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011 ギルドライセンスカード

いつもお読み頂き、ありがとうございます。

ブクマ、評価も嬉しいです٩( 'ω' )و


転移転生ファンタジーの日間にて270位前後あたりに時々顔を出せてもいるようで、みなさまのおかげです。ありがとうございます。

 拝啓、ファンの皆様へ……


 吉田黒斗です。

 異世界イドラナルズにある街フィーニーズにつくなり、ウィルサーカー騒動に巻き込まれてしまいましたが、私は元気です。


 ピンチになったところをクリエイテリオンが助けてくれました。

 てっきり大崎さんもこの世界に迷い込んでたのかと思ったのですが、どうやら違うようで……。


 声は大崎さんだったんですけど、どういうことなんでしょう?


 ともあれ、ウィルサーカー騒動は一段落したので、これからギルドマスターとの面会です。


 元の世界へ戻る方法を探すにしても、この世界での生活基盤を作る必要があるのは確かですからね。


 何事もなくギルドライセンスカードを発行してもらえればいいのですけれど……。



     ★


     

 フレイヤードの森。北部、ミッドの崖付近。


「ケケケッ! オレをそこらの悪ガキと一緒にすんじゃねぇぞ?」

「それはこっちの台詞だガキがッ! 俺たちをそこらのチンピラと一緒にすんじゃねーぞッ!」


 悪ガキと自称するやや背が低い童顔の男性が、三日月のように瞳を細め、三日月のように口元を歪める。


「警告はしたからな――」

「こいつ……ユニーク持ちか!」

「ビビるなッ! 囲んでボコれッ! 相手は一人だッ!」


 そして、悪ガキと呼ばれた青年は周囲を多数の男たちに囲まれながら哄笑し、告げた。


「クカカカカカカッ! 言ったからなッ、オレをそこらの悪ガキと一緒にすんなってッ! 覚悟はいいな……?」


 そして、森の中に――悪ガキと自称した青年に蹂躙される男たちの悲鳴が響きわたった。



     ★



 交易交差都市フィーニーズ

 流旅行者互助協会(ローディアンズギルド) 応接間


「ほれ、クロト」

「ありがとう。おやっさん」


 流旅行者互助協会(ローディアンズギルド)の応接間で、ギルドマスターのバベードが、直々にライセンスカードを手渡す。


 それを受け取り、吉田黒斗は礼を告げた。


「あれを見せられたら信用せざる得ないしな。

 少しだけ特殊なカードを発行させてもらったぞ」

「特殊?」


 横に座っているサリーが首を傾げると、バベードはうなずく。


「お前に渡してるライセンスと同じだ。サリアリア」

「これ?」

「そうだ。お前たちは自分が特殊な存在だと自覚してくれ」


 黒斗はバベードの言葉に首肯しつつ、胸中で首を傾げた。

 自分は確かに特殊な存在だが、サリーは一体どういうことなのだろうか。


「クロトへの説明も兼ねて、サリアリアもまぁ復習だと思ってくれ」


 そう前置いて、バベードは説明を口にする。


 流旅行者互助協会(ローディアンズギルド)では個人の加入理由を聞くことはない。

 だが、個人の能力を在る程度は知っておく必要はあるとしている。


 流旅行者互助協会(ローディアンズギルド)はその能力指標を四つに分類していた。

 それが『戦闘能力』『冒険能力』『商売能力』『貢献度』の四つである。


『戦闘能力』は

 いわずともがな。


『冒険能力』は

 かつての冒険者が持っていたもの、危険に対する嗅覚や未踏の地に踏み込む勇気などの総合力。


『商売能力』は

 商品の目利きや交渉力、販売能力等の総合力。


『貢献度』は

 流旅行者互助協会(ローディアンズギルド)が張り出している依頼をどれだけこなしてくれているか、というものだ。

 

 そして戦闘・冒険・商売をE~Aの五段階、貢献度を1~10の十段階で表すことにしている。


「戦闘、冒険、商売のいずれで一番高いものと、貢献度が、ライセンスカードには記される。

 例えば俺の場合は、これだな」


 そうしてバベードが見せてくるライセンスカードには、彼の名前と、その横に『BB10+』と表示されていた。


「おやっさんのカード、Bが二つあるし、貢献度の横に+とか付いてるけど……」

「おう。一番高いものが複数ある場合はこうなる。俺の場合は戦闘と冒険だな。貢献度10ってのはギルドに対する貢献度だ。ギルドの職員なんかの関係者だったりすると貢献度に対して+って表示がつく」


 なるほど――とうなずいて、黒斗は自分のカードを見た。

 クロト・ヨシダという名前の表記と、その横に書かれたランクは……


「俺のカードは、E+5……?」

「ぶっちゃけ、お前さんは変身しないと戦闘力はそんなもんだろ?」

「否定はできないけど」


 微妙に納得いかずに首を傾げていると、バベードは笑った。


「この光具(クラリティア)の上にライセンスカードを置いてみ」


 そうして彼がテーブルに置いた箱のようなものの上に、黒斗は言われた通りにライセンスを置いた。

 すると、ライセンスが光り輝いて、表示が変わった。


「B+8になった?」

「ああ。スペックだけならAでも良いんだが、戦闘経験が少ないんだろ?

 だからスペックの完全発揮を出来ないと判断してBだ。だが、ランクの横に付く+ってのは、特定条件や状況次第ではその限りではなく、それ以上のチカラを発揮するという意味になる」

「貢献度が8と高めなのは?」

「ガチャプセルなんていう未知の光具(クラリティア)の存在と、その危険性を教えてくれた。そしてその対処が可能な戦闘能力者――となればそのくらい貢献してくれていると言っても過言じゃねぇだろ?」


 バベードからの評価はかなり高いようだ。

 だが、黒斗としては先ほどのウィルサーカー戦でそこまで活躍しなかったこともあり、微妙に心苦しさもある。


「俺は、僧侶のウィルサーカーを止めきれなかったけど」

「そうか? クリエイテリオンとやらが乱入してこなくても、止める手段はあったんだろ?」

「それは、まぁ……」

「なら問題ねぇな」


 ガハハハと笑うバベードに、黒斗は小さく息を吐いた。

 評価してくれているのは嬉しいのだが、どうにも落ち着かない。


「――で、だ。

 お前さんやサリアリアのライセンスに細工してある理由だ。

 ぶっちゃけ、戦闘能力がBを越える奴ってのはそうそういないってのが一つ」

「他には?」

「お前さんもサリアリアも、見た目とランクの不一致がひどい。

 ランク詐欺を疑われる可能性や、イチャモン系のトラブルを避ける為にも、見た目相応にしておいた方が良いってのも一つ」

「まだあるの?」

「最後に――目立ちたくねぇだろ? ランクが高いってのはそれだけで目立つもんさ。ただライセンスに表記されてるだけであってもな」


 横でサリーがうんうんとしきりにうなずいている。


「二つ目、三つ目はほんと大事かな。これはわたしの実体験」

「……なるほど」


 実体験なら納得だ。


「ただ、この手の扱いはかなりの特別扱いだってのは理解できるよな?」

「……ええ」


 黒斗は慎重にうなずく。

 バベードの言い方で、代価があるのだと理解する。

 もっとも、自分に出来る範囲の代価であれば、支払いたいという意志はあるが。


「俺からの特別依頼が発令される場合がある。

 発令時の都合が悪けりゃ拒否してくれて構わないんだが、常に拒否するようなコトはしないでくれ」

「その特別依頼って報酬はでます?」

「当たり前だ。言っちまえば、信用や信頼のある奴にしか頼めない依頼ってだけだからな。相応のモンは出す」

「実際、グランオークの可能性があるはぐれオーク退治の依頼、ちゃんと報酬もらったから」

「特別依頼だったんだ」


 だが、納得できるところもある。

 グランオークの可能性があった時点で、中途半端な戦闘能力の人には依頼できないだろう。

 サリーの強さをバベードが知っていたからこその依頼だったのだ。


「ついでに、この街に滞在している間であれば、便宜を図ってもやれる。

 変身能力について隠したいとかそういう部分であれば、情報隠蔽含めて俺が協力できる範囲でやってやるよ」

「でも、そこまでしてもらっていいんですか……?」

「クラスガチャプセルと……ウィルサーカーつったか? あれの対処に関しちゃ、ギルドでは何も出来そうにねぇからな。対処可能なチカラを持つお前さんを囲い込みたいってのが本音だ」


 可能であればクリエイテリオンも囲いたいそうだが、その正体が不明である以上は手を出せないらしい。


「クロトにも旅する目的ってモンがあるのは承知だ。

 その上で、流旅行者互助協会(ローディアンズギルド)フィーニーズ支部に力添えをしてほしい」


 そう言って頭を下げるバベードに、黒斗は慌ててこちらこそ――と、頭を下げ返す。

 ここまでしてくれるというのは、願ってもないことだ。


「――とまぁライセンスに関する一通りの説明をしたところで、さっそく二人に特別依頼だ」

「まぁ、予想はしてました」

「今度はなにを倒してくればいいのかな?」


 黒斗もサリーも、戦闘能力特化だ。

 そうなると、何かしらの退治が依頼になるのだろうと、サリーはあたりを付けて問う。


 それに対して、バベードはその通りだとうなずいてから依頼内容を口にした。


だいぶストックがなくなってきました。

そろそろ、書き足していかないと……。


次の更新は来週の予定です。

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