クエスト報告
ローラーンさんの友達であるリリアンさんとラフェリスさんが新しく拠点にやってきた。
それぞれ個性的な妖精達だったが拠点に住んでいる人たちとはすぐに仲良くなっていた。なんと俺が新メンバーの達様の家を作ったにも拘わらず仲良くなったエルフ達の家に住み着いた妖精たちが沢山現れた。
俺の家にも何十という妖精たちが住み始めたので幾つかの部屋を妖精達が住みやすい様に改造した。
部屋の扉の真ん中あたりに妖精たちが出入りできるように小さい扉を作り扉を開けっ放しにしなくて良い様にした。
また前世のアーカイブからお洒落な棚を探し出し大量にあるトレントの木材で再現して設置しておいた。
その棚に各自思い思いに自分で作成した家具を設置して自分だけのスペースを作っていた。
ただ、俺がその棚を見ると蜂の巣のように見えてしまうのも仕方のないことだった。
新しい畑が徐々に形になった頃、シュテーナちゃんが何時頃辺境伯領へ戻ってきますか?と聞いてきた。
何かあったの?と話を聞いてみると俺たちが中々戻らないのでギルドのアリテシアさんが自責の念にかられ塞ぎ込んでいるらしい。
なじぇ?と思っていると俺たちにジャインビーの蜂蜜採取と言う難易度ランク7以上を無理やりお願いしたと思い込み中々帰らない俺たちが死んでしまったのでは無いかと思っているそうだ。
シュテーナちゃんは拠点で毎日の様に顔を合わせているので俺たちが無事だとは知っているが流石にそれを伝えることは出来ないので毎回慰めているそうだ。
それを聞いた俺とエリナさんは申し訳ない気になり今すぐにでも帰ろうと思ったがもう日も落ちた為、明日の朝に移動して辺境伯領へ帰ろうと話し合った。
なんだかんだと拠点で4か月以上過ごしていたのでクエストを達成する時間的にも丁度良いと思われる。
いや、少し遅い位なのかな?
次の日、とりあえず出発した時と同じ服に着替えてエリナさんを待っているとシェリアリアスが俺の姿を見て一言呟いた。
「私あんまり分かってないんだけど、シュンの服って綺麗すぎない?そのクエストってのに行ったの?って言われる位綺麗じゃない?」
「・・・」
俺はシェリアリアスからの一言に絶句してしまった。俺が固まっているタイミングでエリナさんがやってきたが、エリナさんの服装も物凄く綺麗な状態だった。
そう言えば何も考えずに洗濯したのだな~と思いながらエリナさんにシェリアリアスから言われた事を伝えるとエリナさんも「あっ!」という顔をした。
辺境伯領へは移動ドアで近くまで行くので服が汚れる事はない。そして服だけではなく俺たちの体も毎日風呂に入っていたので汚れていない。
二人そろってどうしようかと話し合って、辺境伯領へは知らぬ顔で入っていってギルドに寄らずに館に戻ろうという話になった。
ただ、少しも汚れていないのは流石に変なので二人してエルフ達が住んでいた森でゴロゴロ転がってから辺境伯領へ向かった。
二人で転がっている所をシェリアリアスが大爆笑しながら見ていた。後でデコピンしておこうと心に誓ったのだった。
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辺境伯領へ戻り顔見知りと出会うと無事に帰ったよ~と挨拶を交わしながら館へと戻っていった。
館に戻ると門の前でブロンさん達が並んで待っており、一斉に頭を下げて出迎えられてた。
館に入り着替えを済ませるとチェシャさんがお茶を準備してくれていた。
お茶を飲んで一息つき、ブロンさんにドンファンさんに戻った事を伝えてくれるようにお願いした。
俺とエリナさんは無事にクエストをクリアした報告をしにギルドへと向かった。
ギルドに入ると物凄い負のオーラを纏ったアリテシアさんが目に映っていた。まだ朝も早い時間なのでギルドには沢山の人がクエストを受けに来ており、自分たちが受けるクエストを受注するために受付に並んでいるんだが何故かアリテシアさんが受付している場所だけは人が並んでいなかった。
あの負のオーラを纏っているアリテシアさんに近づけないのかアリテシアさんの隣に座っている受付嬢が自分の受付に並んでいる人に目で隣に行けと指示しているが相手は無視して並び続けていた。
あるパーティーがアリテシアさんの所にクエストを受注するために向かおうとすると足音が聞こえたアリテシアさんの光を一切発しない目と目が合うと回れ右してそそくさと逃げ出していた。
それを見たアリテシアさんはギギギという擬音が聞こえるように再度俯いてしまった。
シュテーナちゃんから聞いていたより重症な状態に少し引いてしまったがエリナさんと共にアリテシアさんの所へ向かった。
俺たちの足音が聞こえたのか再度顔を上げ始めて俺たちと目が合うと何か不思議な物を見る目になり徐々に瞳に光がともりだした。
何秒くらい経ったか分からないが状況を理解したアリテシアさんの瞳が潤んでいき涙が滂沱のごとく流れ始めた。
その姿を見た俺は「だ、大丈夫ですか?アリテシアさん」と言いながらオロオロとしてしまった。
エリナさんが代わりにアリテシアさんの頭を撫でて慰めていた。
5分位したころにやっとアリテシアさんが落ち着いてきた。瞳の色が通常の色に戻り負のオーラが霧散したアリテシアさんは何時もの可愛らしい女性に戻った。
心なしか隣の受付嬢が離れていた位置からアリテシアさんへ近づいたようだった。
アリテシアさんは笑顔になり通常業務体制になった。
「おかえりなさいませ。シュンさん、エリナさん。ご無事で戻られ安心いたしました。」
「ただいまです。」「ただいま帰りました。」
「遅くなって申し訳ありませんでした。心配かけしてしまったようで。」
「いえ、こちらこそ難しい依頼を受けさせてしまい申し訳ありませんでした。」
「いえいえ、依頼自体はそんなに難しくありませんでしたよ。依頼の物を3つ(ブロック)手に入れてきましたし。」
「えぇ~!3つ(壺)も採取して頂けたのですか!あっ、申し訳ありませんが、こちらでは無く個室の方へ移動をお願いします。」
アリテシアさんはそう言うと個室へと俺とエリナさんを案内した。
何故個室へ移動したかと言うと俺が採取してきたジャインビーの蜂蜜が採取難易度が高く食材と言う面から衛生状態を考慮して綺麗な場所で確認することが義務付けられているとの事だった。
確かにギルド職員は綺麗にしているが、ギルド員たちの普段の格好はお世辞にも綺麗とは言えないからだ。
俺たちは席に座るとアリテシアさんから蜂蜜を出して下さいとお願いされた。
俺はカバンから出すようにしてアイテムボックスからジャインビーの巣の3ブロック分を取り出して机の上に置いた。
この個室の机は家庭用の食卓サイズしかないのでジャインビーの巣を乗せるとはみ出してしまう。その巣も3ブロック分あるのだ。
全て乗せたのだが体面にいるアリテシアさんの顔が見えない。
ヒョコっと巣の横から顔を出すとアリテシアさんが驚愕した状態で固まっていた。
「アリテシアさん、依頼の品の検分をお願いします。」
俺がそう言うとアリテシアさんは意識が戻った様で「あ、は、はい。」と言いジャインビーの蜂蜜を検分しだした。
少しの間検分しているとアリテシアさんが少々お待ちくださいと言って個室から出て行った。
暫く待っているとアリテシアさんとルシティベルザさんが入ってきた。
「シュン殿、また物凄い物を持ってこられましたな。これがジャインビーの巣ですか・・・」
ルシティベルザさんは、ここ辺境伯領の副ギルドマスターで前回マンドラゴラの件でよく話をした仲だ。
今回の依頼はジャインビーの蜂蜜を小壺一つ分採取してくる依頼だったが、俺がジャインビーの巣3ブロック分持ってきたため依頼の小壺分以外をどうするかが問題になるらしい。
流石にギルドで全てを買い取る事は出来ないらしくその相談にきたそうだ。
ギルドとしても壺幾つか分は買い取りたいらしいが、それでも1ブロックの半分も無理なんだと。
そこで副ギルドマスターであるルシティベルザさんが相談にきたそうだ。
その相談内容とは、この辺境伯領の領主と王家に買い取って貰う様にして良いかとのことだった。
本当は競売にかける事が出来るのだが、競売にかけると高く買い取られることがあるのだが、買い取った人が狙われるようになるし出品者も狙われる可能性が高いそうだ。
その点、領主と王家からは適正価格で買い取って貰えるし、ギルドを通してこっそりと販売できるらしい。
それでよろしいでしょうか?との相談だった。
俺とエリナさんは特に問題も無かったので了承し話し合いが終了した。
今回アリテシアさんに心配をかけてしまったので蜂蜜を使った料理をご馳走することを約束してギルドを後にした。
アリテシアさんが元気になって良かったよ~。
最初に見た時あの負のオーラに少しビビっていたのは内緒だ。




