ブロン・ゲルナーデ
私の名はブロン・ゲルナーデ。カルナス・フェル・ナタリーナ様に執事としてお仕えしておりました。
カルナス様は政敵からの謀略によって死刑に処され、ご家族の皆様に罰金が科せられました。私たちはカルナス様から受けた御恩をお返しするために家族もいない私は身売りをする事で罰金を支払おうとしましたが力及ばずカルナス様のお子様であるルールチェ様まで奴隷になってしまいました。
王様からのお慈悲で我々は同じ奴隷商で扱われることになりました。奴隷商のドンファンは見た目こそ極悪奴隷商だが、奴隷の扱いは他の奴隷商より良くカルナス様にお世話になった事があるらしくルールチェ様と共に我々も良くして貰っていた。
そんなある日、ドンファンの元に奴隷を購入しにやってきた人に我々が紹介された。ドンファンの事だ、この少年には何かがあり私たちの扱いが粗末にならないと考えたのだろう。
私たちを買った少年はシュンという名でハイエルフ様の従者であるとドンファンから聞いている。我々の他に欠損奴隷を買われたらしい。多分、ハイエルフ様の盾にするのだろう。
シュン様は、私たちを連れて衣服を購入させて自宅へと戻られた。私は一少年が住むには大きすぎる館に目を見張ってしまった。
館に入るとハイエルフ様が我々を迎えて下さりました。私たちはこの館での仕事を伝えられるとシュン様は数本の薬と取り出され欠損奴隷たちに飲ませた。私はシュン様が錬金術師であると聞いて、欠損奴隷たちだけに出した薬を見た時から"まさか"と思いましたが本当に部位欠損を治す薬でした。
部位欠損を治す薬なんて国王様でも手に入れられるかどうかの薬を6本も使ったことに驚きを隠せませんでした。
欠損部位が元に戻った事で涙を流すギルデイ殿たちを見て恥ずかしながら私も目を潤ませてしまいました。
別室にいたルールチェ様たちが戻られた時に同じく目元に光るものを見た時、私は安心したような気持になるのを感じました。
後にエリナ様から話を聞きましたが、シュン様はエリナ様の従者ではなく反対の立場だと言われました。
シュン様は一体何者なのでしょうか?
私たちはシュン様に買われた日に何度驚かされた事でしょうか。館、ハイエルフ様、部位欠損修復薬、そして移動ドアと呼ばれる物・・・そのドアを潜ると広々とした日の光が眩しい場所に出たのです。
・・・?
頭の中がパニックになりました。私たちはコッフェロ辺境伯領のシュン様の館に居たはずですが・・・部屋のドアを潜ると外?
自分が何を言っているのか分からない状態の時にヒラヒラと小さい人が飛んでいました。シュン様の周りを飛んでいたと思いましたら私たちの元にやってきました。噂に聞いたことがある妖精族なのでしょう。人に見つからない様に過ごすと言われている妖精が普通に飛んでいる光景に絶句しました。
シュン様から此処の説明を埋めましたが全く頭に入ってきませんでした。もう私の頭では処理しきれないほどの情報量です。
シュン様はゆっくり慣れて言って下さいと仰って下さいましたので徐々に慣れて行こうと思います。
シュン様曰く、私たちは此処で一か月間訓練を行うようです。私たちの訓練を見て頂けるテイル様を紹介頂いてからルールチェ様に錬金術を教えて頂くシュテーナ様と話をされていた時に私たちが魔力を使えないとお知りになったシュン様はどうするか考えられていましたがエルリーン様を話をされた後、何かしら閃いたようで私たちを外に連れ出すと手を繋いで輪になりました。
シュン様の説明によるとシュン様が私たちの体に魔力を通すのでそれを感じて見て下さいとの事。
生命には誰しも魔力があるが、それを認識できる人と出来ない人がいるらしく私たちは認識できない側の人間の様です。
何故認識できないのかと言うと、魔力という物がどういったものか分からないからと言われました。
最初は何を言われているのだろうと思いましたが、シュン様から魔力が流れてくるのを感じた時「これが魔力ですか。」と初めて認識できました。
確かに私は魔力が自分の中にあると言われても、それがどういったものなのかが分からないため認識することが出来ないのだと理解しました。
シュン様から流れてきた魔力はとても暖かく何故か懐かしい感じがしました。私たちの体に魔力を探すことが最初の訓練となりました。
最初に魔力を見つけたのがウィルシアさんでした。どうやらお臍の辺りにあるらしく私もそこを重点的に探してみたところ、丸い何か感じるものがありました。シュン様が仰らっれていたように手を当てながらグルグル回しているとお臍の辺りにある何かが少しづつ動いているのを感じます。
まさかこの年で魔力に目覚める事になるとは思ってもおりませんでした。
訓練初日は魔力を全体に動かすようにする事が課題として課せられましたが、何とか皆できるようになり安心いたしました。
訓練後、ハイエルフ様方がお食事を持ってきて頂けましたが、新鮮な魚など王都の上位貴族でも食べられないものを沢山頂きました。
最初は皆遠慮しておりましたが、明日からの訓練は中々厳しいらしいのでしっかり食べて体力をつけて下さいと言われギルデイ殿たちはガツガツと食べておりました。私ももう少し若ければ・・・。
お食事後、シュン様に連れられて外にでると露天風呂に案内されました。男女別に分かれておりお風呂に入った事がないため入り方を教わりましたが何と気持ちの良いものなのでしょうか。シュン様からは毎日入って汗を流して下さいと言われました。私たちは奴隷ですが、この待遇が良すぎるのは本当に恐縮してしまいます。
・・・そう思っていた時期が私にもありました。
確かに王侯貴族でも食べられない程のお食事。毎日入れる露天風呂。この環境はとてもとても素晴らしいです。
でも。。。なんですか!この訓練という名の地獄は!!
シュン様は訓練をハイエルフのテイル様にお任せになられましたが、テイル様の訓練は常軌を逸しております!
私たちは貴方がたの様に高い能力を持っているわけでもありません!毎朝シュン様の拠点の城壁を走りその後には戦闘訓練でサンダーバードたちからの攻撃を躱す技術を学ぶため逃げ回り、ハイエルフ様方との実践訓練など色々な訓練を受けております。。。
しかし、残念なことにシュン様が準備されている薬がとても良く効くのです。効いてしまうのです。。。筋肉の疲労回復や切り傷などを瞬時に回復させるポーションなどとても準備良く揃ってしまっているのです。。。
そして露天風呂で日々の疲れが綺麗さっぱり癒されてしまうのです・・・。
そういえば、私たちの訓練二日目にシュン様の拠点に大木が生えてきました。エリナ様にお聞きした所、儀式を行うためにシュン様が新しい種子をお作りになりその種子をハイエルフ様方が成長させたのだそうです。
本当にシュン様は何者なのでしょうか?エリナ様も見たことが無い大木だそうです。
訓練5日目にシュン様が大木から取れた実を私たちに振る舞って頂きました。その実は甘酸っぱくとても食べ応えがありましたが、シュン様曰くリンゴと呼ばれる果物の形に似ているが味は似ていないそうです。
私たちが食べたのを見届けると、その実の効果について話されたのですが簡単に言うと肉体を若返らせる効果があるらしいのです。
そうこの実を食べた為、私はテイル様の地獄の訓練に耐えられてしまっているのです。
今私たちは約一月間の訓練を耐えて卒業試験を行っております。なんと各自一人でゴブリンを倒すのが卒業試験だそうです。
ギルデイ殿たちでさえ一人でゴブリン退治は無理だと言っておりますが、テイル様は卒業試験を変更するつもりはなさそうです。
私たちはシュン様の奴隷の為、さすがに殺されはしないだろうと思いテイル様について行くと簡単にゴブリンが見つかりました。
なんでも、数日前からハイエルフ様方が探されていたそうで、わざわざシュン様に移動ドアまで設置して頂いたそうです。
私たちは各自得意武器を持ってゴブリン達に突撃しましたが、なんと不思議な事にゴブリンの動きが緩慢で自分でもビックリするくらい簡単にゴブリンを倒してしまいました。
テイル様に理由をお聞きした所、普段テイル様方と実践訓練をしており速さに慣れてきたためゴブリンの動きが遅く感じたという事です。
ギルデイ殿たちも自分が想像以上に強くなっていることに感動しておりました。しかし、私たちはテイル様たちに一度も攻撃を当てた事がありません。一体どれ位強いのでしょうか。。。
訓練が終わった後に聞いた話ですが、テイル様方は3対1でもシュン様に一度も攻撃を当てた事がないそうです・・・。




