<拾参>
家に帰った僕は部屋のベットに寝転んでいた。
僕の頭の中には白石さんのことしかなかった。
出会ってから今までの出来事。
主に今日の出来事。
頭の中で映像が回っていた。
まるで操り人形のように決められた行動が幾度も幾度も……
僕の頭の中で回り続けている。
こんなこと考えているのはどうしてなのか、僕にはわからない。
ただいろいろなことがありすぎただけなのか、何か別な理由なのか。
もしかしたらこれが世間で言う「恋」なのかもしれない。
僕にはわからない。
わかるわけがない。
遠い過去のこと、僕に告白した人がいた。
『二宮君。ずっと前から好きでした。」
その人は掃除当番で二人でゴミを出して帰る時に僕に告げた。
ただ一言、彼女はそう言った。
僕はその人に質問した。
『好きって感情はどうしてわかるの?』
『えっ?』
彼女は驚いた表情が隠せなかった。
『それは……その、二宮君かっこいいし、それに……』
『そんな理由で人を好きになれるの? それってほんとに人が好きなの?』
今思えばそれはとても酷い一言だ。
その人は黙り込んでしまった。
『やっぱり僕にはわからない』
そう言ってその人を置いて行った。
それ以来その人とは話していない。
今も僕はわからない。
けど何か僕の心の中で訴えかけてるものがある。
聡明でなくて、不透明なもので、
だけど確かで、無視できないもの。
そんな感情が僕の胸をいっぱいにする。
この気持ちいいような気持ち悪いような感情は……なんなんだろう。
「だからなんなんだろうね……」
僕は天井に手をのばした。
その手は何も触れずまた落ちる。
ただ空を掴んだだけ。
得たものは何も無い。
「この頃おかしくなっちゃったかな」
そう呟きベットから跳ね起きた。
携帯を確認するとメールが来ていた。
「いつ来たんだろう……」
僕はメールを開いた。
白石さんからだった。
二宮君へ
今日はありがとう。すごく楽しかった。
また今度も遊ぼうね。
次はカラオケにしようかな、なんて。
これ今日撮った写真です。
じゃあまた学校で。
添付されていた写真を見ると、彼女の無邪気な笑顔が写っていた。
その隣に僕がいる。
こんな所に僕はいて良いのだろうか。
僕は返事をした。
白石さんへ
僕こそすごく楽しかったです。
ありがとうございます。
また遊べたら嬉しいです。
では、また学校で。
相変わらず無愛想なメールと思いながら送信した。
少し変化していたのは薄々感づいていた。
それがどんな変化なのかはわからなかったが……
ただこれだけは言える。
僕は白石さんによって変えられた。




