珍しい
朝食を食べたあと、こっそりと辺境伯領の屋敷へと移動してブロンさん達と話をした。
久しぶりに会った皆は元気に過ごしていた。
少し事件があったようだが、元子爵家の執事をしていた優秀なブロンさんが指揮をとり事件を解決してくれたようだ。
本当にありがたいことです。
エリナさんも気にかけていた元スラムの子供たちも事件に巻き込まれたと聞いた時は顔色を変えていたが、無事に救出されたと聞いて安堵していた。
依頼の途中で別れたギルデイさんたちも無事に戻ってきており、調査結果をきいたが変な石板が見つかっただけで他には普通の迷宮に戻っていたらしい。
今その石板は辺境伯の下で分析されているところで手元にはないそうだが、石板をみた皆が覚えている範囲で模様を再現した紙をみたが錬金術の魔法陣に近い内容だった。
その模様をみた地球が分析するために俺の頭の中でブツブツと喋っているのが鬱陶しいくらいだ。
頼むから夜はブツブツ言わないでくれよ?最近あまりきちんと寝れてないんだから。
さすがに辺境伯領の門から入っていないため施設にも行けないのでチェシャさんに拠点には戻ってきているので何かあったら明日の朝にでも拠点へ来てねと伝言をお願いした。
辺境伯領でゆっくりした時を過ごしてからシェリアリアスを連れて王都へと移動した。
「ふ~ん。ここが王都かぁ~!さすがに大きそうね。一日中飛んでも回れなさそうだわ。」
「おいおい、さすがに危険だから一人での移動はやめてくれよ。何かあったらローラーンさんに怒られちゃうからな。」
「分かってるわよ。ちゃんとエリナの胸元に入っていくわよ!」
「なんでよっ!頭や肩に乗ってもいいでしょ!」
「珍しい。エリナがツッコミを入れたわ。」
「はは。さすがのエリナさんもシェリアリアスには突っ込まざるを得ないか。」
俺がそう言うとエリナさんが顔を赤くして俯いてしまった。
それを見たシェリアリアスがエリナさんの周りを飛んで揶揄っていた。
あ~、平和な光景だ。この安心できる空間があればこそ頑張れるというものだ。
「さて、そろそろシェリアリアスに研究施設を案内するよ。その後俺は奴隷商の所に行ってくるので、エリナさんとシェリアリアスは王都を散策しておいで。奴隷商に行っても何も楽しい事なんてないからさ。」
「ほんと!やったー!エリナ、一杯王都を見て回りましょ。さぁ!さっそく行くわよ!ふぇぇぇぇどいぃぃぃぃん!」
それ、どっからの知識だよ!
エリナさんはライ〇ィーンかよ!
ずざぁ~っとエリナさんの胸元へと入り込んで上半身を出したシェリアリアスは指を外に向けた。
「エリナ号、はっしん!」
パシンっ。さすがにエリナさんから頭を叩かれた。シェリアリアスは涙目になりながら頭を擦り調子に乗り過ぎた事をエリナさんに謝っていた。
俺たちは師匠の屋敷を出て研究施設へと向かいシェリアリアスに施設を説明しているとシェリアリアスは外をしきりに気にしだした。
「ん?どうした?」
「んとね。外に何か感じるの。ちょっと、外見てくる!」
「お、おい。ちょ、待てよ!」
シェリアリアスが外に向かって飛んでいき、俺たちが行っていない施設の裏側にある雑木林へと入って行く。
ってか、研究施設広すぎないか?壁が見えないってことはここもまだ研究施設の一部なんだが。。。
雑木林へ入って少し飛んでいたシェリアリアスが困惑したようにその場で立ち止まった。
「う~ん。この辺りで何かを感じるんだけど。。。なんだろう?何か妨害されているような感じがする。」
「ん?確かに何か感じるな。う~ん。。。ん?あれって認識阻害の魔道具じゃないか?」
俺は木の洞に隠された魔道具を見つけると洞の中に手を入れて魔道具を取り出した。
魔道具の稼働を止めると辺りの景色が変化していく。この魔道具師匠が使っていたやつより高性能だな。
辺りの景色が変わると目の前の木々に鳥小屋のような小さな家がそこかしこに設置されていた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!ウルじゃないわ!皆でてきてー!」
急に大声が聞こえてくると鳥小屋の中から小さな妖精たちが木の枝?の様な物を手に持ってぞろぞろと飛び出してきた。
「お、おう。ちょ、ちょっとシェリアリアス何か攻撃されようとしているんだけど、知り合いじゃないの?」
「えっと、知ってる子はいないけどちょっと声かけてみるね。
こんにちは。私はルメシュールの森出身のシェリアリアス。こっちにいるヒューマンはシュン、そしてエルフのエリナよ。
あなた達に害は与えないので安心して、その物騒な物を仕舞ってくれない?」
「我はリメラミンの森のイトエステル。我々の住処に来た理由を伺いたい。」
「この場所はここにいるシュンが受け継いだので見て回ってたのよ。それで何か変な感じがしたからここに来たら貴方たちがいたってわけよ。なので特に来た意味はないわよ。」
「それで、我々をここから追い出すのか?」
「そんなつもりはないけど、この魔道具はどうしたの?先ほど言ってたウルって誰なの?」
「むっ。その魔道具は我々を守るためにウルが設置して行ってくれたものだ。ウルはこの場所で働いていたヒュームの女だ。なんでも錬金術というのを勉強していたが錬金術よりも魔道具作りが楽しいと言ってた変わり者という話だ。」
「「「「時々ここにきてお話してるよ。」」」」
ふむ。ダラアス様が管理していた時に入っているということはダラアス様の関係者か不法侵入者か。
どっちにしてもここで錬金術を習っていたという事は俺の姉弟子になるのかな?
まぁ、いつか会えるかもしれないし、その時に話をきいてみるか。
「えっと、この施設は俺が引き継いだんだけど君たちを追い出す事はしないので安心して下さい。もしここでの暮らしが窮屈ならシェリアリアスが住んでいる所へも紹介できるので気軽に声をかけて下さい。この施設内であればどこでも移動してくれて構いません。というか、反対に色々と教えて下さい。」
「「「おぉぉ!ウル以来、ヒュームに優しくされたぞ。」」」
ガサッ!
妖精達がいる雑木林の奥から60センチにも満たない小さな小人が雑草をかき分けて現れた。
「ノーム?」
「いえ、彼らはコロポックルです。精霊のノームではありません。」
「コロポックル?」
「はい。彼らは妖精ノームとの間に生まれたとも言われていますが、彼ら曰く違うらしいです。地の精霊ノームを崇拝しているそうで、私たちと同じくここで過ごしています。」
「コロポックルさん。こんにちは。シュンと言います。」
「クポポ。コロポックルのコロロくぽぉ。あなたから精霊の匂いがするくぽぉ。不思議な感じがするくぽぉ。」
「精霊の匂いですか?クンクン。私にはわかりませんね。」
イトエステルが俺の周りを飛んで匂いを嗅ぐと、他の妖精たちもパタパタと俺の周りを飛び回り匂いを嗅いでいく。
「ちょ、ちょっと。なんか恥ずかしいんですが。。。」
上ばっかり気を取られていたら足元にコロポックルが沢山いた。
「おぉう!この雑木林にこんなにもいたの?てか、見渡しても木の上にしか家がないんだけど、コロポックル達はどこに住んでるのよ?」
「クポポ。僕たちは木の根元に穴を掘って住んでいるくぽぉ。」
妖精たちは木の上で、コロポックルたちは木下の土の中か。住みわけが出来るわけだ。確かに、ここは雑木林なんだけど食料となるようなものが見当たらないんだが、この子たちは何を食べているんだろうか?
「ちょっと疑問なんだけど、君たちってここに住んでいるんだよね?普段何を食べているの?」
俺がちょっとした疑問を口にすると妖精達やコロポックル達はず~んと気落ちしていった。
あれ?聞いちゃいけない事聞いちゃったか?
結構時間が経ってからイトエステルが話始めた。
「この林には木の実が生っていたのですが、ここに人が住まなくなって手入れをする事が少なくなり木々に栄養が行きわたらずに弱ってきているのです。
私たちも出来るだけ手入れしてたのですが、体が小さくあまり広範囲の木々の手入れができず育つ木の実が少なくなってしまったのです。」
ほっほ~。結構良いタイミングで出会ったんじゃない?
精霊達の導きかな?
シェリアリアスが期待した目で俺の方を向きサムズアップしていた。。。




