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ペンタグラム  作者: はるひぶ いえん
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空想の生物

アリストテレスの元で錬金術の手伝いとこの世界の知識を知る勉強の日々を過ごして数日。

それは突然やってきた。


背筋が凍るような寒気を覚えすかさず拠点から少しだけ顔を出し辺りを見回すと何か言い知れる気配が漂っていた。

暫くすると蟲達が騒がしく暴れだすと上空から凄まじいプレッシャーが振ってきた。


上空を見上げると前世で空想の生物として書かれていた竜が飛んでいた。


見た目は某有名漫画の様に長い胴体を持っており、遥か上空を飛んでいるがその巨大さは蟲などと比べるに値しないほどの大きさに見える。


竜は上空から狙いを定めたように急速に蟲の谷に大きな口を開けて突撃してきた。

拠点の近くを竜が通り抜け蟲達を食しているのだろう。その通り抜ける時に竜と目があったような気がした。

何か強く通じるものを感じた瞬間竜が通り抜ける時の突風が俺の顔を打ち付ける。


その強力無比な暴力の塊が遠く離れていく気配を感じつつ俺は茫然としていた。

正に前世で数々の神話などの登場した空想の生物を目の当たりにして、ある種の興奮と余りにも巨大な力に対する恐怖を感じていた。


暫く呆然としていると後ろからアリストテレスが「空の王者がくる季節か。さあ、大物の錬金素材を集めに行くのじゃ!あ奴が食い残した蟲達は人間では倒せぬほどのものもある。他の蟲に食われる前に集めてこい!」


俺は擬音がなりそうな動きで首を回し「マジデ?」と一言呟いた。


アリストテレスは目を閉じて頷いた。俺はため息をつくと剣を片手に外へと向かうのであった。。。


蟲達が騒がしい中、俺はそ~っと動きながら竜が食べ残した蟲を探すべく谷の下を覗くとあのムカデ型の蟲が胴体の半分になって崖の途中で引っかかっていた。


触れさえすればアイテムボックスに入れることができるため、植物の蔓を掴み蟲がいる崖を降りていく。


蟲に見つかりません様にと祈りながら降りていく途中でガサガサという音が聞こえ横を見ると植物に擬態したカマキリの様な鎌を持つ蟲が俺を鎌で挟もうとしている時に目があった。


「ぎゃあああああああああああ」


俺は叫ぶと同時に蔓から手を離してしまい落下することでギリギリで鎌を回避する。

俺は両手を見ながら再度「ぎゃあああああああああああ」と叫び目の前を高速で過ぎていく蔓を再度掴むも落下の速度がついたのだろうか?蔓がブチっと切れてしまう。


俺は手を崖に向けて力を込める。ガリガリと壁を削りながら徐々に落下の速度が落ちて行く時に右下に半分になったムカデ型の蟲の姿が映る。


少しづつ右にずれる様に落下していきムカデ型の蟲の上に降り立つ。


「ふ~。」と生き延びた事に安心してムカデをアイテムボックスに仕舞おうとその場で屈むと頭の上をビュン!と何かが通り過ぎる。


ん?と座った姿勢のままで上を見上げるとカマキリ型の蟲が鎌を振っていた。


「うおっ!」と言いながら腰に差した剣を左手で抜き鎌を弾き返す。


「しつこいな~、こいつ!」


カマキリは崖に足を掛けながら両手で鎌を高々と構える。俺の足場はムカデ型の蟲の上で、しかもこのムカデ型がちょっとした出っ張りらしき所に引っかかっているだけの不安定な状態だ。


うん。圧倒的不利。


カマキリはカサカサと足を器用に壁の出っ張りなどに引っ掛けて安定した状態で鎌を振り回す。


俺は屈んだり剣で弾いたりしながらも絶望的な状況をどう打破するか考えていたが良い案なぞ浮かぶはずもなく徐々に追い詰められていく。


俺はカマキリ型の蟲の攻撃を回避しながらどこか良い足場はないかと探していたが見つからなかった。仕方ないとカマキリの鎌を屈んで躱すと同時にムカデ型の体に触りアイテムボックスに仕舞うと再度落下を開始する。


落下しながら微かにある出っ張りを蹴り真下ではなく左下に向かって進んでいく。俺の後ろをカマキリが追いかけて来るのを感じながら暫く進むとある程度幅がある箇所を見つけそこに降り立つと同時に後ろに向かって剣を振るとカマキリの鎌を弾く音が響く。


俺は即座に体制を整えカマキリに向かって剣を構える。ムカデ型の体の上より幅広く安定した場所での戦いのため俺は幾分落ち着きを取り戻しカマキリをよく観察する。


カマキリ型の蟲は全長3メートル位あり両手を上げながら俺を威嚇していた。


キーン!キーン!


カマキリは俺を切り刻もうと両手を振り回してくる。力強い鎌攻撃に剣で弾き返すがギリギリの状態だった。すると、


【ねーねー、シュン。ちょっといいかな?】


「ちょ、ちょーっと今すんごい忙しいんだけどぉ~!」キン!キン!


【うん。カマキリちゃんと戦っているのは知ってるけど、シュンは何で魔法使わないの?】


「ま、ハァハァ ほ、ハァ う?」


【うん。なんでず~っと剣で戦っているのかな?って疑問に思ってて】



「う、うん。ほら、俺って前世は魔法が無い世界だったし、今世では牙狼だったじゃん?魔法と縁がなかったから存在を忘れてた!」


俺は地球からのアドバイスを受けると、カマキリの鎌を剣で弾きながらも魔法をイメージする・・・地面から土の槍がカマキリを貫くイメージ・・・


カマキリの鎌を大きく弾き右手を前に突き出し「ストーンランス!」と大声で叫ぶ。土の槍がカマキリの体を貫く!


【ね~、魔法はイメージだけで使えるよ?】と地球からツッコミが入る。俺は赤面しながらもカマキリから目を離さず地球に向かって「い、いや、なんかさ漫画とかで皆言ってるじゃん?ほら、何て言うか自分の中で納得がいくイメージになると言いたくなるじゃん?

」シドロモドロになりながら言い訳じみた言葉を呟いていた。


土の槍に貫かれたカマキリは力尽きたようにその場に倒れた。ふ~、と一息つくと地球が、【シュン気を抜くの早いよ?】と言うと同時にカマキリの胴体から糸の様な物が俺に向かって伸びてきた。


「うおっ!」


俺はとっさに体を反らし糸の様な物の攻撃を躱し糸の様な物を観察する。【シュン、寄生虫って知ってる?ハリガネムシのデカいバージョンっぽいよ。】と地球が糸の正体を教えてくれた。


確かに、地球のカマキリの殆どにハリガネムシがいたらしいけど、この世界のカマキリ(3メートルサイズ)にもいるのかい!と思いながらハリガネムシの体を剣で切り裂く。2体に切り裂かれたハリガネムシはさすがに死んだらしくカマキリと仲良く地面に横たわっていた。


今度はしっかり周りを警戒して何も起こらない事を確認すると、カマキリとハリガネムシをアイテムボックスに仕舞うと、どうやって戻るかを悩んでいると、地球が【魔法で階段作って上がれば?】と的確な助言を頂く。。。


いや、ほらね。魔法ってさ・・・はい。助言に従って俺は壁から土を出して階段を作っていく。ある程度上って行くと逆側に階段を作り「く」の字型にしながら登るのだが。。。結構な距離落ちた為、階段の上りが辛い。もう何段上がったか分からないけど日が暮れる前に拠点に戻ることが出来るのではあった。


拠点で今回の成果をアリストテレスに渡すと目が点になっていた。どうやら今まで錬金素材として必要だったムカデ型とカマキリ型の両方が一気に目の前に存在することで魂が抜けたようだ。


正気に戻ったアリストテレスが今までに見たこともないような笑顔でニコニコと自分の実験室に持っていこうとするも蟲達がデカすぎて全然動いていなかった。


「シュン、これワシの実験室に運んでくれんか?ワシではまったく動かんのじゃ」


「りょうかーい。いつもの机の上でいいの?」


「うむ。ワシも一緒に行ってすぐに作業を始めるからシュンは飯の支度を頼むぞ」


「ああ、ちなみに今日とってきたのは食材として使えないのか?」


「ふむ。ワシも初めてだから食べれえるか分からんのぉ~。挑戦してみるか?」


「いや、今日は疲れたから冒険は辞めておこう。ガイムオームの身が残ってるからそれを料理するよ。」


「うむ。出来上がったら呼んでくれ。ワシは今日から本気出す。」


「いつもは本気じゃないのかい!」


と今朝の竜騒動が嘘の様に何時もの日常で今日が終わるのであった。

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