<七>
土曜日。
ついにこの日が来た。
というより……来てしまった。
白石さんと遊園地。
6時、僕は起きていた。
昨日寝られなかったわけではないが、寝付きが悪かった。
「……眠い」
僕は目をこすりながら呟いた。
一度起きてしまうともう寝られない体質だから、二度寝ができない。
友達にはよくうらやましがれるが……朝早く起きた時は辛い。
親には「友達と出かけに行く」としか話してない。
母さんは驚いた表情を隠せなかった。
そりゃそうだ。
友達と出かけに行くと話したことなんか一度もないからだ。
僕は昨日店で買った新しい服を見ていた。
流行に遅れて無く、自分にも合ってて、尚かつ値段も安い。
これ以上のものは無いだろう……と僕は思う。
黒いTシャツにラフな感じの白いパーカー。
そしてデニムのジーンズ。
それなりに悩んだ末の結果だった。
7時。親も起き朝食をとった。
いつも通りの朝食だったが、何か特別な感覚を持った。
正直ウキウキしているのかも……
「僕らしくないな」
そう呟いた。
8時。朝食を食べ終わり、着替えてみた。
うーん……これは果たして僕なのだろうか。
少し押さえたつもりだったがやはり派手だ。
とは言ってもまぁ悪くないと思ってしまう。
荷物も持ち、玄関を出た。
20分前ぐらいに出ておくのが妥当かと思ったら、
20分後が来ないかと思うぐらい永久に近かった。
外は6月の梅雨の時期にもかかわらず雲一つない快晴。
葉桜が輝いて見える。
こんなにも清々しいと思えたのは久しぶりだ。
時間がこんなに長く感じたのは初めてだ。
20分後。
彼女が来るはずの9時まで後30秒前に
向こうから凄まじい勢いで走ってくるのが見えた。
まるで獲物を見つけたチーターのようだ。
間違いなく白石さんだ。
彼女はスピードを落とすこと無くこちらに向かって来てる。
それはもはや恐怖になっていた。
彼女が僕の前で止まった。
「間に合った!?」
僕は腕時計を見る。
「……4秒前」
「よし!」
彼女はガッツポーズをとった。
「ごめん……もっと早く来るつもりだったのに……」
「ううん。間に合ってるじゃん」
彼女はほんとに急いできたのか、息切れしている。
「私……時間に遅れたくなくて……はぁ、はぁ」
「そんなに急がなくて良いのに」
僕なんかのために……
彼女の私服はいつもとイメージが違った。
黒に白い水玉模様が入ったスウェット。
細かい刺繍がほどこされているジーンズ。
いつもはおろしている髪も今日はポニーテール。
イメージは違っても、やはり白石さんらしかった。
「じゃあ行こう!」
彼女は笑顔で言った。
「うん」
僕も笑顔で返した。




