021 サリアリア、駆けるッ!
拝啓、ファンの皆様へ……
どうも、吉田黒斗です。
ケガを治してもらいし、フィーニーズの治療院で出会ったのは、大崎さんそっくりの、高堂院 巧さんに出会いました。
何言ってるんだお前はと思われるかもしれませんが、どうにもこうにも、仮面闘士リオンという自由と平和の使者が実在する世界から、このイドナガルズに迷い込んできたそうで……
私を見て、氷室龍也そっくりだと言ってました。
向こうから見れば、まぁそうなりますよね。
ともあれ、以前であったクリエイテリオンは間違いなく彼で――
そんなこんなで、親睦を深めようってコトで、お昼をごちそうになったりしました。
その帰り道、騎士のウィルサーカーと遭遇。
ウィルサーカーを狙っていた裕樹も交えた、リオン三人で、乱戦という形になってしまいました。
しかし、今回のウィルサーカーはとても強く、渋々といった感じで三人共闘で何とか撃破。
その矢先――謎のリオン……見た目から悪魔リオンとでもよぶような姿のリオンが乱入。
私たち三人を倒し、騎士のガチャプセルを回収して去っていきました。
ちょうどそのタイミングで、サリアリアとケインがやってきて……
事情を把握したサリアリアは、悪魔リオンを追って、路地裏を駆け抜けていったのでした。
なんだか状況が混迷してきた気がしますが、私は無事に帰れるのでしょうか……
★
――駆ける。
――駆ける。
――駆ける。
光力を高め、身に纏い、身体能力を上げた状態でひたすらに駆ける。
サリーはまばらに人の歩く通りを、その人々を避けながら、ひたすらに加速してターゲットを追いかける。
ぶつからないように、すれ違う人にケガをさせないように。
最大限の注意を払いながら、最大速度で駆け抜けていく。
その動きは不規則でありながもリズミカルだ。
地面を踏みしめるたびに響く音が、太鼓のように鳴り響き、次々と打ち鳴らされていく。
集中力も限界まで高めている。
それでも、想定外の出来事には反応が一瞬遅れる。
あるいは、だからこそ反応できたと言うべきか。
わき道から飛び出してくる……まだ、4・5歳くらいの子供がいたのだ。
そしてその子供をかばうように飛び出してくる母親も。
サリーは気づくと同時に真横へと跳ぶ。
屋台の屋根を越え、その先にある建物の壁に足をつけて、そこを蹴った。
ギリギリ回避成功。
チラりとそちらを見れば、どこかやつれているようにも見える母親が、子供を抱きしめて強く目を瞑っていた。
この速度で動くサリーが怖かったのだろう。
あるいは、先ほどのリオンたちの戦いを思い出しているのかもしれない。
どちらであれ、巻き込まれればタダでは済まないと分かっているから怖いのだろう。
それでも、子供だけを守ろうという強い意志を母親から感じ取った。
声を掛けたかったが、そんなことをしている場合ではない。
「ごめんなさいッ!」
聞こえたかどうか分からないが、サリーはそれだけ告げて、石畳の地面へと戻ると、再び速度をあげて謎のリオンを追いかけた。
街の門を飛び出したところで、謎のリオンが街道を外れて森に入っていくのが見える。
「追いつけそうだけど……誘われてる?」
そうだとしても、ガチャプセルを持って行かれている以上、その誘いに乗らない理由はない。
「いくしかない、よねッ!」
そうして、サリーは気配を探りながら森の中へと足を踏み込んでいく。
やや進んだところで、謎のリオンはまっすぐにこちらを向いて佇んでいた。
「お前が、私を追いかけてくる理由があるとは思わないが」
「頼まれたから、かな。ガチャプセル、返してほしいんだ」
「生半な人間では、私には勝てないぞ」
「うん。生半な人間なら、ね」
相手はリオン。
その強さは、知っているつもりだ。
自分の理解してる範囲で強い三人と戦って平然としているこのリオンは、それこそ生半な相手ではないだろう。
だけど――それでも――
サリーはスラリと、剣を抜く。
直接頼まれたわけではないけれど。
だからといって、黙って見過ごすつもりもない。
「サルアリア……行きますッ!」
「いいだろう。少し遊んでやる」
地面を蹴りリオンへと向かっていくサリー。
それを迎え撃つべく、謎のリオンは構えた。
そして、サリーの剣と謎のリオンの拳が交差する……。
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