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祈り  作者: 谷川陣
6/18

<伍>

初めて知り合ってから1ヶ月。

僕と白石さんは学校でも道路でも話していた。

笑ったり、怒ったり、教わったり、教えたり。

向こうには他にも話す人がいたけど、僕にはいなかった。

だから彼女と話しているときは宝のように思えた。

こんな日がいつまでも続くのか。

いや、いつまでも続いてほしい。

僕はそう願っていた。


今思えば、良く孤独に耐えられたと思う。

人と話すのがこんなにも楽しいなんて思ってなかった。

僕はこの幸せをいつまで得られるのだろうか……


そういえば、歓迎会もうしちゃったんだよな……

あのときは欠席しか考えてなかったけど、

今思えば、行ってもよかったな。

楽しそうだったし。

とは言っても、友達と遊んだこと無いからな……



「…くん。…宮君!…二宮君!」

自分の名前を聞いてはっと我に返る。

そこは教室、窓から夕焼けが指していた。

教室はオレンジ色に染まっていた。

よく見ると僕の正面には白石さんがいた。

「二宮君。大丈夫?」

「う、うん。大丈夫」

「もー、急にぼーっとするんだからー」

「ごめんね」

「帰ろ?」

「うん」


帰り道。

いつも通り寂しい通り。

いつの間にか隣に白石さんがいることが当たり前になっていた。

僕は少し迷っていた。

今まで考えてなかったけど……ちょっと聞いてみようかな。

「あのさ」

「何?」

「この前歓迎会あったでしょ」

「あー、あったね」

「楽しかった?」

「うん。それがどうしたの?」

「あっ……いや…その……」

あーもう何やってるんだ。僕は。

「その……よかったら一緒に遊びに行かない?」

「えっ?」

「この前の歓迎会に行けなくてちょっと後悔してるんだ。

 だからその代わりって言うか……なんというか……」

白石さんは驚いていた。

それはまぁそうだろうな。

いきなりだし、それに僕から切り出したから……

「まさか二宮君から言われるとは思ってなかったなー」

「え?」

今度は僕が驚く番。

それってどういう意味だ……?

「実を言うと私も二宮君と遊びに行きたいなって思ってたの。

 二宮君、歓迎会の時にいなかったでしょ?」

予想外の展開だ。

「えっと……とても対応に困ってるんだけど。」

「とりあえず『はい!』と言えば問題ないと思うよ」

「あっそうなの?じゃあ……はい。」

交渉成立。

というよりも一方的。

まぁ良いか。


「えっと……じゃあ誰と行く?まさか二人な訳じゃ……」

「え?そういうつもりじゃなかったの?」

「え?」

あれ……なんでこんなに疑問が多いのだろうか……この会話……

「いや……歓迎会みたいに何人かと一緒に……」

「せっかくだから二人で行かない?」

唐突すぎた……

「私ちょうど遊園地のチケット2枚あって、それで二宮君に聞こうと思ってたの」

「えっと…そんな理由で良いの?」

「良いに決まってるじゃない」

彼女はいつものいたずら顔で笑った。

「…この場合も『はい。』で良いのかな?」

「良いと思うよ!」

彼女は親指をグッ立てた。

「じゃあ…いつにする?」

「いつなら暇?」

「特に忙しい日は無いよ」

そもそも忙しくなれない。

「じゃあ…来週の土曜日はどう?」

「空いてると思う」

「よし。じゃあその日にしよう!」

彼女はやけにテンションが高かった。

「二宮君って携帯持ってる?」

「あっ、うん」

「じゃあメアドとか教えてくれる?」

「あー、いいよ」

僕は携帯のメールアドレスを教えた。

「じゃあ時間とか場所とか送っておくね」

「うん」

気づくともう家の近くだ。

「じゃあ、また明日ね」

「うん。また明日!」

そういって別れた。

少し見送っていると彼女は楽しそうに帰って行くのが見えた。



友達と遊ぶ。

また新しい経験が待ってるな……

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