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ペンタグラム  作者: はるひぶ いえん
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兄弟子

「魔物を狩ることしか出来ない下民どもが私を侮辱するか!」


高級な服を来たでっぷりと太った男が俺たちを睨みながら叫び持っている杖を振り回していた。

は~、何でこんな事になっているんだろ・・・とため息交じりに現状を嘆きなが昨日からの出来事を思い出していた。


昨日ギルドの解体所で買い取りをお願いした後、城門に向かって身分証を作ったことを伝え銀貨10枚を返還してもらい街を散策に出かけた。

バルッサ王国の街は基本的に同じ作りらしく中央部にその街の領主が住み、その周りに貴族たちが住む屋敷、その周りに金持ちたちの屋敷、その周りに平民たちの家という様になっており東西南北に大通りが通っていた。


大通りにはギルドや武器・防具屋、道具屋などギルド員に必要なお店や、野菜や肉などの食材が売っている店、食事処などが各所に並んでいた。

大通りから少し入った所には公園の様に広場があり、そこでは露天が並び串焼きやスープなど店主自慢の一品が売られていた。


俺とエリナさんは露天で美味しそうな匂いを漂わせている串焼きを買っていると裾を引っ張られる感覚があり、下を向くと服が汚れた子供が指を咥えながら見上げていた。


俺は膝をつき、目線を合わせて買ったばかりの串焼きを前に出すと、遠慮しているのかチラチラを俺の目と串焼きを交互にみているだけだった。


「お腹空いてるんでしょ?これどうぞ。」と言いながら串焼きを握らせるとパァと笑顔になり、「ありがとう!お兄ちゃん!」と言って口いっぱいに頬張った。

どこの子だろうなと思って周りを見渡すと、串焼き屋の店主が苦笑いをしながら子供の素性を教えてくれた。

どうやらスラムに住んでいる子供らしく、親が病や魔物によって亡くなり孤児院に引き取られなかった様な行き場を失った子供が集まっているらしい。

その様な子供たちを本当は領主様が政策で救うべきなのだが、辺境伯領の領主は防衛政策には力を入れているがスラムの改善などには力を入れていないため、露天の店主たちは串焼きの材料の欠片などをあげているらしい。


それを聞いたエリナさんは悲しそうな顔をして串焼きを一生懸命食べている子供の頭を撫でて自分の串焼きも子供の手に握らせた。

その子は口の中に肉が入ったまま、「ぼねえぢぁん、ばりがどお。」と何となく分かる言葉を発して感謝を表していた。


俺が渡した串焼きを食べ切った子供はもう片方の手に持った串焼きを見ながら、「これは妹に上げていいですか?」と聞いてきた。さらに小さい子供がいるのか!とビックリしているとエリナさんが俺の顔を見てきた。


エリナさんの言いたい事が分かった俺は、「それも食べなさい。妹さんの分は新しく焼いて貰うからね。」と言うと子供の瞳から涙が流れて「ありがとうございます。ありがとうございます。」と何度も何度も感謝の言葉を呟いた。


「兄弟は何人いるの?」と聞いた所、スラムで何名か集まっている子供たちとの事で13人いるらしい。

全員連れておいでと言い、その間に串焼き屋のおじさんに何本か焼いて貰って待つことにした。


大勢の子供たちがやってくると一斉にお礼を言われて、串焼き屋のおじさんから一人二本ずつ受け取る様に言い最初に串焼きを食べた子を連れて近くの日持ちしそうなパンなどを買って渡してあげた。


俺とエリナさんは、子供たちの感謝の言葉を背に受けて広場を後にした。その後街を散策してから宿に戻った。

宿の夕食はニンニクが効いたステーキで、ニンニクがある事に衝撃を受け明日野菜や調味料を探しまくろうと心に決めていた。




次の日、起きて木窓を開けると小鳥が囀る爽やかな朝で、今日は良い日になるという予感を感じさせた。

エリナさんと朝食を食べて今日の予定を話し合うと宿を出てギルドへ向かった。


ギルドでは朝から依頼を受けようと沢山の人がガヤガヤと依頼票を取り合っていた。

俺たちは買い取り窓口まで行くと、昨日相手をしてくれたガニーオが座っており俺と目が合うと手を挙げた。


「おう、来たか!査定が終わってるぞ、解体手数料を差し引いて金貨381枚と銀貨85枚だ。」


う~ん。鉄貨100枚で銅貨1枚でしょ、鉄貨1枚1円で考えると・・・


銅貨1枚は100円

銀貨1枚は1万円

金貨1枚は100万円


3億8000万!


「はぁぁぁぁ!そんなに~!」


「はあ?当たり前だろ、トリプシルプなんてまず出回らない素材だぞ!ツイシルプでさえ何年に一度位しか出回らないのに。あんなに大量にある素材でも明日には全て売却されるわ!ワハハハハ!」


お、おぅ・・・日本の円換算で考えるのは違うのだろうけど思った以上に高額で売れたな。でも、さすがに多すぎるな。欲しい野菜とか調味料を買い漁ったとしても金貨1枚も使わないぞ・・・。

聖水を手に入れるのに幾ら位必要か分からんけど、足らないって事はないだろうな。

ま~、まずは予定通り協会に行ってみるか。


そう考えながら目を点にしているエリナさんを再起動させて教会に向かうためにギルドを出よう歩いていると、入り口から大声で叫ぶ男の声が聞こえた。


「わははははっ!今日も希代の錬金術師である私がポーションを売りに来てやったぞ!ありがたく収めるがいい!」


師匠以外の錬金術師を初めて見るため大声で叫ぶ男を見ると高級な服を来たでっぷりと太った男が周りにガラの悪い男を侍らせてギルドの受付へと向かっていた。

あの男の後ろにいる人が持っている箱にポーションが入っているのか?師匠とエリナさん達以外が作るポーションがどの程度の品質なのか気になり事の成り行きを見ていた。


「アリテシア!さあ、ありがたく受け取りたまえ。」


アリテシアさんは嫌そうな顔をして錬金術師の男に返答した。


「バーカターさん、こちらはギルドの受付カウンターです。ポーションの買い取り窓口はあちらになります。」


と言って俺たちの方へ手を向けた。

バーカターと呼ばれた男は何時もの事なのか不敵な笑みを浮かべた。


「わははは!アリテシアよ。近いうちに私に嫁ぐのだもっと愛想よくせんと捨ててしまうぞ!」


それを聞いたアリテシアさんは物凄く嫌な顔をした。


「私はあなたに嫁ぐつもりはありません!何度もお断りしたはずです!」


「ぐふっぐふっ、いいのかぁ~。お前の母親の病を治す薬を作れるのは俺だけなんだぞぉ~!」


アリテシアさんは唇を噛みバーカターを睨んでいる。あれが師匠以外の錬金術師なのかと落胆しながら見ていた。

バーカターはポーションの買い取り窓口に向かおうと窓口の方を見ると窓口近くにいる俺を見て、続けてエリナさんを見るとその美しさに見惚れて口をポカーンと開けて止まった。

その姿をみた護衛の男たちはエリナさんを見て同じように固まった。


バーカターは再起動すると大声を上げて吠え出した。


「おぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉ!私の正妻となるべき女だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


そう言って、ドスドスドスという音を立てながらエリナさんに向かって突進してきた。

エリナさんはバーカターの行動にビックリして俺の後ろに隠れた。


「おい!貴様、そこをどけっ!私の正妻がそこにいるのだ!愛の言葉を告げられぬではないかっ!」


そう言ってバーカターは俺をどけようと手を伸ばしてきたので、パシッと手を叩いてあげた。

バーカターは俺の行動に呆気に取られ、その後激高して掴みかかろうとしたのでサッと避けると壁に激突してしまった。


それを見た俺はエリナさんを連れてアリテシアさんの元へ避難する。

暫くすると周りの人々がバーカターの行動に対して大笑し始めた。バーカターは壁から離れてブルブルと体を震わせると大声で叫ぶ。


「魔物を狩ることしか出来ない下民どもが私を侮辱するか!」


と冒頭に戻るのだが、ハッキリ言うと俺たちは被害者である。別に馬鹿にしたつもりもないし侮辱したわけでもない。


「え~っと、気になったのですが、あなたは本当に錬金術師なのですか?」


「あぁん!下民如きが気高き錬金術師である私に気やすく声をかけるな!私と話をして良いのは美しい女性だけだ!」


お、おう・・・前世を合わせて初めて選民思想の持ち主にあったけど。。。これは何て言うか凄いな・・・。

自分は特別だというのを疑っていないし、自分以外は劣っているという意識が強いんだな。あ~、逃げ出したい・・・。


「まぁ、良い私の正妻が見つかったのだ、この素晴らしい日に心が広い私が自己紹介をしてやろう!かの錬金術師の大家であるアリストテレス先生の最後の弟子であるバーカターとは私の事だ!」


そう言ってバーカターは両手を広げて上を向いた姿でポーズを決めた。


お、おう・・・これ兄弟子に当たるのか・・・?

俺はこの不運な出会いに憤りを覚えながら師匠に錬金術以外の教育を弟子にしっかりやってて下さいと愚痴るのであった。

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