<拾>
昼ご飯も食べ終わり、僕たちは再び歩き回ることにした。
白石さんもテンションが高くなっていた。
「次は何に乗る?」
「そうだねー」
彼女が悩む。
僕はパンフレットに書かれてある地図を見る。
「あっ!」
彼女は顔を明るくして言った。
「ねーねー。お化け屋敷行かない?」
「お化け屋敷?」
僕は思ってもいなかった。
別に怖いわけじゃないが、率先してお化け存在する場所に行きたがるなんて……
「二宮君、まさかお化け怖いの?」
「え? いや、怖くはないけど」
「じゃあ決定! 行くよ!」
僕は仕方なく彼女について行った。
さて、ここで質問です。
僕はお化けを信じていません。怖くもありません。むしろ会ってみたいです。
では白石さんはどうだったでしょう?
あそこまで言ってたんだから大丈夫だと思った方。
最初は僕もそうだったのですが、
それは大きな間違いでした。
「来てみたのは良いけど……やっぱり怖いわね」
お化け屋敷の看板を前にたった白石さんが言った。
「え? まさか怖いの?」
「ちょっとね」
苦笑いだった。
「二宮君。私のこと守ってくれるよね?」
「えっ?」
不意打ちだった。
そんな風に言われたらはいとしか言えない……
「……うん」
「じゃあ勇気がまだあるうちに入ろう」
僕と白石さんはお化け屋敷の中に入っていった。
お化け屋敷には4つパターンがあると言われている。
歩くものか乗り物、洋風か和風。
この組み合わせである。
今回は和風のしかも歩くものだった。
僕たちの使命は渡された札を一番奥まで持って行き納めること。
肝試しみたいな形式のものである。
その途中にお化けが出るのだが……
さて、どうなることか。
白石さんはとてもおどおどしながら僕の斜め後ろを歩いていた。
暗い夜道を歩く設定なのだがどこか明るい。
まぁ火の玉でも表現しているのだろうか。
お化けは今の所出てくる気配がない。
「白石さん大丈夫?」
「大丈夫」
大丈夫とは言ったものの声は震えていた。
相当怖がっているのだろう。
その時、
横から大きな音が鳴った。
「きゃぁ!」
彼女が悲鳴を上げた。
横を見てみると女性が血だらけだった。
「ほんとにあったら怖いだろうけどね」
僕は呟きながら歩いた。
すると後ろから袖を引っ張られた。
白石さんがしゃがみ込んでいる。
「とりあえず立とう」
僕は彼女を立たせてみたが足が震えていた。
「じゃあ先に行くよ?」
「怖い……」
まるで別人みたいに弱々しい声だった。
「うーん、どうしようか」
僕はこの状況をなんとか打開する方法を考えた。
しかしなかなかいい方法が無い。
すると何かが手に触れた。
冷えきった白石さんの手だった。
「これで……進もう?」
少し戸惑った。
けど、守りたいと思った。
「……うん」
僕は彼女の手を握った。
その後いくつも試練が待ってた。
のっぺらぼう、ろくろ首、からかさおばけ。
いろいろなものが出てきた。
その度に白石さんは悲鳴を上げた。
さすがに泣かなかったものの、
あれ以上いたら涙が流れていたかもしれない。
それでも僕は彼女の手を引いて
出口に着くことができた。
近くのベンチに座ったが、彼女の顔は青ざめていた。
「大丈夫?」
「な……なんとか」
彼女は疲れていた。
「何か飲み物持ってこようか?」
こんな時に僕は何を聞いてるのだろうか。
「じゃあ…オレンジジュースお願い」
「うん」
僕は自販機でオレンジジュースを2つ買い、彼女に持って行った。
「これ」
「ありがとう」
彼女はオレンジジュースをあけて飲み始めた。
最初は飲み方も不安だったが、落ち着いてきたのかゆっくりになっていった。
「ごめんね、変なとこ見せちゃって」
「ううん、気にしないで良いよ」
僕もベンチに座りオレンジジュースを飲み始めた。
「あっ、ジュース代」
「それぐらいならおごるよ」
「良いの?」
「そちらが悪いなら仕方ないけど」
「じゃあ、ありがとう」
彼女は照れくさそうに言った。
「もう大丈夫?」
「うん。これからはお化け屋敷なんか行かない」
「そうだね」
彼女も落ち着いたらしい
「ね、写真取らない?」
「え?」
「記念に携帯でさ」
「あ、うん」
そう言うと彼女が携帯を取り出した。
「じゃあ取るよ?」
「うん」
「ハイチーズ」
カシャという音が鳴り写真を見てみる。
案外良い写真だ。
「じゃあ後でこれ送るね」
「わかった」
やはり彼女は笑顔が似合っている。
「じゃあ次行こうか!」
「うん」




