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二十一話 二日目。



 ユーステルの森に入って二日目。


 アレンは目をしばしばさせながら、野宿していた洞窟から出てきた。


「ふぁふぁー眠い」


「おはようございます」


「おはよう、寝れた?」


 欠伸していたアレンに気付くと見張りをしていたホランドとリンがあいさつした。


「おはよう、調子はまぁまぁかな。お前らの体調はどうよ?」


「ハハ……だいぶ、良くなりました」


「あぁ。うん、なんとか」


 アレンの問いかけにホランドとリンは苦笑する。


 見るからにホランドとリンの体調が良くないのを見て、アレンは口元に手を当てて考えを巡らせた。


 まぁ、急いでいる訳でもないよな。


 水も食料もなんとかなる。


 体調が良くない状態で、更に無理して変な病気になられる方が大変だよな。


「お前ら体調良くなさそうだな。今日は休みにするか」


「え、あ、え、だ、大丈夫です。昨日一日魔物の領域にいただけでへばるとかはないです」


「いや、実際にお前……いや、お前達は昨日のマナの流れを正す治療がかなり堪えたんだろ?」


「もうだいぶ回復し……」


 ホランドの言葉の途中で、ホランドの隣に座っていたリンが服を引っ張る。


 そして、ホランドがリンに視線を向けると、リンが横に顔を振って口を開いた。


「ホランド、私も無理は良くないと思う」


「だけど、これでは俺達は……アレンさんの足を引っ張っているだけだぞ! 少し……少しくらい……役に立てると思っていた! これは情けなさすぎる! 後ろをただ歩くこともできないなんて!」


「……」


 ホランドが声を荒げた。ホランドに言われたことはリンも思うことだったのか表情を曇らせた。


 アレンは焚火の前においてあった切り株に座った。


 そして、ゆらゆらと揺れる焚火の火を眺めながらゆっくり口を開いた。


「お前らはまだ子供だよ。外見はどんなに大人っぽく見えても」


「「……」」


「子供なら大人に迷惑をかけるのは当たり前だ。俺はそれが分かった上でお前らを連れている、一々気にするな。俺がガキの頃も……って今もガキに見えるかもしれないが俺も師匠にはいっぱい迷惑を掛けたよ」


「アレンさん……」


 アレンは人差し指をホランドの前に出してみせる。


「まぁ、そんなに気になるなら出世払いにしといてやる。だから、今は迷惑をかけろ」


「……わかりました。俺は……いつかアレンさんに恩を返します」


「私も! いつか必ず!」


 ホランド、そしてリンは手を強く握って意気込みを宣言した。


「期待せずに待っている。さて飯でも作るかな。お前達はノックスとユリーナを起こしてきてくれ。アイツら、俺が起こしても起きやしない」


「わかりました」


 ホランドとリンが座っていた切り株から立ち上がって、洞窟に向かおうとした。


 そして、アレンが朝食の準備をしようとした時だった。


 アレンは何か思い出したような表情になって手が止まった。


「あ……」


「? どうかしましたか?」


 ホランドが立ち止まってアレンへと視線を向けて、首を傾げた。


 アレンは少し言い難そうな表情となる。そして、頬をポリポリと掻きながらゆっくり口を開いた。


「あーえっと、確かに休みにするとは言ったが……マナの流れを正す治療は今日もあるからな?」


 アレンの言葉を聞いたホランドとリンの表情は凍りついたのだった。








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