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戻る路は失くただ逝く径だけ・・・

作者: 冥狼

世界は優しく・・・



巡り・・・廻り・・・




そっと優しく包み込む・・・




光と闇を内包して・・・




ゆっくりと優しく・・・




残酷に廻る・・・

水の中から世界を覗く。


遠いはずの月は、とても近く大きく湖面揺れている。



涼やかに命の謳を奏でるのは、虫達と優しく吹く風にその身を任せ揺らす草木達。



そんな優しい謳を聞きながら宇宙(そら)を見上げる。

小さな命の輝きが、悠く輝き、その命を燃やして魅せる。



幾つもの優しく儚い星の瞬きを何の気なしに見つめる。



その瞬きの中に幾つの命が散って生まれるのか・・・




考えても仕方の無い事をらしくなく憶う。


そんな優しいゆっくりとした時間を楽しむ様に、愛しむ様に、惜しむ様に、ゆっくりと身を起こす。




湖面から出て、濡れた髪を掻揚げ、陸に上がり苦笑を漏らす。




「らしく・・・無いな・・・」





溜息と共に吐き出す言葉。

それは、本音であり、己のあり方の懺悔にも似た呟き。


身支度を整え、足元にある己の大切な物を手に取る。



(相棒)だ。




自身の仕事道具であり、相棒でもあるソレを手に自嘲の笑みが浮かぶ。




「・・・もう、引き返す事も無く、戻れる道など・・・どこにも、無いのに・・・な」





弱い、弱すぎる自分を振払う様に頭を振る。

道というには細く険しい場所を歩く。

暖かな帰る場所も帰り道などは遥か昔の記憶で既に忘却の彼方だ。



何処から来て何処へ還るのか、それはまだ解らない。

解っているのは、振り返るのは・・・後で、という事だけ。




「オレの時が終わる瞬間は分かっているオレの命が終わる(消える)時だ・・・」



そう自分に言い聞かせる様に細く呟いた声は、誰にも聞かれる事はなく儚く消える。

その問には誰にも答えられない、答えを持つ者も居ない、自身も答えを持っていないけれど。



その姿と声を薄く光る月と星々が変わらず淡く照らし見守ていた。



fin?

書き直しSS


昔サイトに書いたものを修正したが、何を考えて書いたのかは不明です。

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