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九話 自己紹介。

 ◆


 燃えていた木々の消火し終えたところで、アレンは四人組と青髪の女性と話しを聞くことにしたのだが……。


「お前、俺達を殺そうとしたッスよね」


「それはアンタ達が役立たずだったからじゃない」


「ぐ……そうだけど、私達をも殺そうとするなんて」


「ふすん」


「そもそも、なんで殺そうと? 俺達は彼を拘束して連れて行けばいいと言うだけだったはず」


「ふん、アンタ達を置いておけば少しは虚を付けると思って置いていただけよ。それなのに一瞬で伸されて……本当に役に立たなかったわ」


「な、なんだと!」


 こういった感じで、アレンの目の前で四人組と青髪の女性との間で言い争いが始まっていた。


 アレンは眉間にできたシワを伸ばすようにぐりぐりと親指で押し当てて、ため息を吐く。


 そして、目つきを鋭くしてゆっくりと口を開いた。


「こっちは腹が減っているんだ。いい加減に話を始めようか?」


 アレンから威圧が放たれて、言い争いが喧嘩に発展しそうだった冒険者四人組と青髪の女性をビクンと体を震わせて硬直させるほどであった。


「「「「「……」」」」」


 全員が黙ってアレンへとゆっくり顔を向けてその場にペタンと座った。


 静かになったところで、アレンは全員を見回して再び口を開いた。


「まぁ……えっーと。とりあえず、軽く自己紹介からだな」


 青髪の女性はローリエ・ファン・ルートベンという名前。


 二十一歳でルートベン男爵の次女。


 クルンとカールした青色の髪が印象的で、気が強そうな顔立ちの女性であった。


 魔法使いとして軍に所属しているんだと言う。


 次に四人組は冒険者をやっていて『ベリアスの剣』というパーティーを組んでいた。


 片手剣を使う男性……冒険者パーティーのリーダーである最年長である十六歳のホランド・カブラム。


 ホランドは冷静そうな顔立ちで、濃い青色の髪を短く切り、真ん中あたりで分けていた。そして、百七十センチ前後の身長で筋肉質な体つきである。


 もともとは鍛冶屋の息子らしく、武器の管理もやっているとのこと。


 アレンが長槍を奪った男性は十五歳のノックス・アーイル。


 ノックスは褐色の肌に長く伸ばした金色の髪を後ろで結んでいて、チャラい印象のある男性である。


 ただ、冒険者パーティーでは料理や備品の調達管理など縁の下の力持ち的なポジションなんだとか。


 ナイフを使う女性は十五歳のリン・オベール。


 リンは少し釣り目つきで冷たい感じがあり、赤茶色の髪をショートカットくらいにまで伸ばしている。


 そして、すらっとした体つきでモデル体型であった。


 魔法使いである最年少で十三歳の女性はユリーナ・ハリーポルク。


 ユリーナは眠たげな眼差しが印象的な女性で、金色に近い茶色でフワッとしたような髪質の髪を肩下辺りまで伸ばしている。


 そして、ほっそりとした体格で、アレンと同じくくらいの百五十センチ前後の身長であった。


 アレンの目の前に居る五人が自己紹介を終えたところで、アレンが口を開いた。


「まぁ……お前達のことは大体わかった。で、誰が俺を殺すように命令したんだ? ローリエ」


「……答えられない」


 ローリエは表情を硬くして、短く答えた。


「そうか」


「何、私を……こ、殺すの?」


「だから無駄な殺生はしないって。俺は俺を殺すように命令した奴の名前を聞いたのは単純に興味があっただけで、話せないなら話さなくていいよ」


「はっ?」


「あ……しかし、何回も暗殺者を送られるのも面倒臭いな。あ、そうだ。これは提案なんだが俺を殺したことにしといてくれないか?」


「え? それは……」


 アレンの突然の提案にローリエは戸惑った様子を見せる。ただアレンはローリエ気にすることなく言葉をつづけた。


「ただ殺した証拠がないか? えっと死体は適当な別の人の死体を用意して黒く焼き過ぎたとかで通せない?」


「な、何話しを進めているのよ!」


「え、駄目だった?」


「駄目っていうか……」


「いや、俺は暗殺者を一々送られずに済むし、ローリエは俺を殺したことによって依頼人から何かもらえるんじゃないのか? 双方にメリットがあると思うが?」


「メリットは……そうだけど」


「他に何かあるのか?」


「えっと、私は依頼者に火龍魔法兵団の長である証を確保するように言われたのよ。それはアンタが死なないと奪えないと聞いている」


「あぁ、これか? 別に俺が死ななくても奪えると思うけど」


 アレンは首に掛かっていた剣の形をしたペンダントを取って見せる。


 そのペンダントを見て、一番に声を上げたのはローリエではなく、黙って話を聞いていた冒険者パーティーのリーダーであるホランドであった。


「な! どういうことだ!」


「ん? なんだ?」


 アレンがホランドへと向ける。


 すると、ホランドは動揺した……いや、ホランド以外の冒険者ノックスとリン、ユリーナも少し遅れながら動揺して少し騒がしくなる。


「あの英雄……火龍魔法兵団の長……ッスか?」


「ハーフエルフって……えええ、本物なの? 本物? いや……噂と」


「うそ……? 英雄……様?」


 ホランドが代表して、アレンへと問いかけた。


「火龍魔法兵団の長である証? それを持っている貴方は……火龍魔法兵団団長アレン・シェパード?」


「ん? 依頼を受けたなら俺のことは知っているんだと思っていたが違うんだな?」


 ホランドの問いかけにアレンが首を傾げて逆に問いかける。


 すると、ホランドはばつが悪そうな表情になる。


「いえ、俺達は……ハーフエルフの大罪人の確保だとしか」


「うむ、冒険者ならばちゃんとクエストの内容を理解して……って依頼人が説明しなかったのか。まぁ、あんまり怪しいクエストは受けない方が良いぞ?」


「はい……認識不足でした……武器の買い替え時期が重なって懐事情が厳しく……高額だった依頼料のクエストに飛びついてしまいました」


「しかし、クエストを発行したギルドにも責任があるな。これは……軍のコネで圧力でもかけたのかな?」


「……」


 アレンがホランドからローリエに視線を向けて問いかけると、ローリエは俯いて答えなかった。


 ローリエがアレンの質問に答えかなったので、アレンは再びホランドに視線を向けて口を開く。


「まぁいい。俺は火龍魔法兵団団長アレン・シェパードで間違いない。あ……違うか。今は王国を追い出されたから火龍魔法兵団元団長かな?」



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