辺境伯からの報酬
今俺は辺境伯様が住んでいる屋敷へと来ている。
副ギルドマスターのルシティベルザさんが迎えに来てくれてエリナさんと共に辺境伯様の屋敷へとやってきたのだ。
辺境伯様の元へ来た理由は招待されたのと、ジャインビーの蜂蜜の報酬を貰うためだ。
応接室へと案内されて俺、エリナさん、ルシティベルザさんの3人が並んで座っている。
応接室を拝見していると物凄く高価と思われる調度品が嫌味にならない程度に配置してありセンスの良さが感じられた。
ただ、前世を合わせもともと一般庶民のためこういった感性が正しいわけではない。
部屋に案内されてから少しすると辺境伯様がやってきた。
辺境伯様が部屋に入ってきたので立ち上がろうとすると手で制されてそのまま座るようにと指示した。
「待たせてすまんな。スタンビードの事後処理に時間が掛かってしまってな。」
「いえ、お気になさらず。」
「そう言って貰え助かる。そしてスタンビードでの協力に感謝する。君たちがいなければ領都はもっと甚大な被害を受けていただろう。もしかしたら壊滅という事もあったかもしれん。」
俺はスタンビードの時に兵士たちの戦闘を確認したが思った以上に弱いと感じた。確かにあのゴブリン達は今まで見たゴブリンよりも強そうだった。
しかし、5人一組でゴブリン一匹と戦いギリギリ倒すという程度であった。今回のスタンビードでやってきた魔物の数を考えると城兵500名全員で戦っても押し負けていただろう。
辺境伯様が仰っている事は的を射ていた。
「スタンビードの功績を称えて報酬を渡したかったのだが、ギルドの規定があるらしくてな。表立って表彰することができんのだ。そこでジャインビーの支払いをまだ行っていない事を思い出してな。」
「なるほど。我々ギルドが管理しているジャインビーの蜂蜜の報酬は、金貨920枚が正規の報酬と算出しております。王家からは金貨1000が支払われております。」
副ギルドマスターのルシティベルザさんがジャインビーの蜂蜜の正当な報酬がどの程度か分かるように報告する。
「・・・ふむ。スタンビードが発生しなければ王家と同じ金貨を支払う事が出来たが、スタンビードでな。そこで相談なのだが金貨ではないもので支払うという事は可能だろうか?」
「金貨以外と言いますと調度品などの場合は我々ギルドが査定をしたのちとなります。シュンたちが了承した場合ですが。」
「うむ。ギルドの査定が入る事は理解しておる。ここにある調度品などシュン達は不必要な物であろう。そこでな、我が領都の土地はどうであろうか?大通りから入った場所になるのだが、大きめに空いている土地があると聞いている。シュン達はもう領都に土地を持っていると聞いているがどうであろうか?」
ふむ。どうやら辺境伯領ではスタンビードのせいで村が一つ壊滅したらしく、その慰問と復興で大量の金貨が飛んで行っているらしい。
その為辺境伯が買ったジャインビーの蜂蜜なども急いで売っているとルシティベルザさんからここに来る途中に聞いていた。
今辺境伯からの提案で代わりに土地をという事だ。確かに俺たちは領都に家を持っているので新しく土地を貰ってもな。と考えているとエリナさんと目があった。
エリナさんはお任せします。という意味を込めて目を瞑り頷いた。※シュンは勝手にそう思っただけである。
俺はエリナさんと目が合った時に前にエリナさんがスラムに住む子供たちを何とか助けたいと言っていたことを思い出すと共に数日前に行った慰労会での会話を思い出した。
「・・・はい。土地で支払いは問題ありません。」
「ちょ、シュンさん、確かに大通りから入った場所に住人が住まぬ土地が幾つか御座います。ただし、その土地にある家は人が住むためには立て直しが必要です。また報酬自体巨額ですので全てを土地だけで支払う事は出来ないと思います。そんな簡単に回答をしてしまっては・・・」
「ルシティベルザさん、ちょっとやってみたいことを思いついたので土地は大きければ大きいほどありがたいのです。出来るなら全てを土地に変えて頂いても構いません。」
「え?本気ですかシュンさん?確かに大通りに近いですが、道が細いため辺りは暗いですし人通りも殆ど無い所ですよ?」
「そうなんですか?でも問題ありませんよ。まだ何をするかは言えませんが勝算がありますのでそう言った土地で問題ありませんよ。」
俺が勝算がある事を言うと辺境伯は興味を示し、「ほう。」と言いにやりと口角を上げこちらを向きニヒルな笑顔を向けてきた。
ぞわりと背筋に氷を当てられたように身震いした。
俺が了承したためルシティベルザさんと辺境伯様が詳細を詰め始めた。
辺境伯様はメイドに指示を出して暫くすると地図を持った執事が入ってきた。机に地図を広げて範囲決めが始まった。体感で1時間位待っていたら、辺境伯がこちらを向いて話始めた。
「エリナ様、シュン殿時間が掛かってすまぬ。まだ暫く時間が掛かりそうなのでルシティベルザと内容を詰めるので、今日は一緒に昼食を食べたらお送りしよう。詳細が決まったらギルド経由で伝えるように手配しよう。」
俺とエリナさんは頷いた。辺境伯は満足げに頷きメイドに昼食の指示をして自らダイニングへと案内した。
辺境伯様、ルシティベルザさん、エリナさんと俺で昼食を食べたのだがやはり辺境伯とは伊達では無く領都で食べた料理とは一線を画すほどの違いがあった。
調味料は前世程揃っていないながらも食材の味を上手に使っており上品に纏まっていた。
ただ、出汁を取る概念が無いのかスープなどは薄めで上品と言えば上品なんだがどことなく料理全体の味を下げてしまった感じがした。
俺たちは礼を述べてから辺境伯様の屋敷を後にした。帰りは辺境伯様の馬車で送って貰い自分の館に帰ってきたらエリナさんも俺も気疲れしてリビングのソファーに倒れ込んだ。
「ふ~、疲れましたね。」
「はい。やはり貴族の方とお話するのは慣れません。」
「まあ、とりあえずこれでやるべき事はやったので後はのんびりできますよ。」
「そうですね。最近色々とありましたからゆっくりしたいですね。」
俺とエリナさんは取り留めも無い会話をして午後を優雅に過ごした。
次の日、さっそくギルドから呼び出しがありエリナさんと共にギルドに行くと副ギルドマスターのルシティベルザさんが待っていた。
ルシティベルザさんに個室へと案内され昨日の辺境伯様との話し合いの結果が知らされた。
「エリナさん、シュンさん辺境伯様との協議の結果を報告します。」
ルシティベルザさんは結果報告をする為に机の上に地図を出した。
「現在ここ領都で空いている土地で一番広く空いている場所が、本ギルド前の大通りを城壁側へ100メートル行くと右手側に裏通りへと行く小道があります。その小道を入って3件目からこの辺り一帯を調整しました。何点か土地の空きがあったのですが、シュンさんが活用される場合は点在する土地よりもひとまとめになっている方が良いと思い現在住んでいる方々に点在している土地に引っ越して頂きました。」
「えええ!大丈夫なんですかそんなことして?私としては有難いですが、先祖代々の土地ではないのですか?」
「はい。その辺りは問題ありません。住んでいる方も引っ越し先の方が広い場所を紹介したため喜んで引っ越しされるとの事です。」
「そうなんですか?人に恨みを買わないんであればいいんですけど・・・」
「大丈夫です。私たちギルドはこういった事は何度か経験がありますし、国の法にも則っております。」
「・・・それなら良いのですが。」
「はい。シュンさん方へご迷惑はお掛けしません。・・・それで、辺境伯様からの報酬の話になりますが、ここ一帯の土地の評価額が金貨620枚です。ジャインビーの蜂蜜の評価額が920枚のため残り300枚が辺境伯様から支払われております。」
「これだけの土地を貰えてさらに金貨300枚も貰えるんですか?」
う~む。なんと金貨620枚で某大手スーパー並みの土地が手に入ったんだが、高いのか安いのかわからんがジャインビーの巣一ブロックより安いのを考えるとジャインビーの蜂蜜ってとっても貴重何だという事を改めて認識した。
「はい。大通りに近いのですが、大通り側には大店が多く日当たりもあまりよくないため評価額が多少低いのです。それで、土地の明け渡しは引っ越しに10日に程掛かりますので念のために15日後に引き渡しとなります。」
「はい。問題ありません。こちらも急いではいませんのでゆっくり引っ越しして下さいとお伝えください。」
俺たちはその後細々とした事を話し合いギルドを後にしたのだった。
さて、これからまた色々と調整しないといけないなぁ~。




