちなみに俺たちがどこにいるかというと一橋学園という俺らの学校がある花小金井という駅からだいぶ南に行ったところにある駅だ。
中に入るとゲーセンとカラオケが混じっている。カラオケ用の受付は無視し、俺等はゲームコーナーへ向かう。
「よし!じゃあなにからやるの?クレームゲーム?それとも太鼓の先人?」
まだまだ疲れていない日比野は早速やるつもりだ。
「とりあえずクレーンゲームからやるか」
俺らはクレーンゲームの台まで歩いていった。
「えー!なんで取れないのよ!この台のアームおかしいんじゃないの!?この店の店員頭悪いでしょ!」
制服を着てドンドンと台パンしている女子高生を見かけた。ちなみに銀髪の。紺と白のユニフォームを着た店員がその女子高生の近くに行き、
「うるさいぞ!」
と怒鳴ると
「本当だからよ!」
と言い返していた。舌打ちをして店員はどっかへいった。
「ちょっと行ってみようぜ」
石森たちと顔をあわせ、気になったので俺らは近づいていった。そこにいる人は大抵予想がついていたので別にコソコソ歩かず普通に歩いていった。
「やっぱり。先輩じゃないっすか。何してるんですこんなところで?」
「え、見ればわかるでしょ。クレーンゲームやってるのよ」
「誰もそうは見えませんよ」
俺は呆れてそういった。実際人が周りにいないからいいもののいたら警察沙汰になったかもしれない。
そうすると後ろから前に出てきたのは日比野だった。
「ねーねー名取ーこの人誰?」
「あ、このイカれたヤバい人は河澄刹那先輩っていうんd...」
「ちょっと!イカれたってどういうことよ!」
なんかプンプンしてる。すごく子供みたい。
「え、だってあんなとこみたら誰だってそう思いますよ。なぁ?」
と後ろを振り向き、回答を促した。二人共うんうんと頷き、俺は振り返って
「ほら」
といった。
「ぐぬぬぬぬ…まぁいいわ」
いいんかい。
「あなた達もクレーンゲームをしにきたの?」
「まぁそんなとこです。先輩も学校帰りですか?」
「えぇそうよ。さっさとこっちに来たの」
俺らHR終わって速攻で帰ってきたはずなのに俺らより早く着くとかよっぽどヤバいな。
先輩はスッと普通の格好に戻り、石森と日比野に対して自己紹介を始めた。
「私は河澄刹那。クラスは3-3よ。よろしくね」
「あ、よろしくお願いします!刹那先輩!」
日比野は人見知りをしないのだろうか。なんかそんなに緊張しているような感じはしない。対して、石森は
「川澄先輩よく見ると美人っすねぇ」
来た。石森のナンパだ。石森は目を細め先輩の胸元の方を舐め回すように見てる。結局胸かよ。
「ふふふ…そんな褒めても何も出ないわよ!」
目をカッとさせてそんなことを言っているが先輩の手には500円玉が。
「これで遊んできなさい…」
「やったー(棒読み)」
「いや、久々に帰ってきてお小遣いあげてるおばあちゃんか!」
思わずツッコんでしまった。俺はツッコミ役なのか。なんか負けた気がするが気のせいだろう。
この3人、なんだか馴染んでる風に見えた。先輩も石森も日比野も、笑い合って話してる。知り合いの輪というか友達の輪というかそんなものが広がって俺は心のなかでホッとしていた。
「じゃ、いろいろやっていくか」
俺は早速クレーンゲームの台にお金を入れようとしている石森のもとへ行った。
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時計を見たらもう19時を回っていた。
「そろそろ帰らないと。夕飯の支度せねば」
「名取くん自炊できるの?」
「えぇ、一応はですけどね。石森ほどではないですけど(ボソッ)」
誰かには聞こえないように後半を言った。
「え?なんて?」
「いやなんでもないですよ」
後ろを見ると何も気づいていない様子の石森がいた。ふぅ、よかった。
俺は元々自炊できなかったが栞のためにどうにかしようとしていたところ、石森に教わったのだ。料理ができると聞いて当時すごく驚いたのをよく覚えてる。ふと思ったが俺じゃなくて栞にも料理教えてくんねぇかな。そうすれば栞、料理上手くなりそうだな。そんなことを考えていた。
我に返り帰ることを提案する。
「じゃあそろそろ帰りますか」
「帰るかー」
「また来ようね名取!」
「ん、いいぞ」
「俺は!?」
「どっちでもいい」
どっと笑いがおこる。後ろを振り向くと少し離れたところにいた先輩が羨ましそうな目をしてこっちを見ている、ように感じた。自分は味わったことがない、そんなことを物語っていた。
みんなで外に出る階段を降り、駅まで向かった。
「あ!」
「どうした?」
石森が何かを思い出したような素振りをしたので聞き返した。
「お前と勝負するの忘れてた…」
「まぁいいさ、まだまだ時間はある。また来ようぜ」
「…それもそうだな」
駅のホームに着き、壁によりかかりながら雑談をし、各々帰る方向の電車を待つ。俺は先輩と、石森は日比野とスマホゲームを一緒にやっていた。
3分くらいした頃国分寺行きの電車が来た。そうしたら日比野が一歩前に出た。
「じゃああたしはこの電車乗るから。じゃ、みんなまた明日学校でね!」
「ん、じゃあな」
「ドジるなよ」
「し、しないもん」
「どこでそんな場面あるんだか…」
そうすると日比野は先輩の方を向いて、
「刹那先輩、詳しく事情は知らないですけどその名取とか言うやついっぱい巻き込んでやってください」
発車ベルが鳴る。
「あー電車が!それじゃ!」
慌てたように電車の中に入っていった。日比野は見えなくなるまでドア越しに手を振っていた。
「ふふっ、面白い子ね」
「…そうっすね」
否定はしづらかった。なんとも言えない空気の中俺等は次の電車を待った。
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家につく頃には8時を過ぎていた。
「ただいま」
「ん、おかえり」
栞はまたリビングでアニメを見ていた。
「今度は何を観ているんだ?」
「ま○マギ。さ○かいいよねぇ。こんなお姉ちゃんいたらなぁ。でもそんなお姉ちゃんいたとしたらこんな展開は迎えてほしくないなぁ」
栞はポツポツと話した。珍しくそんなことを言う栞の言葉に驚きながら夜はふけていく。