ガルルスからの頼まれごと
俺が関係する騎士たちの訓練も一段落し、王都の屋敷などを管理するメンバーの訓練も完了したので落ち着いた日々を過ごしていた。
基本拠点で過ごしているので辺境伯領や王都で何かあってもすぐに連絡が入る体制にしている。
王都で知り合った妖精とコロポックルも拠点で過ごすことに慣れたようで色々な種族と仲良く遊んでいるのをよく見かけるようになった。
今日は珍しく涼しい日だったので庭でお茶を飲みながらエリナさんと談笑していたら急に日陰になったので上を見てみたらガルルスが上空に留まっていた。
その姿を眺めているとゆっくりと降りてきた。
「シュン!すまぬが力を貸してくれぬか。」
「ガルルス、どうした?珍しく慌てているようだけど。」
「うむ。我らが住処に面倒なやつが現れてのぉ。我等より弱いのだが土の中に潜んでおって我等では駆逐することが難しいのだ。」
「なるほど。そこで俺が行って退治してほしいって事だな。」
「そうじゃ。頼まれてくれるか?」
「あったり前だろ。友達の頼みを断れ無いさ!」
「すまぬな。」
「気にしなさんな。んで、相手は結構多いの?」
「ふむ。奴らは地中におるからのぉ。総数は分からんな。」
ん~。俺だけで行っても何とかなるんだろうけど広範囲に広がってたら時間かかるか。多分エリナさんも一緒に行くと言いそうだけど二人でも厳しいかもしれないな。
よし!久しぶりに暴れたいだろうからギルデイさん達を連れて行くか。
「ガルルス、ちょっと待ってて。相手の総数が分からないのなら人数を連れて行った方が良いだろうから今連れてくるよ。」
俺はガルルスの返事を聞いてから辺境伯領の屋敷へと続く扉へと急いだ。
辺境伯領の屋敷に行くと即座にブロンさんがやってきた。ブロンさんの後ろには王都の屋敷で執事を行う予定の執事見習いのレフォンさんが息を切らせながら立っていた。
レフォンさんは王都屋敷の管理者の一人で、ブロンさんに見込まれて執事見習いとして執事とはを習っているのだ。
「ブロンさん、ギルデイさん達を呼んで下さい。」
「承知しました。今すぐ呼んでまいりますのでこちらでお待ち下さい。」
ブロンさんは俺からの要望を聞きながらリビングへと案内し、チェシャさん達にお茶などの指示をした後一礼して部屋を出て行った。
その後をレフォンさんが追って行ったがひとつひとつ教えるのではなく見て盗むの練習中なのだろうか?
後に話を聞いたら時間がある時は丁寧に教えて貰えているのだが、あの時は俺が急いでいそうだったから主人である俺を優先したとの事だった。
仲が悪くなければ問題ありません。ブロンさんよろしくお願いします。
お茶を飲みながら待っているとドアをノックする音がし、返事をするとブロンさんがギルデイさん達を連れて戻ってきた。
「シュン様、お待たせいたしました。」
ブロンさんは扉を開けて手で押さえながらギルデイさん達を部屋へ通した。
ギルデイさん達は椅子に座らず一列に並び俺から声がかかるのを待っている。
なんだ?なんか何時もと違うが何かあったんだろうか?
「え~っと、皆どうしたの?一列に並んで。」
「えっと、我々全員が呼ばれた時はモンスタービートの時でしたので何か緊急事態なのかと思いまして。」
「あ~、そう言えば全員を呼び出すって事ないもんね。まぁ今回もある意味前と同じなんだけど。」
そう言って俺は今拠点にガルルスが来ており、ガルルスからの依頼内容を話何名か一緒に行かないか誘いに来たことを説明した。
久しぶりに暴れられることを知ったギルデイさん達は「承知しました!」と一斉に返事をし戦闘準備を行うために部屋を出て行った。
俺はその背中に向けて「準備できたら拠点にきてねー!」と声をかけブロンさんに留守をお願いしてから拠点へと戻った。
拠点に戻り5分程すると装備を整えたギルデイさん達がやってきた。
ガルルスにどうやって向かうのかを確認したら足に掴まれと言われたのだが、一本の足につき一人しか掴まれないよね、これ?
俺とエリナさんが一本ずつ掴まって、ギルデイさん達をどうするか。
どうやって連れて行くか悩んでいると、目の端に蛇の様な物が映る。
気になってそちらを向くとロープが落ちていた。どうやら蛇に見えたのは頑丈な蔓を追ったロープだったようだ。
ふむ。このロープを使ってギルデイさん達を一緒に連れていくか。
ロープを5メーター位に切り、6本のロープにした。
足を掛けるように結び目を作りもう片方を俺が持てば一緒に連れていけるだろう。
連れて行く方法をギルデイさん達に伝えると「無理ですよ!」「死にますって!」などと騒いでいたが一切合切無視をしておいた。
結び目が解けない様にしっかりと足に固定するように指示し、逆側を俺が手に持ちガルルスの足に掴まった。
エリナさんももう片方の足に掴まりギルデイさん達も準備が整った様なので、ガルルスに合図を行うとバサバサと徐々に浮き始めた。
ぎゃーぎゃー騒いでいたギルデイさん達も覚悟を決めたのか観念したのか分からないが全員ロープを腰に巻き付けてから両手でしっかりと掴み落ちないようにと頑張っている。
そんなギルデイさん達は体が浮いた後に俺の方へと顔を向けるとギルデイさん達の命綱を片手で持っている俺が映りまたギャーギャーと騒ぎ始めた。
上空を飛んでいるので風の音にかき消されてしまったが、真っ青な顔をしたギルデイさん達が可哀想だったのでしっかりと両手で持っておいた。
それを見たギルデイさん達はちょっと安心したようでギュッと目を瞑って下を見ない様にしていたのが印象的だった。
しかし、しっかり持っていたとしても手で持っているだけなので上空を飛んでいるので6人が流されており、たまにぶつかり合った時に「死ぬーーー!」「ぶつかんじゃねーーー!」とか叫んでいる。
それを聞いていたら思い出したのだが、移動ドアで拠点とガルルスの巣を繋げてから来てもらえば良かったな。
うん。あまり考えも無く行動するご主人様でごめんね。
ガルルスは前よりも早いスピードで飛んでおり、想定より早く着きそうだがギルデイさん達の様子が怪しくなってきている。
無理させ過ぎたかな?前世で言うところの絶叫マシンを体験していると思えば耐えられるのではないだろうか?
ただし、ギルデイさん達は俺がいた前世をしらないけど・・・。
3時間程飛んでいただろうか?
ガルルスが住んでいる山が見えてきた。俺はエリナさんとギルデイさん達に目的地が見えてきた事を叫んで伝えるとギルデイさん達は涙を流しながら喜んでいた。
うん。本当にごめんなさい。
ガルルスは巣穴の前にゆっくりと降り立つとギルデイさん達は大地に抱き着くように地面に倒れ込んで大地を擦っていた。
「あぁ。人は大地から離れてはいけないという事を理解しました・・・。あぁ、大地から暖かい愛を感じます・・・」
うん。少し壊れてしまったみたいだね。とても反省しました。
ギルデイさん達が大地にへばり付いていたのでガルルスがイライラしていたが宥めて自分から立ち上がるのを待っていた。
10分ほどするとゴソゴソと起きだしたので少し安心したので、ガルルスに案内をお願いすると溜息一つしてから巣穴へと入っていった。
巣穴ではガルルス達がホバリングしながら巣穴に通じる穴を威嚇していたので、あの穴から魔物が出てくるのだろう。
そう言えば魔物の名前を聞いていなかったがどんな敵なのかガルルスに確認すると蛇の魔物とのことだった。
確かにあの穴から出てくるだけだったら鳥系統のガルルスには対処が面倒なのだろう。
負けはしないだろうが駆逐するのも難しいというもの頷ける。
とりあえず、一つの穴を覗いて見ると奥まったところに赤い目が光って見える。
う~ん?良く見えなかったので少しずつ近づいて行くとイキナリ俺を一飲みにするサイズの蛇が大きく口を開けて飛び出してきた。
「うおっ!びっくりしたー。」
俺は驚愕しながらも蛇の牙を掴み下あごを足で踏んで飲み込まれないように止めると、即座にエリナさんから矢が飛んできて蛇の口内から頭を突き抜けていった。
ギルデイさん達はまだそこまで即座に動けなかったようだが、さすがはエリナさんである。
魔物が攻撃してきたとほぼ同時に攻撃を加えて一撃で蛇の魔物を倒したのだ。
その蛇を見たギルデイさん達は「デスロックバイパーだ。」とつぶやいていた。
デスロックバイパー?ヘビメタチックな名前の蛇だな。
こいつ有名なのだろうか・・・?




