表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/30

021 サリアリア、駆けるッ!


 拝啓、ファンの皆様へ……


 どうも、吉田黒斗です。

 ケガを治してもらいし、フィーニーズの治療院で出会ったのは、大崎さんそっくりの、高堂院 巧さんに出会いました。


 何言ってるんだお前はと思われるかもしれませんが、どうにもこうにも、仮面闘士リオンという自由と平和の使者が実在する世界から、このイドナガルズに迷い込んできたそうで……


 私を見て、氷室龍也そっくりだと言ってました。

 向こうから見れば、まぁそうなりますよね。


 ともあれ、以前であったクリエイテリオンは間違いなく彼で――

 そんなこんなで、親睦を深めようってコトで、お昼をごちそうになったりしました。


 その帰り道、騎士のウィルサーカーと遭遇。

 ウィルサーカーを狙っていた裕樹も交えた、リオン三人で、乱戦という形になってしまいました。


 しかし、今回のウィルサーカーはとても強く、渋々といった感じで三人共闘で何とか撃破。

 その矢先――謎のリオン……見た目から悪魔リオンとでもよぶような姿のリオンが乱入。


 私たち三人を倒し、騎士のガチャプセルを回収して去っていきました。


 ちょうどそのタイミングで、サリアリアとケインがやってきて……

 事情を把握したサリアリアは、悪魔リオンを追って、路地裏を駆け抜けていったのでした。


 なんだか状況が混迷してきた気がしますが、私は無事に帰れるのでしょうか……



     ★



 ――駆ける。

  ――駆ける。

   ――駆ける。


 光力(クラル)を高め、身に纏い、身体能力を上げた状態でひたすらに駆ける。


 サリーはまばらに人の歩く通りを、その人々を避けながら、ひたすらに加速してターゲットを追いかける。

 

 ぶつからないように、すれ違う人にケガをさせないように。

 最大限の注意を払いながら、最大速度で駆け抜けていく。


 その動きは不規則でありながもリズミカルだ。

 地面を踏みしめるたびに響く音が、太鼓のように鳴り響き、次々と打ち鳴らされていく。


 集中力も限界まで高めている。

 それでも、想定外の出来事には反応が一瞬遅れる。

 あるいは、だからこそ反応できたと言うべきか。


 わき道から飛び出してくる……まだ、4・5歳くらいの子供がいたのだ。

 そしてその子供をかばうように飛び出してくる母親も。


 サリーは気づくと同時に真横へと跳ぶ。

 屋台の屋根を越え、その先にある建物の壁に足をつけて、そこを蹴った。


 ギリギリ回避成功。


 チラりとそちらを見れば、どこかやつれているようにも見える母親が、子供を抱きしめて強く目を瞑っていた。


 この速度で動くサリーが怖かったのだろう。

 あるいは、先ほどのリオンたちの戦いを思い出しているのかもしれない。


 どちらであれ、巻き込まれればタダでは済まないと分かっているから怖いのだろう。

 それでも、子供だけを守ろうという強い意志を母親から感じ取った。


 声を掛けたかったが、そんなことをしている場合ではない。


「ごめんなさいッ!」


 聞こえたかどうか分からないが、サリーはそれだけ告げて、石畳の地面へと戻ると、再び速度をあげて謎のリオンを追いかけた。



 街の門を飛び出したところで、謎のリオンが街道を外れて森に入っていくのが見える。


「追いつけそうだけど……誘われてる?」


 そうだとしても、ガチャプセルを持って行かれている以上、その誘いに乗らない理由はない。


「いくしかない、よねッ!」



 そうして、サリーは気配を探りながら森の中へと足を踏み込んでいく。

 やや進んだところで、謎のリオンはまっすぐにこちらを向いて佇んでいた。


「お前が、私を追いかけてくる理由があるとは思わないが」

「頼まれたから、かな。ガチャプセル、返してほしいんだ」

「生半な人間では、私には勝てないぞ」

「うん。生半な人間なら、ね」


 相手はリオン。

 その強さは、知っているつもりだ。


 自分の理解してる範囲で強い三人と戦って平然としているこのリオンは、それこそ生半な相手ではないだろう。


 だけど――それでも――


 サリーはスラリと、剣を抜く。


 直接頼まれたわけではないけれど。

 だからといって、黙って見過ごすつもりもない。


「サルアリア……行きますッ!」

「いいだろう。少し遊んでやる」


 地面を蹴りリオンへと向かっていくサリー。

 それを迎え撃つべく、謎のリオンは構えた。


 そして、サリーの剣と謎のリオンの拳が交差する……。



新作の読み切りをアップしております

ご興味ありましたら、よろしくお願いします


ファンタジーに癒やされたい!聖域33カ所を巡る異世界一泊二日の弾丸トラベル!~異世界女子旅、行って来ます!~

https://ncode.syosetu.com/n2256fu/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他の連載作品もよろしくッ!
《雅》なる魔獣討伐日誌 ~ 魔獣が跋扈する地球で、俺たち討伐業やってます~
花修理の少女、ユノ
異世界転生ダンジョンマスターとはぐれモノ探索者たちの憂鬱~この世界、脳筋な奴が多すぎる~
鬼面の喧嘩王のキラふわ転生~第二の人生は貴族令嬢となりました。夜露死苦お願いいたします~
フロンティア・アクターズ~現代学園RPGのヒロインに転生しましたが主人公(HERO)とイチャラブしたくないのでルート回避したい。でも世界は滅んでほしくないので奮闘してたら未知のルートに突入しました~
【連載版】引きこもり箱入令嬢の結婚【書籍化&コミカライズ】
リンガーベル!~転生したら何でも食べて混ぜ合わせちゃう魔獣でした~
【完結】レディ、レディガンナー!~荒野の令嬢は家出する! 出先で賞金を懸けられたので列車強盗たちと荒野を駆けるコトになりました~
【完結】その婚約破棄は認めません!~わたくしから奪ったモノ、そろそろ返して頂きますッ!~
魔剣技師バッカスの雑務譚~神剣を目指す転生者の呑んで喰って過ごすスローライフ気味な日々
コミック・サウンド・スクアリー~擬音能力者アリカの怪音奇音なステージファイル~



短編作品もよろしくッ!
オータムじいじのよろず店
高収入を目指す女性専用の特別な求人。ま…
ファンタジーに癒やされたい!聖域33カ所を巡る異世界一泊二日の弾丸トラベル!~異世界女子旅、行って来ます!~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ