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疲れた
私は那波君にことあるごとに付き纏われた。
「浜仲さんってなんの教科が得意?」
「得意なのはあんまりないです……現代文は好きです」
「俺と違うわー。世界史が好きなんだ、どう?」
「どうって聞かれても……」
「そっか。選択授業はどれ選んだ、浜仲さんは?」
「美術です……那波君はどれを?」
「音楽だね」
「そうですか。試験がどういった感じか分からなかったので、楽そうなのを選んだんです。そっちはどうですか?」
「好きだし、面白そうだったから」
「へぇ。選ばなかった書道は?」
「一番退屈そうだったから」
昼休みに入って那波君は私の身体を回る。
購買で買ったサンドウィッチにかぶりつく。
「それだけか?」
「うん、そうだけど」
私はお弁当を食べる彼に短い返答をする。
放課後になり、那波君が一緒に下校しようと隣を歩いてきたので、断った。
「一人で帰るから。那波君は違う人と帰った方がいいと思う。では、また明日です」
「そっか、ごめん。じゃあまた明日な!」
やっと一人になれて、安堵した。
クラスメートらの痛い視線から逃れられた。
 




