お約束の貴族
家を購入した次の日、調理器具など諸々揃っていないため朝食を食べに外にでると門の前に頭を下げたエルフが数名いた。
どうやらエルフの村に病が流行りハイエルフのエリナさんに知恵を貸して欲しいとの事。
どこかで聞いたことがある話だなと思いながら話を聞いていたらエルフの女性が顔を上げるとどこかで見たことがある人だな~っと思っていたらエリナさんが「お、お母さま!」と声を上げた。
エリナさんとお母さまが見つめ合いお母さまが驚いた顔をした。
「え、エリナ?そ、その姿はいったい・・・」
エリナさんは駆け出してお母さんと呼んだ女性に抱き着いた。
「お母さま、無事でしたのですね。私たちの病のために薬を手に入れるために村に向かったと聞きましたが、戻りが遅いので心配していました。」
「エリナ、本当にエリナなのね。病はどうしたのですか?」
「はい。病はシュンさんのお蔭で皆治りました。もうお母さま達がご無理をなさる必要はありません。」
「本当に良かった・・・」
エリナさんのお母さんはそう呟いてエリナさんに抱き着いて涙を流した。
俺は感動的な光景に感情が高ぶって目をウルウルさせているとエリナさんとお母さまの抱擁が終わりエリナさんが俺の紹介を行う。
「お母さま、こちらが病を治して頂いたシュンさんです。」
俺は頭を下げて礼をし、「初めまして、エルフの村でお世話になったシュンと申します。」と挨拶を行った。
「こちらこそ娘たちがお世話になりまして、村の皆を助けて頂きありがとうございます。エリナの母親のエルリーンです。」
エリナさんの母親のエルリーンさんが挨拶を行う。初めて見た時にどこかで見たことがあると思ったらエリナさんの母親だった。
そりゃ、親子だもん似てるって。エルフってやっぱり美男美女が多い種族なんだな。エルリーンさんの後ろにいる人たちも美男美女だもん。
「あの、ここではなんですからどうぞ中へお入り下さい。積話もあると思いますし。」
そう言って、エルフの人たちをリビングへ通しお茶を出した。エルリーンさん達は村を出た後の事が気になるらしく、エリナさんにその後の出来事を聞いていた。
「私が病で倒れてから少しして、村の近くにゴブリンが見つかりました。そこでカルーゼさん達が村の近くを警戒していた時にシュンさんと出会ったそうです。シュンさんが村に来てゴブリンを倒してから病の事を知ったらしく、錬金術で薬を作成して私たちを助けてくれました。」
「シュンさんは錬金術師なのですか?」
「はい、アリストテレス師匠から錬金術を習いました。」
「え?あの錬金術の大家のアリストテレス様ですか?」
俺は頷き、「はい。そのアリストテレスです。」と答えた。
エルリーンさん達はアリストテレス師匠が錬金術の大家で弟子を余り取らなかった有名人である事を知っており、その弟子である事にビックリしていた。
エリナさんはその後の出来事を事細かく話をして、自分がハイエルフ並みの魔力を持つに至った経緯も話をした。
エルフの村が魔物の集団に襲われて何とか撃退したものの、大量のゾンビの死骸が毒素を出すためにシュンの拠点へ移住した事を離しさらにエルリーンさん達はビックリしていた。
「病が収まったのなら私たちは村へ帰ろうと思ったのだけど、シュンさんの所に皆がお世話になっているのよね?聖水を手に入れたら戻るのかしら?」
「そうですね。浄化させるために行きます。ただ、教会に行ったんですが準備に3日かかるらしいですが。」
「では、その時に一緒に連れて行って下さい。私たちは村の皆が今住んでいる場所が分からないので。」
「はい。ご案内します。ところで皆さんは今どちらで過ごされていますか?もし宿でしたら、こちらに泊まりませんか?部屋がいくつも空いてますので・・・ん?というか、今から行きますか?」
「え?でも聖水が3日後なんですよね?」
「え~っと、説明が難しいので実物を見て貰った方が分かりやすいので、どうしようかなどこかの部屋に設置がいいですよね、エリナさん。」
「そうですね。二階の角部屋が良いのではないでしょうか?荷物も何もありませんから設置しやすいと思います。」
「では、そうしましょうか。皆さんついて来て貰っていいですか?」
そう言って俺は二階に上がり角部屋に向かった。扉を開けて何もない場所に移動ドアを出す。行き側と戻り側を設置して、エリナさんを先頭に移動ドアを潜り抜ける。
「えっ?ここはどこですか?」
エルフの皆さんが困惑している。ここは俺の拠点にある家ですと説明して、家から外に出ると妖精たちが飛び回っていた。
エルリーンさん達はありえない光景に固まっていると遠くから走ってくる人影が見えた。村長とシュテーナちゃん達だった。
「おかえり、エルリーン。無事でよかった。シュンさんとエリナに出会ったんだね。私たちの村の話は聞いたかい?色々あってシュンさんの拠点に住居を移しているんだよ。」
「ええ、今日コッフェロの街で出会って簡単に話を聞きました。村の皆が無事でよかった、私たちが役に立たなくて申し訳ありませんでした。」
「いや、エルリーン達は頑張ってくれた、私たちはとても感謝しているよ。ありがとう。」
村長とエルリーンさん達が話していると他の村人もやってきて、エルリーンさんと一緒にコッフェロまで行っていた皆が再会を喜び合っていた。
エルフの皆さんが色々と話をしていると、ローラーンさんがやってきてお酒の報告を受けた。お酒の生産が順調で飲めるようになるのが待ち遠しい妖精が多いらしい。俺とエルフの皆さんんで作ったワインも妖精たちが管理しているが、そのワインも良い感じで熟成していっているらしい。何故そんな事が分かるのか聞いたところ、妖精は力は弱いが魔法は得意らしく水属性の魔法を使って状態を確認できるらしい。
なんじゃそりゃって思ったよ。無駄な事に特化しているものだ。
各種族から報告を受けていると昼過ぎになり、エルリーンさん達の荷物を取りに一度コッフェロの街に戻ることになった。
コッフェロの街に戻りエルリーンさん達は荷物を取りに宿に戻り、俺とエリナさんは朝から何も食べていないため屋台で買い物をしようと外にでると門を無理やり開けて入ってきている集団がいた。
戦闘を歩く男は胸元にヒラヒラした前掛けの様な物を付けた貴族っぽい男で護衛っぽい男たちを10人ほど連れていた。
「え~っと、人の家に何か用ですか?勝手に入ってきてますけど。」
「無礼者!この方をどなたと心得る!デキンバ男爵様の次男、ジャガン フォン デキンバ様であられるぞ!」
「うん、だから何?それが俺の家を壊す事と何が関係あるの?」
「この無礼「まぁ、待てこの知恵が足らぬ者に分かるように私自ら説明してやろう。」
「「「流石ジャガン様、御心が披露御座います!」」」
「うむ。ここにハイエルフが住んでいるらしいな、そこの美しい娘か。ほう!さすがに人族にはない美しさだ。感謝しろ、そなたは私に使える事を許そうではないか。」
アホそうな顔をした貴族のジャガンとかいう奴は上から目線でエリナさんを連れて行くと言ってきた。
またバーカターの様な奴がきたもんだと思いながら呆れていると、ジャガンの護衛たちがエリナさんの近くに寄ってきた。
俺はエリナさんを後ろに隠すと護衛たちが怒声を上げてきた。
「ジャガン様が仰られただろう!邪魔をするな!」
「あのさ、君たちが何様なのか知らないけど、人の知り合いを勝手に連れてこうとするなよ。」
「こ、この無礼者が!」
そう言って護衛たちは剣を抜き俺に切りかかってきた。俺の家の門が壊されて入られた事もあり家の前には人だかりが出来ていて「あ~、ご近所迷惑してるな~」と考えながら護衛たちの攻撃を躱しながらジャガンに近づきアイアンクローをして吊り上げた。
「ガアァァァァァァイダダダァァァァァァァl」
俺を切りつけようとしていた護衛達はジャガンが掴まった事で切りかかることが出来ずに躊躇している。俺の周りを囲んで切りかかろうとしても向かってくる護衛達に向けてジャガンを向けるから切りかかれずにいた。
ジャガンもアイアンクローをされながらガンガン振り回されるため段々と締め付けられていき次第に白目をむいて泡を噴き始めた。
護衛達はジャガンの様子を見て慌ててこちらに謝りだしジャガンの返還を求めてきた。
俺はジャガンを投げ渡すと護衛達は大急ぎでジャガンを担ぎ上げ連れ帰って行った。
はぁ~、また面倒な事になりそうだなと溜息をついてジャガンたちを見送ったのだった。




