<九>
太陽が高く上りきっている。
そろそろ昼時だろうか。
時計を見ると11:47とデジタルで表記されてる。
一応電波時計というから結構信じているが、
電波だからといってほんとに正しいかは知らない。
「そろそろお昼だね」
白石さんも時間に気づいたらしく言った。
「そうだね」
僕は頷いた。
遊園地というのはほんとに便利だ。
なんせ飲食ができるレストランがどれにしようか迷うぐらい存在する。
そんなにあってどうするのかと聞きたいぐらいだ。
僕たちは話し合った結果、一番安い所に行くことになった。
要は「何でも屋」だ。
焼きそば、たこ焼き、今の時期はかき氷も定番だが、
そこらへんの食べ物を低価格で販売している場所だ。
「ここのはおいしいんだよー」
白石さんが得意げに言った。
「そうなんだ」
ここのはと言われても他を食べたことが無いから……
「二宮君は何食べる?」
「そうだね。僕は……じゃあたこ焼きにしようかな」
「おっ! 二宮君はお目が高い!」
「そうかな?」
何を基準に……
「私はいつもここに来たら焼きそばなんだけどね」
うわ……たこ焼きの話はなんだったんだろう。
僕たちは店でたこ焼きと焼きそばを買い、席に座った。
「うわー久しぶりだな! ここの焼きそば」
「いつから来てないの?」
「最後に来たのは6ヶ月前かな」
「それは結構いなかった方なの?」
僕から見れば全然問題ないけどな。
「一時期は1ヶ月に2回とか行ってたからね」
その言葉に僕は驚きを隠せなかった。
「それは結構多いね」
「けど行ってみると『なーんだこのぐらいか』ってなっちゃうから」
「そうなんだ」
それは果たして良いことなのだろうか。
「じゃあ食べよ?」
「うん」
僕もおなかがすいていた。
「じゃあいただきます!」
白石さんは手を合わせて言った。
「いただきます」
僕もそれにつられて言った。
たこ焼き8個がお皿にきれいに盛りつけられている。
上にかかっているかつお節がふわふわと踊っている。
一つをはしで口に持っていき、食べてみた。
「……」
「どう?」
「……おいしい」
「でしょ?やっぱりここは最高だよ!」
たこ焼きなんてあまり食べる機会も無く、食べても冷凍だから不味い印象があった。
けどたこ焼きってこんなにおいしくなるんだな……
僕は黙々とたこ焼きを食べていた。
最後の一つを食べようと思っていたその時、
向かい側からはしが伸び、白石さんの口に入った。
「んーおいしい!」
彼女は笑顔でそう言った。
「……」
絶句だった。
あれほどおいしいものを取られるなんて。
まぁ彼女の笑顔が代償なら良いかな。
「あれ? 怒ってる?」
「いや。気にしてないよ」
僕も笑って返した。
「ならよかった」
彼女はいつものいたずら顔で言った
思えばいつからだっただろう……
彼女の笑顔を見るのがとても嬉しかった。
もっと笑顔にさせたかった。
もしかしたら、初めて会った……いや、助けた時からかもしれない。
彼女が悲しむ顔を見たくない。
ましてや涙なんてものは、彼女の瞳から流れてはいけない。
彼女が笑っている。
僕もそれを見て笑う。
いつまで続くのだろうか……こんな僕の些細な幸せが……
どうも、谷川です。
いつも読んでくださってありがとうございます。
ようやく10話目に達成しました。
まだまだ続けるつもりなので、これからもよろしくお願いします。




