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祈り  作者: 谷川陣
8/18

<七>

土曜日。

ついにこの日が来た。

というより……来てしまった。

白石さんと遊園地。



6時、僕は起きていた。

昨日寝られなかったわけではないが、寝付きが悪かった。

「……眠い」

僕は目をこすりながら呟いた。

一度起きてしまうともう寝られない体質だから、二度寝ができない。

友達にはよくうらやましがれるが……朝早く起きた時は辛い。


親には「友達と出かけに行く」としか話してない。

母さんは驚いた表情を隠せなかった。

そりゃそうだ。

友達と出かけに行くと話したことなんか一度もないからだ。


僕は昨日店で買った新しい服を見ていた。

流行に遅れて無く、自分にも合ってて、尚かつ値段も安い。

これ以上のものは無いだろう……と僕は思う。

黒いTシャツにラフな感じの白いパーカー。

そしてデニムのジーンズ。

それなりに悩んだ末の結果だった。


7時。親も起き朝食をとった。

いつも通りの朝食だったが、何か特別な感覚を持った。

正直ウキウキしているのかも……

「僕らしくないな」

そう呟いた。


8時。朝食を食べ終わり、着替えてみた。

うーん……これは果たして僕なのだろうか。

少し押さえたつもりだったがやはり派手だ。

とは言ってもまぁ悪くないと思ってしまう。

荷物も持ち、玄関を出た。


20分前ぐらいに出ておくのが妥当かと思ったら、

20分後が来ないかと思うぐらい永久に近かった。

外は6月の梅雨の時期にもかかわらず雲一つない快晴。

葉桜が輝いて見える。

こんなにも清々しいと思えたのは久しぶりだ。

時間がこんなに長く感じたのは初めてだ。



20分後。

彼女が来るはずの9時まで後30秒前に

向こうから凄まじい勢いで走ってくるのが見えた。

まるで獲物を見つけたチーターのようだ。

間違いなく白石さんだ。

彼女はスピードを落とすこと無くこちらに向かって来てる。

それはもはや恐怖になっていた。

彼女が僕の前で止まった。

「間に合った!?」

僕は腕時計を見る。

「……4秒前」

「よし!」

彼女はガッツポーズをとった。

「ごめん……もっと早く来るつもりだったのに……」

「ううん。間に合ってるじゃん」

彼女はほんとに急いできたのか、息切れしている。

「私……時間に遅れたくなくて……はぁ、はぁ」

「そんなに急がなくて良いのに」

僕なんかのために……

彼女の私服はいつもとイメージが違った。

黒に白い水玉模様が入ったスウェット。

細かい刺繍がほどこされているジーンズ。

いつもはおろしている髪も今日はポニーテール。

イメージは違っても、やはり白石さんらしかった。

「じゃあ行こう!」

彼女は笑顔で言った。

「うん」

僕も笑顔で返した。


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