二十九話 進んでいく。
地下通路に入って二時間が経った。
ノヴァとの約束通りに地下通路の途中ながら、アレン達は休憩していた。
アレンは困惑したような表情で口元に手を当てている。
「道はかなり入り組んでいるなー」
「アレ?」
ホランドが何か疑問が湧いたのか、目を細めて腕を組んだ。
「どうした、何かあったか?」
「そう言えば、ここに魔物が居ないのも不自然に感じるのですが」
ホランドの言葉を聞いて、近くにいたリンが首を傾げた。
「なんで、魔物が居ないことが不自然なの?」
「魔物はマナが濃い領域に発生すると言うのは分かるだろ? それは地下だろうとそれは変わらないんだ」
ホランドはリンの疑問に答えた。
その答えを聞いていたアレンは首を傾げる。
「ホランド、それはどこからの知識だ?」
「え? 魔物の生態について書かれた本に書かれていました」
「そうか。言葉が簡素化され過ぎているな。正確にはマナの濃い場所ではスライムなどの弱い魔物が自然発生する。そのスライムを普通の動物が食料にすると、体内に魔石を宿して魔物化していくんだ。更に魔物化したもの同士で戦い……そして勝者が敗者を食らうことで魔石が成長して魔物化が進んでより強い魔物が生まれていくっていうのが本来の答えだ」
「そうなんですね」
「まぁ、別に知らなくても困らないことだけどな……っと話が逸れたな。ここは魔物領域と言われるマナの濃い場所だ。その場所には魔物は必然的に発生する。それなのに、なぜここに魔物が……例えばスライムすらいないかについてだが」
アレンは壁をコンコンと叩いてから、確かめるように手の平を着いた。
そして、続けて口を開く。
「たぶん、壁や床に使われている石にマナを遮断する塗料が塗られているんだろな。だから、魔物が発生していない」
「な、なるほど、そんな技術があるん……え? その技術って……ええ」
「あぁ……その技術があれば魔物の領域を切り崩すのも簡単だろな」
アレンはホランドの思考を先読みしたように言葉を口にした。対してホランドは少し興奮したように頷く。
「ですよね? それでその技術は……」
「調べた限り、残念ながら百年以上前に失われた技術であるんだよ」
「……そうですか。そうですよね」
ホランドはがっくりと肩を落とす。その様子を見たアレンは苦笑した。
「ハハ、そんなもんだよ。ん……ただ、その技術が使われていると言うことはこの地下通路は少なくとも百年以上前からあったと言うことになるんだよなぁ。よく壊れずに残っていたもんだよ。……さて、休憩は終わりだ……行こうか」
アレンはゆっくりと立ち上がって、ホランド達を見た。
「そうですね」
「うん」
「わかった」
「はいッス」
アレンに続くようにホランド、リン、ユリーナ、ノックスは立ち上がる。
ただ……。
「うお? もうか? 待てまだ食べきれておらんのじゃ」
干し肉を美味しそうに食べるノヴァが驚いたような声をあげた。その声を聞いたアレン達は顔を見合わせて笑ったのだった。
地下通路に入って三時間が経ち、休憩を挟んでから一時間ほど探索した頃だった。
階段を上った先に……。
地下通路に入ってきた時と同じようなバルベス帝国の紋章が刻まれた扉があったのだ。
その扉を見たアレンは表情を曇らせる。
「うわーまたか……リン」
「……はい」
アレンの呼びかけで隊列の後ろに居たリンが前に出てくる。
リンはすぐに扉の鍵穴に、金属の細い棒を差し入れる。
そして、鍵穴を探るように金属の細い棒を動かした。
リンがピッキングを始めて三十分が経った時、アレンがリンの肩に手を置いて問いかける。
「どうだ? 結構時間かかりそう?」
「んー入り口の扉の鍵に似てる。三十分は欲しいかな」
「ん? 三十分で開くのか?」
「たぶん。まぁ、ここは水の中じゃないからずっと集中できるし」
「そうか、そうだな。本格的に集中する前に昼食にするぞ」
「え、あ……うん」
リンを含めて、アレン達は地下通路内で手早く、食事を済ませるのだった。
そして、リンが言った通り食事の後、三十分ほどで扉のピッキングが完了して、鍵が開いた。
◆◆◆
読んでいただきありがとうございました。もし……少しでも面白いと思ったら、お手数ですが……評価とブクマをいただけると作者が元気になりますのでどうかよろしくお願いします。ヾ(๑╹◡╹)ノ"




