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006 交易交差都市フィーニーズ

ブクマ・評価、ありがとうございます٩( 'ω' )و

明日も更新予定です!

 拝啓、ファンの皆様へ……

 こんにちわ、吉田黒斗です。


 気が付けがイドラナルズなる異世界にある森の中。

 そこで、親切な美少女剣士サリーと出会い、冒険者の剣士と魔法使いの二人が襲われていたグランオークと戦闘をしました。


 自分も実際にユーザリオンに変身し、グランオークを倒したわけですが……めちゃくちゃ怖かったです。


 グランオーク戦がひと段落し、自分は三人に連れられて近くの街へと向かうこととなったのですが……


 正直、この世界でちゃんと生きていけるか、まだまだ不安です。



     ★



「あれが交易交差都市フィーニーズ!」


 森から抜け出した黒斗の目に飛び込んできたのは、壁に囲まれた大きな都市だった。

 都市――と言っても、地球的な高層ビル群が立ち並ぶようなものではなく、ゲームやアニメで描かれているようなファンタジー感溢れるものだ。


「クロトって、本当に何も知らないんだな」


 はしゃぐように目を輝かせる黒斗に、ここまで一緒に来たダークブルーの髪色をした男剣士ケイン・マズカが笑う。


 フィーニーズはこの国の首都に次いで、二番目に大きい街であり、知名度だけで言えば首都よりも有名かもしれないと言われている街だそうだ。それを知らないのだから、ケインが笑うのも仕方ないだろう。


「そうね。ほんと、海の向こうの国ですらなく、全く別の世界から来たっていう話に納得だわ」


 陽光に煌めくルビーレッドの髪を指で弾きながら、ケインの言葉にうなずくのは、光術士(キャスター)――この世界では、魔法使いのことをこう呼ぶらしい――の女性ソハル・マウトだ。


 二人はサリーとともに、黒斗へと常識のすりあわせに付きあってくれた。


「クロトが異世界から迷い込んできたって言った時、びっくりしたかな。嘘は言ってなさそうだけど、信じきれないっていうか……」

「そりゃあまぁ、そう思われるだろうって自分でも分かってたから、最初はボカしてたんだ」


 結局、歩きながら話をしているうちに、あまりにも黒斗が何も知らなすぎることから、不自然すぎると三人から半眼を向けられてしまったのだが。


「創世の女神イードーナの存在は常識だもの。土地によっては、呼称が違ってたりするコトはあるけど、まったく知らないなんていうのはありえないから」


 ソハルの言う通り、黒斗が女神の存在を全く知らないという点が、三人を不信がらせた。


 この世界イドラナルズを創り出したという女神であり、どうやら唯一神のようだ。

 女神教という名の宗教も存在し、神話としても、子供の為の寝物語としても、様々に語られる女神なのだそうである。


 そんな女神の存在を知らないという理由を、黒斗はうまくでっち上げることができず、三人には素直に自分の素性を明かすことにしたのだった。


「それでも、三人が俺のコトを信じてくれて助かったよ」

「最初に声を掛けた時に言われたら、流石にわたしでも絶対に信じられなかったし、変わった人だから関わらないようにしようってサヨナラしてた

かも」


 サリーの言葉に、黒斗は苦笑した。

 実際、あの時どうするか悩んではボカしたのは正解だったようだ。


「でも、少しの間のつきあいとはいえ、クロトが悪い奴じゃなさそうだって分かったしな」

「そうね。変身を悪用するコトもなさそうだし。君が信用できる人だって分かったから、信じられたのよ」

「ありがとう」


 黒斗が素直に礼を口にすると、三人は笑みを返してくれる。

 はぐれオークというトラブルがあったとはいえ、最初に出会えたのがこの三人で本当に良かったと、黒斗は心の底から、そう思った。




 街へ入る為に並んでいる馬車などを横目に四人は一般口へ向かう。

 ここに並んでいるのは商人がメインで、それ以外には馬車旅をしている人達なのだそうだ。


 街の住民や、馬車を持たない少人数の旅人などは一般口という入り口から出入りできるらしい。


 こうして街に入るために並んでいる人達を見るだけで、かなり出入りする人の多い街だというのが分かる。

 門から覗く街の中も活気が溢れて賑やかだ。


 交易交差都市という二つ名は伊達ではないらしく、この街の北東には王都が。北西には港があるらしい。

 さらに、森から歩いてきた南街道を道なりに南下して森の反対側へ出ると国境なのだそうだ。


 その為、色んな人や物が溢れる街となっているらしい。


「クロトがこの世界で過ごすにしても、元の世界へ帰る方法を探すにしても、拠点になる街はあった方がいいでしょ?」

「そうだな。フィーニーズは人や物と一緒に情報も集まるしな」

「うん。とりあえずはこの街を拠点にするといいかな」


 三人共同意見のようなので、黒斗も素直に従うことにする。

 身の振り方なども考えていかないといけないな――そんなことを黒斗が考えていると、一般口に辿り着いた。


「こんにちわー」


 気安い調子でサリーが門兵に声を掛けると、彼も馴れた調子で挨拶を返してきた。


「こっちのクロトはワケあって身分証とかないんだけど、私と、ケインとソハルが保証人になるんだけど、大丈夫かな?」


 そう告げてサリー、ケイン、ソハルが何やらカードのようなものを見せている。あれが身分証のようなものなのだろう。


「高ランクの流旅行者(ローディア)一人に、中堅二人が保証するなら、問題無いだろ」

「ありがと。これ、通行料」

「はい。確かに」


 そうして挨拶を交わして街へと入っていく。

 黒斗は門兵と一言も交わしてないことに気づき、彼に視線を向けて軽く会釈をする。

 そんな黒斗に対して、門兵は笑顔で敬礼を返してくれた。


 良い人なんだろうな――などと思っているうちに、僅かに三人から遅れてしまったので、少し早足で歩いて追いついた。


「うーん、クロトがこの先も色んな街に行くなら、どこかしらのギルドに所属して身分証作った方がいいかな」


 門を抜け、大通りを歩きながらサリーがそう口にすると、ケインとソハルもうなずいた。


「だな。まぁ手っ取り早いのはやっぱり流旅行者互助協会(ローディアンズギルド)だろ」

「そうね。むしろ、そこ以外の選択肢がないわね」

流旅行者互助協会(ローディアンズギルド)?」


 黒斗が首を傾げると、サリーが人差し指をピッと立てる。

 どことなく得意げだ。


「わたしたちのような、冒険者を筆頭にした、あちこちに流れる根無し草のような人たちの為のギルドだよ。そういう人たちをひっくるめて、流旅行者(ローディア)って呼ぶんだ」

「傭兵や、魔獣ハンター、商業ギルドに所属してない行商人なんかも、流旅行者(ローディア)ってワケ」


 サリーに続けて、ソハルも同じように指を立てて続けた。

 やはり得意げなので、もしかしたら二人揃って頼りになる女の子アピールなのかもしれない。


「傭兵や魔獣ハンター、行商人なんかはイメージしやすいけど、冒険者って何をやる人なの?」


 黒斗の中にはゲームやマンガなどからくる冒険者のイメージはある。だが、この世界における冒険者のことは知らないのだ。

 そんな疑問が湧いたので訊ねてみると、ケインがそれに答えてくれた。


「世界中を旅して回るコトを楽しんでる人種……かな。あとはまぁ、何でも屋の側面もある。

 流旅行者互助協会(ローディアンズギルド)に張り出される依頼なんかの大半は、冒険者が解決してるしな。

 過去の時代――冒険者って言葉が生まれた頃は、世界中の未踏の地を先陣切って切り拓く怖いもの知らずだったらしいけど、そういう未踏の地が減った今の時代だと、言葉だけが残っちまってる感じだ。

 ちなみにその頃は、流旅行者互助協会(ローディアンズギルド)ではなく冒険者ギルドって名前だったらしいけどな」


 ちなみに、人差し指は立てていない。


「ケインは指を立てないの?」

「別に得意げに話すような内容じゃないしな。冒険者の一般常識みたいんなもんだ。むしろ、二人は何で得意げだったんだ?」

「いや、サリーが指を立ててたから、つい……」

「ちょっと学校の先生みたいな気分になっちゃったから、かな……」


 少しだけ照れくさそうにする二人に、ケインが軽く肩を竦めたところで、三人は足を止める。


「まぁともかく。お話ししてるうちに着いたかな」


 フィーニーズの正門から大通りを歩いてほどなくの場所にあった流旅行者互助協会(ローディアンズギルド)は三階立てで、周囲の建物と比べるとかなり立派なものだった。

ちょっと今回が何も起きなすぎなので、明日も更新予定です。

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