第1話 銀色の髪の乙女
無事、高校に着いた。そして、席につく。外には散り始めている5月の桜が何本もある。
俺の通ってる高校は中高一貫の学校になってる。だから中学から一緒の人もいるが俺は高校から入ったので友達がほぼいない。だが、1人もいないわけではない。
「ふぁぁぁぁ〜」
「朝っぱらから眠そうだな」
「朝だから眠いんだよ」
俺があくびをしていると、ある男子が話しかけてきた。こいつの名前は石森 宏信。俺の数少ない友人の一人だ。
「朝、みたことない女子にあったんだよ」
「どんな見た目さ?」
石森は返してくる。
「銀髪で、」
「おん」
「長髪で、」
「おん」
「女子にしては身長が高かったな」
「ほーん」
石森は情報を出すたびに適当な相槌を打ってくる。
「んで、誰かわかったか?」
「ん?全く」
わからんのかい。
「女好きのお前でもわからんか。」
「いや、情報が少なすぎるんだよ。そんな見た目のやついくらでもいるぜ?」
「いや、銀髪なんてそんなにいないだろ…」
そう話していると二人の女子がこちらに近づいてきた。
「なんだ船越と日比野じゃん」
「こんにちは〜」
「なんだ。とはなんだ!」
しっとりとした挨拶をするこの女子は船越 響子。一言で言えば"優等生"だ。テストの合計平均は必ず90点をこえるすごいやつでもある。もうひとりの少しキレてるやつは日比野 紗月。"天真爛漫"という言葉がよく似合うバカだ。
「誰がバカだ!」
「何も言ってないだろ!」
こいつは俺の心でも読んでるのか?
「なんのお話していたの?」
「なんかこいつが幽霊見たってさ」
船越の質問に石森は嘘をつく。いや、もしかしたら嘘ではないのかもしれないのだが。
「ゆ、幽霊?」
日比野は船越の背中にスッとくっつき、怯えながら言う。
「あぁ、そうだ。銀色の髪をして…
「あ、ちなみにこれ嘘な」
と、俺が早速ネタバレをすると
「ふざけるな!馬鹿!」
日比野のハイキックが石森へ飛んでいく。そうすると、石森は吹き飛んでいき、ドンガラガッシャーーーン!!!と机にぶつかる。いつもの風景だ。
「ナイスツッコミ」
「やっぱり仲がいいね」
「「よくないわ!!!!!!!」」
………
「ぷっ」
「「「「あはははははははは」」」」
4人共おもわず笑いが込み上げてきた。これが普通だ。これがいつも通りだった。
今日の終わりに向かう6限目はいつもより長く感じた。だからだろうか、いつも以上にボケっとしていて窓の外の校庭を眺めていた。授業なんてつまらない。正直な話、日々に飽きていたのだ。いつも通りすぎる毎日に飽きていたのだった。何か刺激がほしい。何か新しいことをしたい。そう思っていた。ギター、久々に弾いてみるかな。珍しくそう思った。そのまま校庭を見てるとどこかで見たことがある影が見えた。
「あれは…今朝の…?」
今朝見た女子高校生の幽霊(?)が校庭に立っていた。今は授業中なのに校庭にいるということはやっぱり幽霊なのか。それとも授業をサボったただの女子なのか。その謎を解明するために我々は校庭へと向かった…と言いたいところだが、今は授業中だからさすがにやめた。
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キーンコーンカーンコーン
授業が終わってすぐに走り出し教室を飛び出そうとした時、石森に話しかけられた。
「おい!お前今からどこいくんだよ!」
「ちょっとそこまで!」
「HRまでには戻ってこいよ!」
「わかってるよ!」
校庭まで走る。2年生の教室は3階なので下まで降りるのに少し時間がかかる。
「急げ急げ急げ…」
自分に言い聞かせる。校庭に着き、周りを見渡す。だが彼女はいない。
「どこだ?」
「ここよ」
「うわぁ!」
後ろから声をかけられ、思わず間抜けな声を上げてしまった。
銀髪で、長髪で、身長が高い。よく見ると美人だな。
「あんまりジロジロ見ないでくれる?」
「あ、あぁスマン」
勢いで謝ってしまった。いや、謝るのは悪いことじゃないけど。
「あんたうちの制服着てるけど何年生なんだ?まさか幽霊とかじゃないだろうな」
「あなたとてつもなく失礼な人なのね」
へ?俺なんかしたか?
「あなた生きてる人に向かって幽霊ですか?は失礼でしょうが。しかもね、あたしは3年生よ!」
「な、なんだって…」
驚いた。受験生なのに授業サボっていたのか。彼女はフンッと長い銀色の髪をなびかせていた。
「え、えぇっと先輩」
「なに?」
「お名前をお聞きしてもよろしいですか?」
と、恐る恐る聞いてみた。
「私?私の名前は河澄 刹那よ。あなたには手伝ってほしいことがあるのよ。名取君?」
「なっ」
なぜ知ってるんだ俺の名前を…この人とは今日が初対面だぞ。俺は頭の中の記憶を片っ端から探すが見当たらない。うーん、思い出せない。
そしてこの先輩、河澄先輩と出会ったことが俺のこの一年間の生活を大きく動かすのであった。