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百三十話 KUSAMUSIRI。

 ここはアレン達が管理している農園。


 その農園にはさまざまな野菜の苗を植えられていた。


 アレンがこの農園を作り始めて約七カ月が経とうしていて、いくつかの野菜は食べごろにまで育っている野菜もある。


「ざっそー。ざっそー。ひっこねけー。ひっこねけー」


 農園の真ん中で変な歌を口ずさみながら、アレンが一人で雑草を引っこ抜いていた。


 アレンには作曲の才能はなかった。


「ねっこまでねこそぎーぃ。ごっそり。ごっそり。やらんちゃらん」


 ……しばらく、変な歌は続いた。


 やはり、アレンには作曲の才能はなかったので、途中は省略。


「せーかいじゅうのぼーくらのざっそうをひこぬきつづけるぅー……こんなふーうに、こんなふーうに生きてーいきたいんだーと、ういー。腰が痛いぜ」


 一時間ほどの時間が経って農園の三分の一ほどの敷地の草むしりが終わったところで、変な歌をやめて不意にアレンは体を起こしてトントンと腰を叩きはじめた。


 アレンは一度農園を見回して、再び呟く。


「やっぱり、十人も居ない人数の野菜を賄う以上の野菜を作ってしまっているな……余ったらどうしよう? ……あ」


 ポンっと手を叩いて、アレンは何か閃いたようだった。


 そして、視線を伏せて考える仕草を見せながら、ブツブツと呟き始める。


「アリだな。売りに出すか。ここは洞窟の中だから野菜が作れているが……外はこの冬、積雪がすごいことになっているから野菜が作れない状況であることは間違いない。ならば、高く売れるのではないか?」


「はぁはぁ……もう無理ですぅ」


 肩で息をしながらアレンの後ろにローラがやってきた。


「どうだった? ランニングは?」


「はぁはぁ……うぷ、全然駄目でしたよ」


「そうか?」


「はぁはぁ、ホランドさん達から何周も遅れて」


「まぁ、アイツらは冒険者だし、体を鍛えてなんぼだしね」


「はぁ……はぁ……最後は歩いていました」


「初めてだったし仕方ないんじゃない?」


「し、仕方なくないです……」


 ローラはそう言ってペタンと地面に座ってしまった。アレンは振り返って座り込んだローラに視線を向ける。


「ん?」


「私ももっと体力を付けて……頑張らないとアレン様の隣に居れても、アレン様に助けてもらってばかりの足手まといで役立たずになってしまうでしょう。それはアレン様の妻に相応しくないです」


「そ、そうか? 俺の妻になるのってそんなハードルが高かったんだな。……いや、待てよ。ローラは聖女なんだし、治療系の魔法は使えるんだろ? なら、全然役立たずにはならないだろう?」


 アレンの言った通り、聖女とは魔法を使え且つ、治癒系の魔法に適性のある者のことを指していた。


 治癒系の魔法に適性を持つ者は魔法が使える者の中でも稀で……どこの組織でも口から手が出るほどに望む人材であったのだ。


「そうですが。治癒系の魔法以外の魔法はほとんど練習してこなかったので使えません。もちろん、治癒系の魔法以外の魔法もこれから練習しますけど……やっぱり体力を付けないと。粗暴者達に襲われ、アレン様に助けられた時のようなことが繰り返してしまいそうです」


「そっか。まぁ、体力を付けることは悪いことじゃないからな。頑張れ」


「は、はい。頑張ります……っ」


 ローラはアレンに応援されて、表情を明るくした。


 そして、立ち上がろうとするも、足がプルプルと震えるばかりでうまく力が入らないのか立ち上がれないでいるようだった。


 そんな、ローラの様子をみたアレンはスタスタとローラの前にまで歩いていくと、手を差し伸べた。


「けど、いきなり無理しても体を壊すだけだ」


「う……はい」


 差し伸べられたアレンの手を少し躊躇しながらもローラが掴んだ。すると、アレンはローラの手をグイッと引き寄せると軽々と抱き抱える。


「よっと、今日はもう部屋で休んでいるんだな。食事当番は俺が変わってやる」


「うう、不甲斐ないです」


「最初はみんなそんなもんだろ」


「あぁ、自分の不甲斐なさに反省しなくちゃなのに……アレン様にお姫様だっこに歓喜してしまっている……私、不甲斐ないです」


 頭を抱えたローラを見て、アレンは笑う


「ふは、何を言っているんだか」


 アレンはそのままローラを青い屋根の屋敷の中でローラに割り振られた部屋に連れて行くのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ホランドたちも冬は引きこもりなのかな
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