奴隷2
奴隷商館で11名の奴隷を買った。辺境伯領の館の管理をしてもらうためだ。
奴隷商館では貫頭衣しかないらしいので帰りに服を買うために衣料店に寄ったら誰も衣服を選ぼうとしなった。
何故服を選ばないのか聞くと代表してブロンさんが回答した。どうやら奴隷とは主人が与えた物のみを着るらしく自分で選択するという事はしないらしい。うわ~。面倒くさいよ、それ。
俺は奴隷たちに自分で好きな衣服を選ぶように"命令"した。見た目が自分の職業に合うものと休みの日に着る服を自分で選びなさいと。
俺からの命令でやっと自分で選び始める奴隷たちに今後を考えて自主的に動けるように命令をしておくべきだなと考えた。
各奴隷たちが選んだ衣服が1着だけだったので、それぞれ3着選びなさいと再度命令をした。
詳細に命令しないと行動を起こせないってのが奴隷なのだとしたら命令の仕方を考えないといけないなぁ~。
衣服店で服を買い支払いを済ませて貫頭衣から私服に着替えて貰った。町中を貫頭衣で移動するのも居心地悪いだろうからね。
着替えが終わると館へと向かって移動するとどことなくだが奴隷たちの顔が上がっているように感じられた。
館に帰り着くとエリナさんが出迎えてくれていた。ハイエルフを見た奴隷たちが口を開けて固まってしまった。エリナさんは奴隷たちの行動が見慣れてしまっていて苦笑した顔を俺に向けた。
「さぁ、ここがあなた方が住み込みで管理して頂く場所です。」
そう言って俺は奴隷たちと館に入り皆が入れる食堂に案内した。皆を椅子に座らせてから今後の事を話し始めた。
「皆さんにはこれからこの館の管理をお願いしたいと思います。これからこの館を管理するにあたって、色々と秘密にして貰いたい事がありますので皆さんを買わせて頂きました。でも奴隷だと言っても皆さんには自主的に行動をして貰いたいと考えています。私は主人として皆さんと奴隷契約をしましたが2~3のお願い以外強制の指示するつもりはありません。」
ブロンさん達は驚いたようで何かを言おうとしたがグッと堪えたようだ。奴隷という立場のためか主人の言葉を遮って喋ることをしないようだ。
「では、ブロンさんは執事として館の管理を行って下さい。ネルギエさんは料理人として館に住む人たちの料理をお願いします。チェシャさんとキンキスさんはメイドとしてブロンさんの指示に従って下さい。ギルデイさん、バルザックさん、レイソンさん、ウィルシアさん、メフィアさん、ラムさんは交代で館の門番をお願いします。」
俺がそこで一区切りすると仕事が割り振られなかったルールチェさんがおずおずと手を挙げた。
「はい、ルールチェさん何か?」
「あ、あの、私はメイドでは無いのでしょうか?」
ルールチェさんは自分がメイドとして仕事ができるように奴隷商館で教育を受けたのに俺からメイドの仕事を割り振られなかったので何をするのか恐々としていた。
「あ~、ルールチェさんは今この館に居ないシュテーナちゃんと一緒に錬金術を勉強して貰います。ギルドからポーションが足らないので収めて欲しいと依頼があってシュテーナちゃんにお願いしているんだけど、全く足りてないので多く欲しいと言われているのでルールチェさんには錬金術を覚えて貰います。」
「えっ?私が錬金術を・・・」
「ええ、私は錬金術師なのでゆっくりで良いので覚えていって下さい。」
俺が錬金術師であり錬金術を教えると話すと奴隷の皆が驚いていた。俺は何がそんなに驚くことがあるのかと思っているとブロンさんが挙手した。
「ブロンさんどうぞ。」
「シュン様、シュン様は本当に錬金術師様なのでしょうか?」
「ええ、私の師匠はアリストテレスで、弟子の証も持っていますよ。」
そう言って俺は証を奴隷の皆に見せた。
「アリストテレス様のお弟子様ですか!アリストテレス様は弟子を取らない事で有名な方で、さらにその証は免許皆伝の方だけが持つことが出来るものではないですか。」
ブロンさんはアリストテレス師匠の事を良く知っているらしい。
ブロンさんが雇われていた所で師匠が一時期お世話になっていたらしい。その時に何度か話をする機会があり色々と聞いたとの事。
ブロンさんに師匠が亡くなったことを告げたら俯き微かに震えていた。
師匠の話を終えると俺は欠損奴隷たちの前に小瓶を置いた。奴隷たちはキョトンとした顔をして小瓶を眺めるがブロンさんだけは中が何か想像できたのだろう目を見開き小瓶を眺めていた。
「今置いた小瓶の中身は薬です。小瓶を置いた人達は飲んで欲しいのですが、女性はエリナさんについて行って別室で飲んで下さい。飲む前に服を脱いでから飲むようにして下さい。」
俺がそう言うとブロンさんはやはりといった顔をしていた。女性たちはエリナさんがリビングの方に案内して食堂から出て行った。女性たちが出て行った後、ギルデイさん、バルザックさん、レイソンさんは服を脱ぎだし小瓶を片手に持った。
第三者が見たら、下着姿にしたあと何か飲ませるって変態じゃね?って気づいたけど、もう皆が行動を起こしている最中なので今後やり方を変えないといけないなと反省しながら成り行きを見守っていた。
ギルデイさん達は意を決して小瓶の中身を飲み干すと味が美味しかったのか少し嬉しそうな顔をした。飲んでも何も起きない事に疑問の顔をしていると急に苦しみ始めた。
「グッググッ」「ガアア・・」「な、なにが・・・」
苦しみ始めたギルデイさん達をブロンさんとネルギエさんが背を擦りながら介抱を始めた。ブロンさんは何が起こっているのか大体想像が出来ているらしいがネルギエさんは何が起こっているのか分からないため俺に何をしたのか聞きたがっていた。
ギルデイさん達が暫く苦しんでいると徐々に無くなっている腕や足が生えて来ていた。
それを見たネルギエさんは驚愕した表情をしてギルデイさん達と俺の顔を交互に見ていた。俺たちは見ていることしか出来ないのでタオルを準備してそれぞれの顔に浮き出る汗を拭いていた。
30分位すると痛みも落ち着いたのかギルデイさん達は荒い息をしながらも苦悶の表情から落ち着いた表情になっていた。
その後、自分が無くした部位に違和感を感じてそこを見ると無くなったはずの腕や足が生えていた。自分が見ているのが夢でない事を理解すると涙を流しお互いが抱き合った。
それを見たブロンさんやネルギエさんも我が事の様に喜び共に泣き始めた。結果は分かっていた事だがやはり俺も嬉しくなり少し涙が出た。
暫くして服を着直して女性メンバーが戻ってくるのを待っていると目元を赤くした女性メンバーが戻ってきた。欠損部位が元に戻っており男性メンバーを見て治っていることを確認するとまた涙を流して喜び合った。欠損奴隷たち全員が立ち上がり俺に向かって頭をさげた。
「シュン様、我々の為に高価なお薬を使い治して頂きありがとうございました。」
「「「「「ありがとうございました。」」」」」
俺は涙ぐみながら「無事に治って良かったです。これから皆さんには頑張って頂きますのでこちらこそよろしくお願いしますね。」と言った。
それを聞いた奴隷たち全員が頭を下げて「こちらこそ、よろしくお願い致します。」と声を合わせて返答した。
俺は奴隷の皆に再度席に座る様に言いこれからの話を再開した。
「先ほども私は皆さんの自主性を重んじるように話をしましたが、この館の管理をするにあたり秘密を共有する必要があります。その秘密は誰にも話すことは禁じます。また、皆さんにはこれから一か月間基礎体力向上を目的とした訓練を行って頂きます。有事の際に館を守ってもらうためです。」
「訓練ですか?」
「ええ、ルールチェさんは錬金術の勉強を行って頂きますが、その他のメンバーは訓練を行って貰います。その間館には私とエリナさんがいますので安心して訓練に励んでください。」
奴隷の皆さんは困惑しながらも「はい!」と元気よく返事した。
「では、皆さんにまずは館を案内してから、秘密を共有したいと思います。私とエリナさんについて来てください。」
そう言って俺は館を案内して、奴隷の皆の個室を伝えると奴隷に個室なんてありえませんと言ってきたが部屋がいっぱいあるからねぇ~の一言で言いくるめた。
各部屋を案内し終わった後、二階の一室へ皆を連れて行く。その部屋の中にはドアがぽつんと置いてある不思議な部屋だった。。。




