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ペンタグラム  作者: はるひぶ いえん
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大訓練1

さて、早朝から王城へとやってきたらダラアス様から暑苦しい歓迎を受けてげんなりしたがダラアス様の後ろには真剣な顔をした騎士たちが100名ほど並んでいた。


・・・ん?50名じゃなかったっけ?


「あのぉ~、ダラアス様。50名ではなかったでしたっけ?」


俺がそう言うとダラアス様は少しだけ顔を背けながら「いや~、選別してたらなぁ」とかブツブツと俺に聞こえない声で呟いていた。

仕方ない。今回の道具は50名ほどを想定しているため二組に分けて訓練をやっていくしかないな。

ダラアス様はまだブツブツ言っていたが声を掛けると反応したため今からの訓練の方法を伝えることにした。

長距離、短距離、ダッシュなど走る事をメインとした訓練をダラアス様が見て、筋力を上げる訓練、戦闘訓練、魔力訓練を俺が見ることで100名の騎士たちが休むことなく訓練し続けるように計画した。


ダラアス様から本日から始まる訓練の概要が伝えられると今回集まった騎士たちの顔面が蒼白になった。

よく見たら100名中20名は女性の騎士っぽくかった。

今回訓練を受ける騎士たちの両手足には鍛冶師たちに作って貰ったリング状の重りを付けて貰っているのだが男性は片手に4個づつ、片足に4個づつ付けて貰ったのだが、女性には半分の2個づつにした。

希望者には4個づつ付けて貰ってもよいと言ったのだが誰一人として付ける人はいなかった。


そして訓練の最初として、全員で走り込みを行う場所を掘る事から始まった。

俺が魔法でやればすぐに完成するのだが、実力を見せる必要は無いため今回の訓練のメニューに組み込んだのだった。

400メートルトラックを深さ1メートル程掘るため単純計算で一人2メートル四方を掘る程度なので余裕と思いがちだが実際には前世の様な道具もないため物凄く重労働なのだ。


それでも騎士としての意地か休みも取らずにどんどんと掘り続け2時間位で予定通りの穴を掘り上げた。

それを達成した騎士たちは汗を流しながらも達成感からか全員大声を上げて喜んでいた。

皆が一体感を味わっている所申し訳なく思ったが、今から俺が管理している研究施設まで砂浜の砂を取りに行くようにダラアス様に指示して貰った。

研究施設に置いてある砂は昨日のうちに拠点を経由して海から運び込まれた砂浜の砂だ。

研究施設までは俺のアイテムボックスで運んでいるのであっさりと運び込まれたが、今から騎士たちは各自ふた袋持って研究施設まで全速で走り砂を詰めて王城まで戻り砂を入れるを繰り返すことになる。


王城から研究施設までは往復で大体2キロほどあり片道は袋を持っているだけなので大したことはないが、砂を詰めてふた袋を持って戻ってくるときが地獄だろう。

研究施設にはダラアス様の執事たちが監視役として待機しており不正が出来ない様になっている。

研究施設以外の土だとまるわかりなので不正がバレバレなので見つかった時にダラアス様が制裁を与える事が伝えられている。

今この説明の時間だけが騎士たちの休憩時間だ。


説明が終わると王城から研究施設までダッシュが始まった。

何故ダッシュしているかと言うと、この穴に砂が埋め終わらないと昼食が抜かれるからだ。

さらに入れた砂の量によって食事に差をつけたため騎士たちが目の色を変えたのだった。

特に女性騎士はデザートのフルーツや選べる昼食のパンケーキの見た目で鬼気迫る覇気をまき散らしていた。

男性騎士も普段見ることが無い分厚いステーキに涎が止まらないようだった。


穴をうめるためには何十往復もしないといけないのを理解していないのか騎士たちはやる気を出して走り出しているが多分2回ほど往復すれば気づくだろう騙されている事に。


1立方メートルが1000キログラムのはずなので、今回一人2000キログラムの土を運ぶ必要がある。

皆が持って行っている袋に1キログラム入ったとしても一回でふた袋運んだとしても1000往復。

うん。今日はこれだけで終わるな。さすがに1000往復も出来るわけはないので、ダラアス様に空いている騎士たちを何名か途中参加させて土を運ばせることにした。


土運びが終わるまで昼食抜きはさすがに可哀想なのでお昼近くになったら運んだ回数が多い人から昼食を選べるようにすることをダラアス様と相談した。

ダラアス様が選んだ騎士だけあり全員が真面目に土を運んでいるが普段の訓練とは一味も二味も違う訓練に苦しんでいるようだ。

顔がえらいことになってしまっている。ちょっと映してはいけない顔になっているな。


ダラアス様はお昼時間が多少過ぎたので土を運び終わった人たちに休憩を指示して貰っている。

全員が戻ってきた時に回数を計測して貰っているメイドさん達にそれぞれ運んだ回数を発表してもらい回数が多い人から順に好きな物を選んで行ってもらった。


肉料理を嬉しそうに昼食を選んでいるが胃が受け付けるのだろうか?

ぜはぁぜはぁ言ってるがあれだけ疲れていると肉なんて食べれないと思うんだが騎士たちは違うのだろうか?

確かに戦争とかになると食べる物を食べないと力が出ないし我儘を言う事なんて出来ないのかもしれないけど普段ここまでの訓練をしていない騎士たちにはそこまでの心構えは無いだろう。


疲れていない状態で嗅いだ匂いに釣られて肉料理を注文した騎士たちはいざ食べるという段階で体が受け付けない事に気が付いた。


「ぐっ、こ、これは。。。匂いだけで体が受け付けない・・・。な、なぜだ・・・」


何人もの騎士たちが昼食を食べることに躊躇していると、それを見たダラアス様がニヤリと口角を上げて騎士たちに発破をかける。


「お前たちはこの程度で飯を食えなくなってしまう程ひ弱なのか!俺らが戦争をしていた時は立ち上がる事も出来な時でも飯を食っていたぞ!何故そんな事ができたかというと飯を食わねば力が出ずに死んでしまうからだ!

 今は所詮訓練だ、飯を食わんでも死にはせんだろう。しかし!今から帝国と戦争になったり獣魔の森から魔物が溢れたとしたらどうする!今でこそどんな時にでも食えるようになっておくのも訓練だと思わんか!」


ダラアス様が発破をかけると騎士たちは「「「「おおおおおお!」」」」と吠え出し無理をして昼食を口に入れ始めた。

女性騎士たちも負けじとパンケーキを頬張っているが、その美味しさに頬に手を当て笑顔を振りまいている。


走っている途中で水分補給は行えるようにしているのだが、やはり食事中でも水の消費は激しい。

水瓶で準備していたがどうやら足らなさそうだ。俺は急いで井戸へと走り水瓶に水を補給してメイドさん達に渡して騎士たちへ配るようにお願いした。


昼食を取った後に大体30分程の休憩を取るようにダラアス様から指示して貰った。

休憩が終わるとダラアス様の号令の下再度砂運びが始まった。

お腹がいっぱいになると思ったより動けなくなる事に騎士たちは驚いていた。

午後からも砂運びを繰り返すことになるのだが、さすがに休憩なしで走らせることはせずに感覚的にだが3時ごろに休憩をはさみ夕方まで砂運びが続けられた。

3時以降は騎士たちも立ち上がる事が出来ずにへたばっている者が殆どだが根性で走り続けている騎士も何名かいた。

その中に3名ほど女性騎士が居たことにちょっとびっくりした。


ダラアス様はこの結果にお怒りだったが俺は予想より頑張っていると考えていた。

まあ、砂は半分も埋まってないけどね。

夕刻の鐘が鳴り響くと本日の訓練終了が告げられダラアス様からの訓示が騎士たちに伝えられる。

うん。結構厳しいなダラアス様。

これで明日の訓練に参加するのは半分いれば良い方なんじゃないかな?


解散が告げられると騎士たちは各々肩で支えあいながら王城へと消えて行く。

それを見たダラアス様の顔は苦々しくなっているがまだ初日だという事を告げて宥めておいた。

俺は夜の間に砂を運んでおくので何度が城門を潜る許可を取ると研究施設まで走って戻り大きな箱に砂を入れて二箱肩に担いで城門を数回通り残りの砂を運び込んだ。


アイテムボックスを使えば一回で終わるのだが、それを王城の人に見せるわけにはいかないので何度も運んだが俺が持っている箱が異常に大きかったので城門を守っている騎士は目を剥いていた。


今日の騎士たちは本当に頑張っていたと思う。

しかし、拠点で訓練しているうちの新メンバーの方が辛い訓練内容なんだが。。。


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