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ペンタグラム  作者: はるひぶ いえん
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眷族

エルフの移住が完了して2ヵ月ほど経ったころ、急に日が遮られ巨大な影が拠点を覆った。

目の上に手を当てながら上空を見ると懐かしいガルルスの姿が見えた。


「おーい!ガルルス~!」


そう叫びながら手を振ると俺を見つけたガルルスがゆっくりと降りてきた。


「おったおった。おぬしから聞いていたがハイエルフどもが沢山いるから此処ではないと思ったぞ。」


「あ~、ちょっと色々あってね~。」


「そういえば途中のエルフの村は誰もおらなんだな。」


「うん。そこの住人が魔物の群れに襲われてね。そこにゾンビが居たから遺骸が浄化されるまでこっちに避難して貰ってるんだよ。」


「ふふふ、ハイエルフになっていることは敢えて突っ込まんぞ。」


「気を使って貰ってありがと。」


ガルルスは鳥の姿ながらニヒルな笑い顔の様な雰囲気を醸し出しカカカッと笑っていた。

暫く笑いながら近況報告をしながら話をしているとガルルスが本題に入りだした。


「シュンよ、一つ頼みたいことがある。」


「ん?なになに?」


「うむ。我がこの辺りに来たのは我の眷族が住むに相応しい地を探しておってな。」


「眷族?ガルルスの所では一緒に住めないのか?」


「我らが住む場所は眷族に取っては危険な場所なのだよ。眷族が食べる物も取れんしな。」


「眷族はそんなに強くないのか?」


「うむ。それなりに戦えはするんだがな。やつらは戦う事が嫌いなのもある。」


「心優しい眷族なんだな。」


「それはそれで問題なのだがな、そこでおぬしを思い出しての。おぬしの住んでいる所ならある程度安全だろうと思っての。」


「それで下見を兼ねて此処を見に来たのか。」


「うむ。見たところ木々もあるしあ奴らが住むには良さそうな所と思っての。ここに住まわせてやってくれんか?」


「いいよ。大丈夫だと思うけど、ここでは争ごとは厳禁だよ?」


「分かっとる。分かっとる。あ奴らにもしっかりと言い聞かせるぞ。では連れてまいる!」


俺からOKを貰うとガルルスは早速とばかりに翼を広げ空高く舞い上がりガルルスが住む山に向かって飛び立っていった。

また新しく住人?が増えるようだな。そういえばシェリアリアスが住人を連れて来るって言って暫く立つがどこかで寄り道でもしているんだろうか?


ガルルスが来てから二日後、シェリアリアスが数百もの大群を引き連れて帰ってきた。


「しゅ~ん!たっだいまぁ~!」


「おかえり、無事に皆さんを連れてきたみたいだね。」


「あったりまえでしょ~!誰だと思ってるのよ!」


色とりどりの妖精たちがそこ彼処に飛び回って辺りを散策していた。

その中でも最も高貴そうな妖精が俺の前にやってきて頭を下げた。


「この度は私たちに安全に住める場所を分け与えて頂き誠にありがとうございます。私はローラーンと申します。お見知りおき下さい。」


「ご丁寧に恐れ入ります。皆さんが住みやすい環境というのが分かりませんので空いている場所であればどこでもご自由にお使い下さい。お手伝い出来る事があれば何でも言ってください。エルフの皆さんも手伝ってくれますから。」


「何から何までありがとうございます。皆と相談して決めさせて頂きます。」


ローラーンさんと挨拶を交わしている時に周りの妖精達が騒ぎ出す。


「「「キャーーー!」」」


パタパタと飛び回りながらローラーンさんの近くに集まってきた。


「皆、どうしたの?」


「ローラーン様、あれを見て下さい。大きな鳥達がこちらに向かってやってきています!」


妖精達が指さす方向を見るとガルルスが何羽かと小さい鳥(普通のサイズの鳥っぽいけど)が編隊を組みながらこちらに向かってきている。

俺はあ~この間言ってた眷族を連れてきたのかぁ~と思いながら後ろで騒いでいる妖精たちを安心させるために説明を行うが信じられないのかビクビクと俺やエルフ達の後ろに隠れる。


ガルルスが降りてくるとカルーゼやエリナさん達と出迎える。


「やあ、眷族を連れてきたのか?」


「うむ。これから世話になる奴らを紹介しよう。」


ガルルスがそういうと3種類の鳥が前に出てくる。一羽目は鷲に似た精悍な姿をした鳥でサンダーバードと名乗り頭を下げた。


サンダーバードって好戦的なイメージなんだけど、ここに来たってことは争いを好まない種族なんだろうな・・・。


二羽目はバザンと名乗り、鶏に似た大きな鳥で鶏と同じく空を飛ぶことが出来ないためガルルスの背に乗ってやってきたそうだ。


最後がラセツチョウと名乗り、灰色の鶴の様な姿で物静かな奮起を醸し出す鳥だった。


三羽とも名乗ったという事は、俺たちが話す言葉を喋る事ができるという事で・・・魔物とはいえ何て常識はずれな・・・。


三種族に対して、ここでの争いごとは厳禁を約束させエルフ族、妖精族を紹介した。

三種族とも争わない事を誓い仲良くそれぞれに挨拶を交わしていた。


ガルルスはそれを確認すると、三種族に対して俺に迷惑をかけるなよ的な事を言って帰っていった。


三種族にどこに住処を作ってもらっても問題ない事を言うとやはり木々の所に巣を作る様に飛んで行った。


数日経つとそれぞれ住む場所が定まり各代表から改めてお礼を言われた。

その時にバザンが鶏に似ていることもあり、無精卵を産むのか聞いてみた所普通に産むらしく人間が好んで食べる事を知っているため無精卵は上納すると言ってきてくれた。

俺は頭を下げお礼を言いバザンの好意に甘えるのだった。


エルフの皆さんは卵を食べる習慣が無かったため、奥様方に調理方法を教えるため料理教室を開いた。


「シュンの三分クッキングー!」


パチパチパチ。うん。自分で拍手をするのも空しかった・・・。エリナさんだけが笑顔で拍手してくれたのが救いだったよ。


「さて、皆さんは卵を食べた事が無いとのことですので、私が知る何種類かの調理方法をお教えします。」


「シュンさん、その卵って食べられる物なのですか?」


「ええ、栄養価が高く調理の仕方で味わいが変わるとっても美味しい食材ですよ。」


「ほえ~、そんなにかね?」


「はい。まずは簡単なスクランブルエッグからです。フライパンを熱してから油をひきその上に卵を割ります。卵を割る時は机の角などを使ってコンコンとやると簡単に割れますので覚えて下さいね。割った卵をグルグルかき回せて塩を振って完成です。」


「本当に簡単なんだね~。」


「はい。本当は胡椒と呼ばれる調味料があるとさらに味が締まるのですが無い物ねだりをしてもどうしようもないので。さあ、食べてみて下さい。」


そういうと奥様方はスプーンでスクランブルエッグを掬い口に含むとホワッとした笑顔を浮かべた。


「はぁ~、本当に美味しいね~。こんなに簡単に作れるのにしっかりした味だね~。」


「そうでしょう。肉や野菜を炒めてから卵を絡めるだけでまた違った味わいになりますよ。」


「これは良いものを教えてくれたね。バザン達から頂いたら作ってみようかね。」


「ええ、色々と試してみて下さい。次は茹で卵です。鍋に卵がかくれるくらいの水を入れて卵と塩をひとつまみ入れ火をかけるだけです。茹でている間卵がぶつからない様にゆっくり転がします。水が沸騰したら火を弱めて暫く茹でると完成です。熱いままでは食べずらいので、冷水に入れて卵の熱を取って下さい。」


「冷水はどうすればいいですか?」


「井戸水を汲み上げた水で十分です。その水に茹で卵を入れて熱を冷ますと茹で卵の完成です。」


「シュンくん、私の勘違いでなければ卵は変わってませんよ?」


「ええ、見た目は変わって無いです。先ほど卵の割り方は教えたと思いますがこの卵を割ってみて下さい。」


コンコンという音が響くが生卵を割るくらいの強さでしか叩かないので日々も入らない。


奥様方は「あら?」という感じで卵を見ているがひび一つ入っていない卵。


「もう少し強く叩いてみて下さい。」


奥様方はさらに強く叩きつけるとパリッという音がなり卵にひびが入る。生卵の様に液体が落ちてこない事に困惑している奥様方に殻の剥き方を説明し卵を取り出すと、その白いツルツルとした姿に困惑していた。


「これが茹で卵です。そのまま食べてみるのも良いですし、塩を振ってみても美味しいですよ。」


奥様方は恐々と茹で卵を齧るとスクランブルエッグとは違った食感と味に驚愕していた。


「こりゃ、ビックリだね。こんなにも違うものかい!」


「でしょう。各々の好みにあった食べ方が出来るんです。バザン達の好意でもありますから皆さん美味しく頂いて下さい。」


ガルルスから眷族を住まわせてくれと言われたが、卵が手に入ることになったのは棚ぼただったな~。

これで暫くは栄養バランスが取れる食事が出来る様になるな。


ただ、あとは主食が無い事が問題なんだよな・・・。

聖水も手に入れる必要があるし、早めに街に行ける様にするかぁ~。

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