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百十八話 何者?


 翌日、アレン達は辺りを捜索して……ゴールドアックスのリーダーであるルーカスを含めて二十人を超える白骨の遺体を発見することになった。


 冒険者ギルドに戻るとゴールドアックスの事をサッグフェネックとゼルフェネックの事に加えて報告すると、ギルド内でも大きく問題へと発展する。


 後日、冒険者の昇級方法の見直しやD級やC級の冒険者の教育の拡充が議論されるようになる。




 サッグフェネックの討伐を終えて四日後、冒険者ギルド会館に戻って報告すると、アレン達は後日詳しく話を聞くと言われて帰された。


 そして、リナリーとホップと次に集まる日を相談するとその場で解散することになった。


 アレンがリンベルクの街の大通りを一人で歩いていると、腕を組みながら壁に寄り掛かっていたスービアがアレンに気付いて近づいてくる。


 そして、神妙な面持ちでスービアがアレンに声を掛ける。


「おい。アレン……ちょっといいか?」


「ん? スービア? いいけど。なんだ?」


「んーちょっとな」


 アレンとスービアの二人は連れだって歩き出す。そして、アレンとスービアがやってきたのは、中央に大きな舞台がある広場だった。


 人が多く集まっていたのでアレンはいくことが出来なかったが、以前行われた聖英祭のメインの会場でもあった。


「それで、なんだよ?」


「あー……」


 広場に座ったベンチに腰掛けたところでアレンが隣に座ったスービアに問いかけた。ただ、スービアは歯切れの悪い感じで後ろ髪を掻く。


「なんだよ? らしくないな。歯切れが悪い」


「……お前、何者だ?」


「なんだよ? 突然」


「うっすら、見ていた。お前がサッグフェネックをぶっ倒していく様子を……夢だと思っていたが、実際にサッグフェネックはお前が倒した場所で倒されていた」


「……」


「サッグフェネックをあんな一瞬で倒すことのできるヤツなんてそうそう居ないぜ?」


「そうか、起きていたのか」


「あぁ」


「……俺のことを話す前に……まず、聞きたいんだけど、スービアにとって俺が何者であるかなんて、そんな重要なことなのか?」



「ん? んー……俺にとって?」


「あぁ、そうだ」


「アレンがどこの誰だろうが……重要……じゃないな……そもそも、人には話せないことの一つや二つあるもんだな。悪い、何をヤボなことを俺は」


「ヤボか……そう言ってくれると嬉しいな。まぁーけど、気になるよな。じゃあ、いつか話すってことにしといてくれよ」


「そうか? よくよく考えたらどうでも良いのか……お前が居なかったらサッグフェネックに殺されて俺はここには居なかったか……その事実さえあれば」


「それは、どうかな? スービア一人なら生き残れたかもだぞ?」


「いや、どう考えても無理だろ。サッグフェネックの毒について気付かないかった俺があの場で仮に一人で居たとしても生き残れなかったぜ」


「まぁ、スービアはもう少し視野を広く持った方がいいな。前衛が後ろまで気にして戦うのは難しいだろうが」


「なかなか難しい要求だ。しかし、それが出来てサッグフェネックを瞬殺してしまうアレンはS級の冒険者クラスか……マジで……その歳でどうやってあんなに強さを手に入れたんだ?」


「……」


 スービアの呟くように言った言葉に、アレンは笑顔のままピキっと固まった。


 なんだよ、俺の強さを目の当たりにして何者か疑った癖に……俺が十二歳ってところは疑わないのか?


 そんなに俺が十二歳に見えると言うことか?


 悪かったな。幼くて身長低くてなぁ。


 黙って目を細めたアレンからなみなみならぬものを感じて、スービアがビクッと体を震わせた。


「おい、怖いぜ? なんか拙いこと言ったか?」


「俺はそんな子供に見えるか?」


「まさか魔法か何かで姿を変えているのか? いや、しかし身長までは変えられないだろ?」


 スービアはギョッとした様子でアレンに視線向ける。そして、首を傾げながらアレンの頭をポンポンと叩いた。


 対して、アレンはムッとした表情で自身の頭を叩いていたスービアの手を払い除ける。


「ふん、そんな魔法は使ってねーよ。悪かったなぁ身長が低くてよ」


「くは、アレンは身長を気にしているんだな」


「あぁ? 俺はこれから大きくなっていくんだよ」


「ハハハ、そうだな。そうだな。もっと大きくならないとカッコいい男に成れねーぜ」


「笑うな。今に見ていろよ。でっかくなって見返してやるから」


「そうだな。見返して欲しいところだぜ。よし、これから一杯飲むか!」


「え? なんで、どうしてそうなる?」


「なんだ、知らないのか? 酒は人間を大きくする効果があるんだぜ?(嘘)」


「む? 本当か? それは初耳だな。よし行こう」


 アレンはピッとベンチから立ち上がる。対してスービアはまだ酒も飲んでいないと言うのにご機嫌な様子で立ち上がると、アレンの肩を抱いた。


「クク、そうこなくちゃな!」




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