貴族のサガ
さて、今私はどこにいるでしょーか!
・
・・
・・・
しゅーりょー!はい、今私は王都にあるイレイブ子爵の館にやってきました!
何故こんな所に来ているのかといぅーと!
コッフェロ辺境伯に騙されたからだよ!
っざっけんな!
今を遡る事一月位前、俺は商業施設の運営が軌道に乗るまで忙しく手伝っていたのだがある日ギルド職員のユミレちゃんが手伝いをしている俺の元へ辺境伯からの言伝を持ってやって来た。
「シュンさん。今日もお忙しそうですね、たまにはギルドの依頼を受けて下さいよ~。」
「お、ユミレちゃん、こんにちは。いや~、本当はハクシさん達にお任せしたいんだけど思った以上に人気で人手が足らなくてね。新しく入ってきてくれたお姉さま方がもう少しでお客様に出せる位に育つのであと少しでお手伝いは終わりの予定なので、もう少し待ってね。」
「おぉ~!楽しみにお待ちしていますね。ところで、本日お伺いしましたのはお手紙をお届けにやってきました。」
「手紙ですか?」
「はい。こちらがその手紙になります。」
ユミレちゃんから手渡された手紙には辺境伯の徽章である鷹なのかな?大鳥が翼を広げた形で蝋封されていた。
さすがにこの場で手紙を開くことは出来ないため施設の二階はお店を入れていないのでユミレちゃんと一緒に二階へと上がって行った。
二階に上がるとエリナさんと子供たちが遊んでいた。
俺が手紙を読んでいる間、ユミレちゃんは子供たちと遊ぼうと子供たちの元へと走って行った。
俺は封蝋を割って手紙を取り出して読み始めた。
手紙にはこの間のモンスタースタンピードのお礼と相談したいことがあるため一度会いたいと書いてあった。
・・・この手紙は見なかったことに出来ないだろうか?
俺みたいな平民は出来る限り偉い人と会いたくも無いし喋りたくもない。
前世で上司に仕事の報告をする時に良い報告をする時でも物凄くシンドイ気持ちになっていた。
そんな庶民である前世の記憶を持っている俺がこの国でTOP10に近い所にいる大貴族様と会うなんて苦痛以外何者でもない。
あ゛~!なんて日だ!
俺が一人で手紙を読んで苦悩していると子供たちに追いかけられたユミレちゃんがやってきた。
ドタドタドタバターーーン!
あ、何かに躓いたのかユミレちゃんがぶっ倒れた・・・。
あ~、子供たちがすんごく喜んでるよ。
中々起き上がらないユミレちゃんに焦ったエリナさんがダッシュで駆け付けてユミレちゃんを抱き上げた。
俺もエリナさんが焦った事で状況を理解して急いで近づいていった。
「ユミレさん大丈夫ですか?声が聞こえてますか?」
「エリナさん頭を打ってるかもしれませんから体を揺すってはだめです。仰向けにして寝かせて下さい。そしてこのポーションを少しづつ飲ませて下さい。今濡れタオルを持ってきます。」
俺はダッシュして井戸から冷たい水を引き上げて桶に水を入れて二階へと戻ってきた。
タオルはアイテムボックスからこっそりと出してタオルを濡らしてユミレちゃんの額に置いた。
その間子供たちは俺たちが真剣に手当しているのにビックリして「だいじょうぶ?」「ゆーちゃん大丈夫なの?」とエリナさんに訪ねていた。
エリナさんは子供たちに「大丈夫だよ。皆でユミレさんを看護しようね。」と子供たちを落ち着かせようと奮闘していた。
10分位看護をしているとユミレちゃんが意識を取り戻した。
「う、うぅ~ん。なんか顔が痛いんだけど・・・」
「ユミレさん、大丈夫ですか?何が起こったか覚えてますか?」
「え?え~っと、、、子供たちと遊んでいて・・・。あっ!私鬼に追いかけられてたんだ!」
パッシーン!俺はユミレちゃんの回答に思わずツッコミを入れてしまった。
そんな俺をエリナさんはキッ!と睨みつけユミレちゃんの頭を撫でていた。
「ユミレさんゆっくり思い出してね。子供たちに追いかけられて転んだの覚えてない?」
「う~ん。。。そう言えば何かに躓いたような。わたし転んだんですか?」
「ええ、それはもう勢いよく転んで顔を打ったみたいで気を失ってたの。」
「あ~、だからこんなに顔が痛いのですねぇ~。」
「ポーションを飲ませたので多少はマシになっていると思いますけど、どうですか?」
「はい。少しずつですが痛みが引いて行っている感じがします。もうちょっとしたらこの痛みも無くなると思います。ご心配おかけして申し訳ありません。」
「ユミレちゃん、もう少し横になっておいた方が良いよ。こっちのソファーで横になって。」
「はい。お言葉に甘えさせて頂きます。」
ユミレちゃんはそう言うとソファーに寝そべり濡れタオルで顔を冷やし始めた。
一緒に遊んでいた子供たちはユミレちゃんに気を使って静かに遊び始めた。
俺は子供たちが静かに遊べるように紐を結びアヤトリを作り某有名アニメの〇び太くんばりに色々な技を披露した。
子供たちは華麗なるアヤトリの技に歓声を上げて喜んだ。
アヤトリを何個か作って子供たちに渡して色々な技を教えて手紙が無かった事の様に現実逃避していった。
そうして子供たちと遊んでいるとソファーで横になっていたユミレちゃんから寝息が聞こえてきた。
ギルドでの仕事に疲れて眠ってしまったのだろう。俺たちはユミレちゃんを起こさずに静かにしていようとしていたら二階へと上がってくる足音が聞こえてきた。
「こんにちは。アリテシアですけどユミレがお伺いしていませんでしょうか?あまりにも遅いので探しにきたのですが・・・」
アリテシアさんはそう言いながら恐々階段から顔を出した。
アリテシアさんは俺たちを見つけると笑顔で近づいてきて、再度ユミレちゃんの消息を問い合わせてきた。
俺たちは少しだけ視線をユミレちゃんに向けると、その視線を追いソファーで寝ているユミレちゃんに気づくと鬼の形相に変わっていく。
「ユミレっ!仕事中に何寝てるの!」
アリテシアさんが怒声を上げるとユミレちゃんはソファーの上から飛び上がり直立不動で敬礼をした。
エリナさんはユミレちゃんが横になっている理由をアリテシアさんに必死に説明してなるべく怒られない様に頑張っていた。
エリナさんが説得している間、ユミレちゃんは敬礼の姿勢を崩さず固まっていた。
アリテシアさんの怒気が何とか収まるとゆっくりとソファーに腰掛け「ふぅ~」と一息ついていた。
少ししてからアリテシアさんがユミレちゃんを連れて帰ろうとするのを見送ると、ユミレちゃんが思い出した様に手紙の返答を求めてきた。
くそっ、覚えてやがったか・・・。
俺は辺境伯の元へお伺いするので予定を教えて下さいと回答すると「承知しました。辺境伯様へ回答しておきます。」と返事して二人して帰っていった。
帰っていく二人へ好評だった栄養ドリンクを渡しておいたのは言うまでもない。
手紙を受け取った二日後、俺は辺境伯の元へと赴き話を聞くとスタンビードを起こした迷宮へ兵士たちと一緒に向かって欲しいと。
そして王都へと変えるニアーナ様を迷宮までで良いので護衛をして欲しいと依頼された。
この依頼はギルドを通した正式な物として依頼するのでエリナさんも一緒に受けて欲しいとの事だった。
後のメンバーはスタンビードで活躍したうちの警備兵であるギルデイさん達も参加してほしいと言われたので1庶民である俺はお偉いさんからの依頼を断る事も出来なかったのである。
辺境伯との会合から2日後、ニアーナ様の護衛と共に迷宮へと向かっているとニアーナ様が俺とエリナさんを馬車に誘い井戸端会議よろしく留まる事ない世間話、噂話の数々が披露され、迷宮へと向かって行った。
迷宮に到着するとニアーナ様をお見送りしようとするとニアーナ様から「あら?ラスプ様から伺ってませんか?エリナ様とシュン様は私の護衛として王都までご一緒される依頼のはずですが。」と言われてしまった。
一緒に来ていた護衛の兵士長に話を聞くと兵士長がうちのギルデイさんたちを率いて迷宮の調査へと赴き、俺とエリナさんは兵士10名と一緒に王都まで行くことになっていた。
それを聞いた俺とエリナさんは驚愕しながらもギルドを通した正式な依頼のため破棄するわけにもいかず王都へと赴かなければならなくなった。
多分先に辺境伯領へと戻ると思われるギルデイさん達に事の次第の伝言を頼むと共に迷宮の調査で無理はしないように言い含めておいた。
そして俺とエリナさんは王都までの20日間以上、ニアーナ様の井戸端会議に付き合い続けゲッソリとやせ細っていったのだった。




