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ペンタグラム  作者: はるひぶ いえん
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師匠からの依頼

というわけでぇ、私は今王都にいるというわけです。

今はゴレリアス様の治療を終えてお茶を頂いている所なんですねぇ。

ニアーナ様は泣きつかれたのか少し部屋で休んでいるらしく、俺とエリナさんはゴレリアス様の体内から出てきた瘴気を放つ石を観察していた。


「これ何なのでしょうか?」


「え~っと、師匠が残した資料によると、師匠が診察した人は、死霊と戦いその時に攻撃を受けたらしく胸元に小さな傷があったらしいです。多分ですが、この石はそこから発声したのだと考えられるという考察ですね。高位の死霊が魔力の代わりに纏うようになるものを瘴気というらしく魔力より強力な力があると言われています。」


「高位の死霊ですか。ゴレリアス様はその死霊と戦われたのでしょうか?」


「う~ん?ゴレリアス様は貴族ですからね~。そんな危険な場所に行くとは思われないんですけど。」


「そうですよね?でも、この石何か嫌な感じがしますね。」


「ええ。素手で触らないで下さいね。ゴレリアス様に入ってた時に魔力で攻撃してみたんですけど、何かが起こったみたいでゴレリアス様が苦しんでしまいましたから。ちょっと、分析の魔法陣で調べてみましたけど瘴気を持った普通の石って結果でしたが、明らかに石が瘴気を放つのは普通じゃないですから。」


「はい。気を付けます。」


俺はエリナさんと取り留めない話を続けながらもアイテムボックスから石材を取り出して小箱を作っていた。

誰の手にも触れられない様に小石を入れて置くために作ってるのだが、木で作ると何か瘴気が浸透していきそうな気がしたからだ。

まあ、もとが石なのに石箱に入れて浸透しないのかと思われるのだが、この石箱の中には聖水を入れておくので問題ないだろうという認識だ。

何かあっても責任持てないけどね。

俺は石箱を作り上げるとエリナさん達の村で使った聖水を入れてピンセットで小石を摘み聖水の中に沈めた。


少しすると小石から小さい泡がプツプツと湧きでてきた。お茶を飲みながらその様を観察しているとニアーナ様が体調が戻ったのか俺たちの元へとやってきた。


「エリナさん、シュンさん。この度は夫、ゴレリアスをお助け頂きありがとうございました。」


ニアーナ様はそういうと一礼した。俺は即座に立ち上がり「いえいえ」と反対に頭をさげた。

偉い人に頭を下げられるのに慣れていない平民のサガだろうか。いや、前世の社会人としてのサガなのだろう。

だって、エリナさんはポカーンと俺の動きを眺めていたからだ。


ニアーナ様は俺たちの対面へと座り、俺が作った石箱を眺めて手で触ろうとしたので急いで止めた。


「ニアーナ様、これはゴレリアス様から抽出した瘴気を放つ小石を聖水に漬けた物です。瘴気を放つ石をそのまま触るのは危険ですし、聖水で中和していますのでお触りにならない様にお願いします。」


「これが夫の中にあった石ですか。何故こんな物が夫の中に・・・」


「私たちも話し合ってましたが、師匠が残した資料によると師匠が診察した患者は高位の死霊と遭遇して逃げる時に攻撃を受けた場所から出てきたらしいのですが、ゴレリアス様はそういった危険な場所に行かれるとは思いません。」


「ええ。その通りだと思います。夫は王都から外に出る事はありますが、ここ2年程は出ておりません。王都でも死霊が出たという話は聞いた事がありません。夫はどこで傷を負ったのでしょうか・・・」


「う~ん。まぁ、考えても分からない物は考えても仕方ありません。とりあえず、病の元は取り払ったと思いますが数日は安静にして様子を見て下さい。」


「はい、メイド達にも指示を出しておきます。シュンさん達もお忙しいと思いますがもう暫くここにご滞在頂き何かあった時に直ぐにご対応頂きたいのですか・・・。」


おう。どうやらまだ開放されないようだ。しかも何かあった場合に備えて王都見物も出来ないようだな。

まぁ、乗り掛かった舟だ。俺たちが帰った後にまた何かぶり返したら元も子もなくなるし、寝覚めも悪いからな。


「分かりました。何が出来るかわかりませんがゴレリアス様が回復されるまでお世話になります。」


俺たちはニアーナ様のお屋敷である意味軟禁状態で数日を過ごす。その数日はメイドさん達に薬の元となる材料の買い出しや、ニアーナ様との囲炉端会議に精を出した。

治療をしてから3日後、ゴレリアス様が起き上がれるようになったとの連絡が入った。


執事のセバセチャン(おしい!)にゴレリアス様の寝室へと案内されて意識がハッキリしているゴレリアス様と面談した。


「お初にお目にかかります。シュンと申します。ご気分は如何でしょうか?」


「ああ、君が私を助けてくれたシュン殿かね?朦朧とする意識の中君の声がはっきりと聞こえたよ。何故かは分からないが私を助けてくれる声だと感じ、君からの提案を安心して受け入れられたのを覚えているよ。」


俺はゴレリアス様からの手放しの称賛に赤面するほど照れてしまい頭を書いて誤魔化してた。

それを見ていたエリナさんは微笑まし気に眺めているのが見えてさらに顔が真っ赤になった。


「はっはっは。命の恩人である大錬金術師殿は功績を誇らぬ奥ゆかしい性格のようだな。私が今こうやって話が出来るのはシュン殿のお蔭だ。この恩は必ずお返しする。何かあったら何時でも相談してほしい。」


「いえいえ、ニアーナ様の頑張りがゴレリアス様を治したのです。感謝はニアーナ様にお願いします。私は師匠からの遺産に助けられただけです。」


「ふふふ。本当に奥ゆかしい。ニアーナ、シュン殿の言う通り君が私を助けるために奔走した事は従士長から聞いている。本当にありがとう。お蔭で命拾いしたよ。」


ゴレリアス様がニアーナ様にお礼を言うとニアーナ様は瞳に涙を溜めてうんうんと頷いていた。

二人はお互いに見つめ合い俺とエリナさんはここに居て良いのかとだんだんと居心地が悪くなってくる。

俺たちの様子に気づいたゴレリアス様は、話題を変えるように俺たちの近況を聞いてきた。

エリナさんはコッフェロ辺境伯領で商業施設を開いた事や、スラム街の子供たちを商業施設で引き取り教育や仕事の斡旋などを始めたことを結構細かく伝えていた。

ニアーナ様と長い時間付き合っていたからかお喋り癖がうつってきたのかもしれない。


結構長い時間話をしていたからか、ゴレリアス様が少し疲れ気味の様子を見せ始めた。

それに気づいた俺はゴレリアス様の体調を気遣い話を切り上げて休んでもらう事にした。

俺とエリナさんはニアーナ様とゴレリアス様を二人っきりにする為に寝室から退出し、執事さんの先導でリビングへと向かった。

リビングではメイドさんが買ってきた素材から栄養ドリンクを作ってゴレリアス様が毎日飲めるよう頑張った。


さらに3日後、ゴレリアス様が起き上がれるになり4人で食事を行えるくらいに回復した。

ゴレリアス様が俺の師匠であるアリストテレスの事を聞いてきたので師匠との出会いから過ごした日々を話、最後には師匠が没した事まで話をすると俺は急に師匠から頼まれたものを思い出した。


「あ!そういえば、ダラアス・ワアシュラさんと言う方をご存じでしょうか?師匠が亡くなられた時に手紙を預かっており、直接渡す様に言われているのでした。」


「ああ、ダラアス殿か。もちろん知っているとも。今も王都を守る近衛騎士団長を務めてらっしゃるよ。私も昔色々とお世話になった方だ。」


「あ~、助かりました。私は面識もありませんのでご紹介して頂けますでしょうか?」


「もちろんだとも!早速使いを出すので少しだけ待ってくれ。」


ゴレリアス様は執事さんを呼び何事か話をすると執事さんは一礼して颯爽と部屋を退出した。

俺たちは朝食を食べ終わるとゴレリアス様の体調が良くなったこともあり王都の散策をしても良いかと許可を貰い二人して揃って王都の街へと歩き出した。


最初は遠目でみた王城へと向かいあの遺跡をもう少し近くで見ようと歩き出した。

イレイブ子爵邸からでも見えているが本当にマク〇スにしか見えない。マク〇スってエリナさんに話をしてもクエスチョンマークが頭に浮かぶだけになるだろうから話をしないが誰かと話をしたい気持ちになるのはしようがないだろう。


王城の門前まで行き古代遺跡を眺めてみたが、何の金属で作られているか分からないが明らかに人の手で作られた機械の建造物だった。

さすがに機能は停止しているようだが、何年経っているのかわからないが動力さえ回復すれば今にも動き出しそうだ。

古代には前世を上回る技術があったのかもしれないな。


王都散策が初回という事もあってお店は軽く見る程度で色々と歩き回り余り遅くならない時間にイレイブ子爵邸へと戻った。

イレイブ子爵邸に入ると目の前に白髪で筋骨隆々の偉丈夫が仁王立ちして立ちはだかった。


「ワシがダラアスじゃ!なんでもアリストテレスから手紙を預かっていると聞き急いでやってきたぞ!」

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