お嬢様、絶対絶命!
初の連載です。よろしくお願いします。
「あー!やってしまいましたわー!」
私、アリス・スカーレットは執務室で淑女にあるまじき叫び声を上げていた。
「うう・・・・お父様から受け継いだ財産をうまく運用して資産を増やそうとしましたが・・・大損をしてしまいました」
父の代で領地は拡大し、港を手に入れたため経済的にますます豊かになった。
さらに領地を強くしようとした矢先、父は病でなくなり、私、アリスは領主であった父の後を引き継いだ。
引き継いだからには父が成し遂げたように領地を強くしなければならないと張り切っていた私はなにかいい方法はないかと調べ回った。
そこで目をつけたのが投資である。
領地の経済を活性化させるためにも経済活動を行なっている者たちに投資しようと考えたのだ。
私は早速部下達に商売の世界でやり手の者を探せと命じ、商人達を集めさせた。
集めた商人達に事業の内容を説明させ、私がこれはいけると判断した者には資金を与え、その者が得た利益からこちらも分け前を受け取ろうと考えたのだ。商業からの分け前があれば領地の運営の助けにもなる。
ところがこの部下が連れて来た商人達は尽く事業に失敗してしまった。
どうもこの商人達は私の部下に調子のいいことばかり言って事業自体も誇張が多かったのだ。
完全に私の失態だ。部下達はこれまで商業に関わることもなかったから商人達の嘘を見抜けなかったのも無理のない話である。
「はあ・・・・これから失敗を取り返さないといけませんわね」
しかしどうやって取り戻そうか。私が頭を悩ませていると
「お困りのようだね〜、お嬢様〜」
どこからともなく声が聞こえた。
見ると私の執務室の扉を開けて1人の女の子が入って来ていた。歳は私と同じくらいで18ぐらいだろうか。髪の色は赤く、髪型は肩くらいまであるセミロングだ。口調こそは軽いが服装や身のこなしは洗練されていた。
「あなたは・・・・」
「あたしの名前はエミー・バートン。投資家をしています。バートン家の跡取りって言えばどんな人間か伝わるかしら?」
聞いたことがある。ここ数十年で急速に成長して来た新興の商家だ。そのため歴史の深い家の出身の部下達の中には成り上がりとして嫌うものも多い。
「あなたのお父様から助けになるよう言われてたんでこうやってわざわざ来たのよ」
軽い口調でエミーは答えた。
「お父様があなたに私を助けるように言ったのですか」
「そう。自分が亡くなって1人残される娘を心配してたみたいよー。きちんと相談できる相手を作ってあげたかったみたい。まあ正確に言えばあたしのお父様になんとかならないかと話があって私があなたの助けになるのを引き受けたってのが正解なんだけどね」
「それでここに来たと?」
「そういうこと」
父は最期まで私のことを案じてくれていたのだ。
その事実に私は嬉しさが込み上げてくる。
でも今の私は領主として自分の力で結果を残したかった。
「折角の申し出悪いのですけれど協力はお断りさせてもらいます」
「あれ、どうして?今投資に失敗して凄く困ってるんじゃない?」
「ええ、ですが自分の力で取り返しますわ」
「まーた無茶言って。今失敗したばっかりでしょ」
そんなことは分かっている。
それでも領主になったからには自分で何かを成し遂げなければ。
「いやー、意固地にならないほうがいいよ。それでまた大失敗して取り返しつかなくなるのまずくない?」
「結構です!出て行ってください!」
自分でもびっくりするくらい大きな声が出ていた。
「そ、まあせいぜい頑張りなよー」
そっけない口調でそう言うとエミーは執務室を出て行った。
2話目は明日投稿予定です。