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ペンタグラム  作者: はるひぶ いえん
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出会い

光が降り注ぐ外に出ると俺が落ちた所とは異なるが、そこは蟲の谷の中腹辺りだった。


大型の蟲は見当たらないが中型から小型が離れた所に居るのが見える。俺は蟲に見つからない様に小さく屈みながら外を進むが「ぐうぅぅぅ~」とお腹がなってしまった。


ブウゥゥゥゥン!という羽音と共に巨大な蜂が1匹俺に向かってきた。蜂は大体1メートル位の大きさで複眼で俺を捉えていた。


目を離した隙に一気に襲ってきそうだった。俺は大きい蜂に気持ち悪さを感じながら、確か蜂って複眼以外にも単眼があるとかいうのをどこかで読んだ事を思い出し逃げる事は不可能だなと諦めの気持ちでいっぱいになっていた。


蜂はガチガチと歯を鳴らして俺を威嚇し始め、焦れたのか口を開け俺に襲い掛かってきた。俺は蜂の攻撃を右に避け気持ち悪く思いながらも殴ろうと拳を振るうが複眼の為か俺の攻撃が見えていたらしく空中に飛んで回避された。


上空に上がった蜂は毒針を出し俺に向かって急降下してきた。


俺はハイヒューマンになったせいか蜂の攻撃を目視しながら針をギリギリで躱すと、蜂の腹を掴み地面に打ち付けると同時に翅と翅の間を力いっぱい殴りつけた。


俺の拳は蜂の体をあっさりと貫いた。体に穴が開いた蜂は微かに翅をビクビクと動かすが暫くすると死んだらしくパタリと翅が力なく落ち動かなくなった。



蜂が死ぬと蜂の体から何かわからいものが煙のように出てくるのが見える。煙は俺に向かってきて俺の体に触れると入ってくるのを感じると俺の体から力が湧くのを感じた。


【今シュンの体に入ったのはゲームで言えば経験値みたいなものだよ。魔獣や蟲など敵対するものを倒した時に相手の力の一部が自分の中に入って成長するんだよ。だからRPGみたいに敵を倒していけばレベルアップする感じかな。】と地球がさっきの現象を解説する。


「(ん?そのレベルアップって俺だけなのか?それともこの世界の常識?)」


【この世界の常識だ。シュンに分かりやすく言うと、この世界の人々の強さを数値で表すと平均レベル20前後だ。ただ人の基礎能力によって同じレベル20でも強さが大きく違うがな。シュンはまだハイヒューマンになったばかりだからレベル1だと思えばいい。】と木星が教えてくれた。


俺は地球と木星の説明に前世の常識が通じないと諦めながら納得し、「ふぅ~。さすがに(精神的に)疲れたな。進化前だったら確実に負けてたな。。。」と一息ついた。




そうすると「おい、小僧それを私に譲れ。」と声が聞こえた。


俺は辺りを見回すと少し先の岩のひび割れに年老いた魔法使いの様な恰好をした人物がいた。

老魔法使いは白髪でサンタクロースの様な髭をし、瞳の色が青い老人だった。



老魔法使いを見つけると俺は「何か食べるものありませんか?それと交換なら譲ります。」と声を掛けると、「ムムム。年寄りに物を強請るとは裸族は強欲じゃ!」と自分の事を棚に上げて口ずさんでいるが、「仕方あるまい其を持ってこっちにこい。」と声を掛けてきた。


ら、裸族か・・・まぁ確かに俺未だに裸だけどさ。。。


俺は蜂を抱え上げて老魔法使いの元へ行き岩のひび割れに入ると、そこは結構な広さを持つ空間でどことなく化学実験室の様な雰囲気があった。


「ほぉ~。」と俺は周りにある物を見つめていると、「ほれ。干し肉じゃこれをやるから、それを寄こすのじゃ。」と老魔法使いが声をかけてきた。


「しかし、おぬしはどこの裸族じゃ?この蟲の谷に裸族がいるなんて初めて知ったぞ。」


「あ~、確かに今裸だけど裸族って訳じゃないんですよ。ちょっと、とある事情で服が無くなってしまって。」と胡麻化すと老魔法使いは不憫な奴を見る目をしてまた奥に向かってしまった。


俺は貰った干し肉を齧りながら休んでいると老魔法使いが戻ってきて「ほれ、これを着るがいい。」と服を一式渡してきた。


俺は人の優しさに感動しながら「ありがとうございます。」と言って服を着ると丈が短かったがプランプランするよりは全然良かった。


老魔法使いは水を手渡してきて、「何故あんな所に居たのじゃ?それよりもあのジャインビーをよく素手で倒したものじゃ。おぬし何者じゃ?」と俺に興味を持ったのか色々と質問をしてきた。


俺はとりあえず、ジャインビーを老魔法使いに渡して「これ約束の物です。」と回答し、「実は何故あそこにいたのか記憶にないんですよ。自分の名前がシュンという以外覚えていないといった方が正しいのかな?」とお約束の回答を返す。


老魔法使いは良い物を見つけたという笑みを浮かべ「ほぉ、それは災難じゃったのぉ~。そうかシュンというのかい。私はアリストテレスじゃ。」と老魔法使いの名前を教えてくれた。


「アリストテレスさん。食事をご馳走して頂きありがとうございます。所で、アリストテレスさんこそこんな処で何をされているんですか?周りを見ると何か変わった物がいっぱいありますし、このジャインビーですか?こんなの欲しがってますし。」


「フフフ。私は何を隠そう錬金術の研究者で賢者の石を作り出すためにここに籠っておるのじゃ。ここは錬金術の素材が多く手に入るからのぉ。ほーほっほっほっほっ!」




ん?錬金術?アリストテレス???


俺は過去の記憶から引っかかるものがあり地球に確認を取る。


「(なあ、地球。アリストテレスって確か地球の古代ギリシャの賢者とかじゃなかったっけ?)」と心の中で地球に声をかけた。


【うん。そんな人物がいたね。もしかしたらこのアリストテレスは地球での記憶を微かに持っているのかもしれないね。そのため今世でも錬金術に傾倒しているのかも。】


「(ほっほ~。世の中には不思議な事もあるもんだな。俺自身も前世の記憶持っているから否定はできんな。そういう事もあるのかぁ~。)」と地球と心の中で会話した後。



「え?こんな所でアリストテレスさん一人で研究なんてしてるんですか?」と疑問を返す。


「いや、前は助手が何人かおったのじゃが、錬金素材を集めに行って蟲に捕まってしまい死んでしまったり、この環境が嫌で逃げたりして今は私一人じゃよ。」と言うと目をキラーン!と光らせる。


「シュンはこれからどうするんじゃ?水も食事も持たずに蟲の谷を彷徨うのかえ?」とニヤリとしながら俺に聞いてくる。


俺はアリストテレスが何を言いたいのか理解し、服も貰ったてまえ手伝う事は吝かでは無いと思いながらも「とりあえず、蟲の谷というんですか?ここを出て人が住む場所まで行きたいと思いますが、記憶がないため生きていけるか不安ですね。」と回答をする。


「それは不安じゃの~、そうじゃ!ここで私の研究を手伝ってくれれば色々と教えてやるぞ。」と言ってくる。


俺はとりあえず、ここで文字や一般常識を学ぼうと思い、「そうですか、それはありがとうございます。どれだけお世話になるか分かりませんが暫くよろしくお願いします。」と答えた。


「おぉ~!蟲を倒せるおぬしが私の研究を手伝ってくれるとは!これで研究が進む!」アリストテレスはそう言うとニカッと笑うのであった。


「では、さっそくガイムオームを3匹ほど捕まえてきてくれんか。そこの崖を降りた所にいるから。あ、そうそうビックフライがいるから注意するんじゃぞ。いやガイムオームとビックフライが分からんか。ガイムオームは丸まって転がりながら突撃してくるからすぐにわかるじゃろ。ビックフライは、四枚の翅で胴体が長い蟲じゃて。それでは頼んじゃぞ。」


「うおぉーーーーい!急すぎる!イキナリこき使われるのおおおお?」


これが俺と錬金術師のアリストテレスの出会いであった。

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