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将来の魔王の取り巻きは平和を望む  作者: 眠りたいだけ
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社畜、転生する

初めまして。 眠りたいだけです。 今後ともよろしくお願いします。

唐突だが、俺の悩みを聞いてほしい。1つ、夜遅くまで残業しても、最低賃金で働かされている事。2つ、この仕事には休みが無い事。3つ、この仕事をかれこれ20年は続けている事。4つ、…彼女がいない事。5つ、今日も23時まで残業で、やっと、ようやく、帰る事が出来る事。


「 …はあ」


俺は溜息を吐いて、パソコンを閉じる。残業が終わり、ようやく帰れる。帰ったら一人寂しくカップラーメンを食べて、手早くお風呂に入って、ほんの少しだけ寝て、また仕事。毎日この繰り返しだ。つまらないったらありゃしない。…そんな俺の心の癒しは、可愛い可愛い俺の嫁。色んな嫁に癒されて、何とかやって行ける。え?不倫だって?何も分かって無いな。嫁、もとい推しは、変えるのでは無く増やすものだ。…だが、そんな彼女達も話しかけてはくれない。せめて、リアルな彼女や嫁が居たらもう少し頑張れるのになぁ。と言っても、俺は人生で一度も、37年間リアル彼女が居た試しが無い。…性格は良いはずなんだけどなぁ。顔もそこそこ良いと思うし。ただ、給料が低い上に推しに貢いでいる為、金は無いが。…チックショー‼︎結局は金か⁈金なのか⁉︎推しに貢がなければ良いのか⁈そしたらリアル彼女が出来るのか⁉︎だが断る‼︎


「…はあ…」


すっかり口癖になってしまったそれを吐きながら、頭の中で推しとリアル彼女が闘っている。勿論、推しが圧勝したが。そんな事を考えていたからだろうか、降りていた階段を踏み外し、無様に転がり落ちた俺は、呆気なく死んだ。



◼️◼️◼️◼️



目が覚めると何も無い、真っ白で不思議な空間に俺は居た。辺りは殺風景だが嫌な感じはせず、寧ろ心地良い空間だ。俺は何故ここに居るのかを考える事にした。確か、残業がやっと終わって、帰ろうとして、それから…思い出した。確か俺はその時、階段を踏み外して呆気なく死んでしまったのではなかったか。…という事は、ここは天国、というやつなのだろうか。何か、俺が思っていたイメージと違うな。何かこう、もっとお花畑っぽい場所だと思っていたんだが…


「おーい、聞こえますかー?」


後ろから声が聞こえて振り返ってみると、空(?)から女性が降ってきた。…えっ?お、親方、空から女性が…!と脳内でふざけていた間に、その女性はもう目の前に居た。見た感じ20歳前後で、この場の雰囲気もあって、まるでどこかの女神様みたいだ。何か神聖的なオーラを纏っているし。…美しい。


「うふふっ、ありがとうございますー♪」


その女性は、まるで俺の心が読めるかの様に言ってきた。…ん?読めるかの様に…?


「はいー、読めますよー」


…これマジもんだ‼︎この人、本当に女神様だよ⁉︎ですよね⁈


「はいー、そうですよー」


き、キター‼︎待ってました‼︎転生チート‼︎…待て、落ち着け、俺。ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。…よし、落ち着いた。冷静にこの状況を考えてみよう。目の前には女神様。ここは不思議な空間。俺はさっき死んだばかり。…転生‼︎ですよね⁈


「はいー、そうですよー」


やった!転生‼︎社畜だった俺だが、アニメやゲーム、ラノベは嗜んでいる。俺は、ここで女神様にチート能力を貰い、魔物や魔王を倒し、ハーレムを作り、英雄となって行く。これぞテンプレ!これぞ王道‼︎


「はいー、大体はそんな感じですよー」


ふっふっふ。楽しみだな、異世界無双ライフ。俺の様な奴らが、一度は夢見るロマン…って、え?大体は…?


「はいー。まずー、貴方は転生しますがー、チート能力はありませんよー」


な、に…⁉︎チート能力が無い、だと…⁉︎


「はいー、貴方のステータスは、中の上くらいですかねー」


…落ち着け、俺。大丈夫、ここまではまだ良くあるパターンだ。大方、最初は没スキルやステータスだけど、練習して行く内に秘めたる力やら何やらが目覚めて、ゆくゆくはチートに…


「なりませんよー」


ま、じ、か、よ…‼︎何で…⁈俺何かした⁉︎…はっ、もしかして金か⁈金なのか⁈


「違いますよー?ただー、貴方はそういう運命にあるんですー」


…運命、ね。はあ。違う運命が良かったな…


「もー、他人事ですねー。そこまで言うなら良いですよー!貴方には、魔王を生み出さないようにー、頑張ってもらう事にしますからねー!」


えっ?ちょ、ちょっとまって…!


「それでは、頑張ってくださいねー!」


俺の意識は、そこで途切れた。

閲覧ありがとうございました。感想、アドバイス等ありましたら、教えてください。評価ポイントもしてくださると、とても喜びます。

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