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百二十三話 弱い者。

 走り逃げたローラは十分もしない内に、ボロ服の三人組によって行き止まりに追い込まれ。


「はぁ、はぁ、行き止まり……」


 走り疲れたのか肩で息を吐きながらローラは行き止まりとなっている壁を叩いた。


「ハハ、だから無理って言ったろ?」


「大人しく捕まってりゃあ。優しくしてやったのに」


「ギャハハ、そーだぜ。そーだぜ」


 ローラの背後からボロ服の三人組の声が聞こえてきた。ローラが振り返ったところでボロ服の三人組はローラに近づいて掴みかかった。


「嫌……やめてください」


 ローラは掴みかかってきたボロ服の三人組に抵抗しようと、両腕を振り回す。しかし、すぐに手首を掴まれて壁に押し付けられてしまう。


 ボロ服の三人組の一人が舌を長く伸ばして、ローラの頬をペロリと舐めた。


「へへ、しょっぱいぜ」


「なんだ、ここでやんのか?」


「ギャハハ、それもいいな。それじゃ、俺から……」


 ガンッ。


 ボロ服の三人組の会話の途中で、壁を強く殴ったような音が、ボロ服の三人組の背後から響いた。


「はぁー昼間っから、こんなところで何しているの?」


 ボロ服の三人組はバッと振り返る。振り返った先には壁を拳で凹ませているアレンが立っていた。


 アレンはボロ服の三人組の顔を見据えながら、更に続ける。


「弱い者をいじめて楽しいの?」


「うるせーよ」


「ここはガキのくる場所じゃねぜ?」


「怪我したくなかったら失せろ。失せろ」


 アレンの問い掛けに、ボロ服の三人組はムッとした表情を浮かべたが。


 しかし、目の前の上物の獲物を先にどうにかしたかったのか、興味なさげに言った。


「失せろと言われても……男が三人がかりで女一人をイジメて、恥ずかしくないの? カッコ悪いよ?」


「あぁん、見逃してやろうと思ったが……まずはガキをぶっ殺す」


「へへ、いいな。あの世で後悔させてやるぜ」


「ギャハハ、ぶっ殺せ。ぶっ殺せ」


 アレンの挑発に乗って、ボロ服の三人組は背後にいたアレンの方へと振り向き。それぞれ、懐から刃渡り二十センチほどのナイフを取り出して構えてみせた。


 ボロ服の三人組は一人ローラの拘束に残して、二人が左右に分かれてナイフを振りかざしてアレンへと斬りかかってくる。


「弱い者イジメは嫌いなんだけど……お前達はナイフを構えた。つまり攻撃の意思があるってことだよね?」


「何を言ってやがるクソガキが!」


 先ずは右から迫ってきた男がアレンへとナイフを真横から振るってきた。アレンはヒョイっと仰け反って躱してみせる。


「おっと」


「がっ……」


 アレンは仰け反った状態からバク転をし、バク転をすると同時に右から迫ってきた男のあご先をガスッと蹴りを入れた。


 すると、右から迫ってきた男の脳が揺れて、短く息を吐いてバタンっと倒れた。


「何をやりかがった!」


 右から迫ってきた男がいきなり倒れたことに左から迫っていた男が驚愕して声を上げる。対して、アレンは一回バク転をした勢いのままに地面へと手を付いた。その地面に付いた手にグッと力を籠めて地面を掴むと、腕力だけで飛び上がる。


 左から迫っていた男の頭上を飛び越えて背後に回ると、後ろから首にストンと手刀をくわえた。


 すると、左から迫っていた男は泡を吐いて、膝から崩れて倒れた。


「ぐ……」


「あとは一人か」


 左から迫っていた男も難なく倒してしまったアレンは最後に残ったローラを拘束していた男に視線を向ける。


 すると、ローラを拘束していた男は表情を強張らせた。

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