お好み焼き屋
スラムの子供たちをお店の寮に入れて数日、子供たちも新しい所に慣れた頃にお好み焼き屋を開店した。
お店を開店する数日前に俺たちはギルドの職員や知り合いにお店を開店することを宣伝し、子供たちも自分たちが働く場所を知らせようと至る所で宣伝したらしい。
お店は通路側から見えるように作られており、開店前に研究や子供たちの昼食もかねて毎日お好み焼きを食べていたのでその匂いが付近の住民のお腹を刺激していたようだ。
お昼から開店すると宣伝したはずなのだが、朝から物凄い行列が出来てしまったのだ。
何時もの通りの時間で起きて朝食の準備をしようとしたキクハとルクミネスの二人がお店からざわざわ聞こえてきて何事かとお店の方に向かうと店の前で物凄い人が並んでいたらしい。
急遽俺に連絡を取ろうとしたのだが、お店の前の通路が人で埋まってしまい出れなかったようだ。
基本的にお店の事はハクシさん、シウキルさん、キクハさん、ルクミネスさんに任せていることを伝えているのでハクシさんが朝食後すぐにお店の準備を始めるように指示をだした。
子供たちはお店が始まろうが午前中は勉強を行う様に指示しているのでブースさんとハンチさんが面倒を見ている。
お店の前ではヨロクさん、スパウさん、サウチさん、レルトさんが施設の開設していない場所を開き道に溢れている人を入れて順番に案内する事を伝えて交通整理を行っている。
俺たちは昼ちょっとすぎに人が入ってるかな?と思いお店へと向かうと大通りからお店へと続く道には人がちょこちょこと向かっているので「お!何人かは入ってるかな?」と思って小道へと入ると物凄い事になっていた。
お店の中は人で溢れかえり、開ける予定ではなかった施設の場所が開かれてそこも人が溢れていた。
俺たちがその様子を見ていると次の交通整理をしようとレルトさんが小道に出てきて俺たちもお店にやってきた人かと勘違いして案内をしようとした所で俺たちと気づいたようだ。
「シュンさん、エリナさんおはようございます。」
「おはようございます。これって、お好み焼き屋にやってきた人たちなの?」
「はい。。。今日の朝から並ばれていて、この通路も人で溢れかえっていたのでここを開けて人を誘導しました。ご指示を待たず勝手をして申し訳ありません。」
「いや、良い判断だと思うけど、思ったより皆興味深々だったんだね。こんなになるとは思わなかったよ。」
「はい。急遽予定より早めに開けましたが全く人が減りません。反対に増えている状態でして・・・」
「う~ん。お店の広さは変わらないからどうしようもないけど、このままだと大分問題ですね~。」
俺は解決策を考えていると勉強が終わったニーナちゃんとレミナちゃんがやってきた。
「エリナお姉ちゃん、シュンさんこんにちは!」
「こんにちは。今日もしっかり勉強したかな?」
「「はい!」」
俺とエリナさんはニーナちゃん達の頭を撫でると気持ち良さそうに「にへへ」と笑顔になっていた。
一通り撫で終わるとニーナちゃんが並んでいる人たちに目をやり「凄い人が多いね!」と言い、「お店の外でも食べられればいいのに。」と呟いた。
それを聞いた俺はお店で食べるのが当たり前と思っていたので雷に打たれたような衝撃を受けたのだった。
俺は急遽ネルギエさん、チェシャさん、キンキスさんを呼び出し子供たちのお昼ご飯をお願いして、その間に空いている場所でお好み焼きを焼けるように準備をした。
小さい子たちも手伝おうとしていたが決まりであるお昼寝の時間なのでしっかりと寝るように言い聞かせある程度大きい子供たちに食材を切って貰い昼食の片づけが終わったネルギエさん達にお好み焼きを焼くのを手伝ってもらう事にした。
俺たちが準備をしている間に人の整理をしていたヨロクさん達にお店で絶対に食べたい人と、施設内の空いている所で食べても問題ない人に分けて貰い。
施設内で問題ない人たちに向けてお好み焼きを焼きまくった。
焼いたお好み焼きは皿に乗せて子供たちが運んでいき料金を受け取って戻ってくるという流れを作り、食べ終わった皿は俺たちが作っている場所に持ってくるようにお願いしたら皆しっかり聞き入れてくれた。
お店でも「うまい!」「こんなの食べた事ない!」など好評な声が聞こえ、施設内でも同じように新しい味に歓喜の声が響き渡った。
お店で食べたい人もその声と、俺たちが外で焼いているソースの焦げる匂いにお腹を押さえて我慢しきれなくなり、施設内で食べられる列に並び直す人が何人もいた。
お客から注文を受けどんどんお好み焼きを作りチェシャさんやキンキスさんが配膳していくが一度食べた人が再度並んでいるようで人が捌けていかない。
確かにアリテシアさん達も3枚位食べてたけど前世より少し大きめのサイズなので男でも結構お腹いっぱいになるはずなんだけどな。
その分ちょっと高めなんだけど皆さんあまり気にした様子もない。
新しい味に財布の紐も緩んでいるのだろうか?知り合いの金物職人のザマヤキさんが開店祝いでお好み焼きを食べに来てくれた。
「おぉい!シュン!開店祝いに来てやったぞぉ~って、すげー人だなぁ!」
「おお!来てくれてありがとう。でも見ての通り思った以上にお客様が来てくれて並んで貰う必要があるんだけど大丈夫?」
「ああ、この匂いを嗅ぐと食べずに帰るってのは無いな。店で食べるのは時間が掛かりそうだが、シュンが焼く方はどこでも食べれるんだろ?だったら待つから早めに頼むぞ!」
そう言ってザマヤキさんがレミナちゃんに席に案内されていった。
今回ザマヤキさんにヘラを作って貰ったんだが、注文通り前世と同じで使い慣れた形だ。
地面に簡単な絵を書いて使い方を口頭で伝えただけでしっかりとした形が作られるのだから今世の金物職人も侮れないな。
ふ~、前世で焼いたお好み焼きの数を余裕で超えてしまったぜ・・・。まぁ、両手の指で数えれる程しか焼いたことなかったけどね!
暫くお好み焼きを焼くことを続けていると休憩時間になったのかアリテシアさん達が顔を出してくれた。
「シュンさん約束通り来ましたよ~!でも休み時間の間に食べられそうにないですか?」
「アリテシアさん、スレインさん、ユミレさんこんにちは。そして来てくれてありがとう。ん~っと、お店で食べるのは難しいけど、まだ店が入っていない場所に机と椅子が準備してあるので、そこなら大丈夫だと思うけどどうかな?」
「全然問題ないですよ~。あのお好み焼きが食べられるなら少しくらい遅れても・・「うぉっほん!」・・・いいぃ!?」
アリテシアさんがお昼時間をオーバーしても良いと言おうとした時、アリテシアさんの後ろから副ギルドマスターのルシティベルザさんが現れた。
「きゃあ!」
「きゃあじゃないよ。アリテシアさん。ギルドの仕事はしっかりやって貰えませんかね?」
「ご、ごめんなさい。。。」
スレインさんとユミレさんはルシティベルザさんに見えない様にとアリテシアさんの後ろに頑張って隠れようとしていたが流石に無駄な抵抗だった。
「ごっほん!まぁ今回は聞かなかったこととしますが、私もお好み焼きという物を食べに来ましたが難しいですかね?」
「いえ、店の方だと無理ですが、この施設内であれば大丈夫ですよ。食べていかれますか?」
「ええ、アリテシアさんが苦しくなる程食べたという噂のお好み焼きです。折角ですのでお願いします。」
「承知しましたぁ~!レミナちゃん4名ごあんなぁ~い!」
「は~い!こちらへどうぞ~!」
俺は鉄板に並べられるだけ並べてガンガン焼いて行く、思ったより鉄板が大きくて一度に20枚位焼けるのでなるべくお客を待たせずにいけるのだが如何せん、材料が微妙に減ってきているのが目立つ。
肉は大量に使わないため大丈夫なのだが野菜が足らなくなってきているようだ。
人の整理をしているサウチさんが近くにきたので子供たちを連れて野菜の買い出しをお願いした。
こんな感じで初日一日てんやわんやで開店した昼から夜遅くまで休憩を取る暇も無く一日が過ぎてしまった。
お店の方を担当したハクシさん達もグッタリと疲れ切っていた。これ何か対策を取らないとハクシさん達死んじゃうぞ。
さぁて、どうしようか。。。施設はまだ広いので俺がやったみたいに露天形式とお店の2形態でお客がお好み焼きに慣れるまでやってくしかないかな。
この世界でアルバイトってあるのかな?なんならパートでもいいんだけど今日の売り上げ見ると利益が凄いから何名か雇っても問題ないので一度ギルドに相談しにいくかな。
この施設にも露天でやってる人が入りたいなら抽選方式でもいいのでって話の結果も聞きに行かないといけないし。
はぁ~。思ったよりお店経営って大変なんだなぁ・・・。




