研究施設
イレイブ様お屋敷をお暇して師匠のお屋敷に戻る前に寄り道して研究施設へとやってきた。
うん。でかいな。ここが王都ってことを忘れてしまう位の土地の広さだ。
一応師匠は平民扱いのはずなんだけど錬金術師として数々の偉業を成し遂げたため、ここまで広い土地と屋敷が手に入ったのだという。
うん。ここだけで管理する人が10人は必要だな。
ってか、この庭に生えている木々って錬金素材になるやつだったよな。
流石師匠だな、錬金素材でこの景観を作り出してしまうんだから、、、いや、あの師匠がそんなことする訳がない。
この景観は弟子が作ったものだろう。たしか、師匠の弟子で整理整頓が得意な女性がいたと聞いた事があった。
たぶん、その方が植える位置などを考えて作ったのだろう。あの師匠がそんな事まで考える分けがない。
さてと、見て見ぬふりしてた3階建ての研究施設をきちんと見学するかぁ。
今代の建築技術で3階建てってすげーんだけど、耐震強度とかは計算されていないんだろうな。
俺はダラアス様から頂いた鍵で施設の扉を開けると大き目の通路と幾つかの扉があった。
それぞれの扉を開けると前世の会議室の様な大部屋が何個もあり机と棚が並んでいた。
棚の中は長期保管が可能な素材がそのまま置いてあり、研究施設と呼ばれるだけある素材が唸っていた。
一階は素材置き場と一番奥の扉は倉庫となっており大量の乾燥素材があった。
幾つかの素材を見てみたが、研究で使う分には問題ない品質だった。
二階へと上がると教室らしき部屋と錬金術で使用する機器が置いてある部屋が5部屋程あった。
ダラアス様が管理されていただけあり、埃一つない綺麗な状態で今からでも研究を開始出来る程であった。
最後に3階に行くと師匠専用の部屋だったようで、下の階にはない素材がゴロゴロと置いてあった。
ただ、掃除を担当された方も置いてある素材には手を付けるなと言明されていたのか床とかにも素材が落ちていた。
余りにも散らばった部屋に俺とエリナさんは我慢が出来ず、落ちている素材などを拾って片づけた。
「ふ~、しかし師匠って物事に無頓着過ぎるだろう。こんな立派な施設や屋敷を放り出してあんな蟲の谷なんかで住んでいたんだから。幾ら必要な素材があそこにしかなかったと言ってもな。でも、そのおかげで俺は色々と教われたんだけども。」
「シュンさんがアリストテレス様と出会わなければ私も今この場に居られなかったと思います。私はアリストテレス様にとても感謝しています。」
俺はエリナさんに微笑んで、「そうですね。師匠には生きて行くすべなど色々と教わり感謝しかありません。」と返した。
エリナさんと俺は笑顔で頷きあった後笑いあった。
各部屋を見て回った俺たちは施設を施錠して屋敷へと戻った。
屋敷に戻ると移動ドアを設置して拠点へと行くとシェリアリアスが突撃してきた。
「今までどこ行ってたのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!私とっても暇だったんだからぁぁぁああぁぁぁぁ!」
シェリアリアスのドロップキックを顔面に受けて頭がクラっとしてふらついてしまった。
「ちょっとシェリアリアス痛いんだけど、ウィルシアさん達から王都に行ったって聞いていたでしょ?」
「聞いてたけど暇なものは暇なんだもん!私だって王都に行ってみたかったっ!」
「ははは。移動ドアを設置してあるから行けるけど、さすがにシェリアリアスたち妖精が一人で飛び回るわけにはいかないよ?」
「むぅぅぅぅ。ぶーぶー!私もどこかに連れてってよー!ここでお酒作りにあきたのー!」
「わかった、わかったって、明日の昼頃に王都に行くのでエリナさんのポケットに入って一緒に行こう。」
「やったー!絶対私も一緒に行くからね!絶対に!イエーイ!」
そういうとシェリアリアスはどこかへと飛んでいった。
シェリアリアスの騒がしさが一段落した事で自分の家へと戻りエリナさんと一緒にお茶を飲んでいると辺境伯領のギルドにポーションを納品し終えたシュテーナちゃんが戻ってきた。
「あ、シュンさん、エリナさんおかえりなさい。ご無事で安心しました。」
「ただいま、シュテーナちゃん。長い事留守にしてごめんね。留守の間何か問題なかったかな?」
「はい、私の方は特に問題はありませんが、施設の方で何度か問題がありましたが一応全て解決してます。」
「ん?何があったの?」
「え~っと、施設を手に入れようと大商人の方や貴族の方たちが手を出してきたり、施設にいる子供たちを攫ったりする人たちがいたのですが、ブロンさん達や副ギルドマスター、ディネステーナさん達が頑張って事件を解決しました。私も手伝ったんですよ!」
「お~!シュテーナちゃんありがとうね。皆も無事みたいでよかった。ディネステーナさんも手伝ってくれたのか。今度お礼しておかないとな。」
シュテーナちゃんと近況の話し合いをしていると夜も更けて3人で夕飯を食べてから久しぶりに自分のベッドで寝ることができた。
あ~、やっぱり自分のベッドって何物にも変えられないよね。
できれば一日中ベッドでゴロゴロしたい。・・・、今世なら誰にも何も言われないだろうからやろうと思えばできるんだけどね。
朝日が昇ると空いている窓からシェリアリアスが飛び込んできて寝ている俺の額の上に座り込んだ。
頭に違和感があり薄目を開けると上からシェリアリアスが覗き込んでおり、ビックリして起き上がった。
「シェリアリアス、もう少し優しく起こしてくれないかな?そしておはよう。」
「おはよう、シュン。シュン達に忘れられない様に今日はシュンの頭の上にいようと思ってね!」
「そんなことしないよ。ふあぁぁぁ!シェリアリアスは朝ごはん食べた?」
「いいえ、まだ食べてないわ。」
「そうか、んじゃ準備するから一緒に食べようか。何かリクエストはある?」
「ん~。久しぶりにシュンのオムレツが食べたいわ。私たちだけだと卵を貰っても使い切れないからあまり食べないのよね。」
「了解。んじゃ、顔洗ったらバザン達に産みたてを貰いに行くか。」
「ハーイ!」
シェリアリアスは俺の頭の上に乗って元気よく返事をした。
自分の部屋から出てリビングへ向かうとエリナさんは朝風呂に入っていたようで、火照った体を冷ましていた。
「おはようございます、エリナさん。」
「あ、シュンさんおはようございます。」
「今日の朝食はシェリアリアスの希望でオムレツを作りますが、オムレツでよかったですか?」
「はい。私もお手伝いします。」
「ありがとうございます。まずは、バザン達の所へ行って卵を貰ってきますのでゆっくりしていて下さい。」
「はい、ありがとうございます。もう少し体を冷まさせて貰いますね。」
俺は家を出てバザン達が住む場所へと歩き出すと俺を見かけたサンダーバードたちや妖精達の挨拶にやってきて、久しぶりに皆と会話を楽しみバザンが住んでいる場所に到着すると小さいバザン達から一斉に攻撃された。
サクッと攻撃を躱していると大きいバザンがクエーーーと鳴き、小さいバザン達を叱りだした。
言葉が分からないので叱っているように見えているだけだが。。。
大人のバザン達を宥めて無精卵を数個貰って家へと変えるとシュテーナちゃんが起きてきた。
シュテーナちゃんは自分の家ではなく俺の家に住んでいるんだが親子の仲は良いらしい。
ハイエルフに進化した事で、親同士の仲が良くなり過ぎたために自分の家に住み辛くなって俺の家か辺境伯領の屋敷に住んでいる。
拠点の家にも辺境伯領の屋敷にも個室はあるのだが一人は寂しいらしくルールチェちゃんと一緒の部屋で寝泊まりしている。
今日は俺たちが帰ってきたのでこっちの自分の部屋で一人で寝たみたいだ。
「シュテーナちゃんおはよう。朝ごはんはオムレツを作るけどそれで良い?」
「おはようございます。シュンさん、オムレツ楽しみです!」
「おっけー!」
俺は久しぶりに料理を作る事でテンションが上がり、時間がかかるフワフワオムレツを作ったのだった。
「遅くなってごめんね。ちょっと調子に乗り過ぎちゃって・・・。」
「いえ、朝からとっても美味しそうですごく楽しみです!」
「そうね、すっごくフワフワしてて今まで食べた卵料理とどう違うのか楽しみですね。」
エリナさんとシュテーナちゃんは早速とばかりに食前の祈りを済ませて食べようとしたところで
「おぃしぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!なにこれなにこれ!すんごいふわふわ~!!!」
何事かと声がした方に目をやるとシェリアリアスが俺のオムレツに頭から突っ込んでいた。
おいおい。君のはきちんと別で作ってあるでしょうよ?
後で俺のを食べた理由を聞いてみた所とても美味しそうだったから沢山食べたかったらしい。
ふぅ。エリナさんもシュテーナちゃんも笑いながらオムレツを美味しそうに食べてることだし、まぁいいか。




