エボリューション
【やあ、こんにちは。】
バッバッ!俺は周りを見渡した。しかし何もいない。
【こっちだよ、今君が手を触れているのが私だよ。】
ギギギッ
擬音と共に首を下に向けると青く光る球体はゆっくりと回っていた。
【改めて、こんにちは。私が分かるかな?】
俺は声を掛けられた事でフリーズしていた頭が動き出し青い球をよく観察してみた。
俺は現在の記憶から前世の記憶まで脳をフル回転して該当する物を探していた。果物、、、桃?いやいや青いし・・・動物、、、アルマジロ?って灰色だったよな~。魔物・・・?いや、こんなの知らないな。と幾つもの物を浮かべる中遂にキュピーーーーン!と記憶と合致するものを思い出した。
「(ち、地球???)」
【ぴんぽん!ピンポン!ピンポーン!そう、正解!】
「(はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ???)」
【まあ、そういう反応になるよね!】
俺はまたフリーズしてしまった。地球って前世で俺がいた惑星だったよな~。しかし今俺の前足で触れているのって地球儀って言われた方がしっくりくるんだけど。。。
またフリーズしている俺に地球と名乗る青い球体は次々と話し始めた。
要約すると以下の様な話だ。
・ブラックホールの中で木星とぶつかり一つの惑星として融合した。
・ブラックホールに飲み込まれた時に地球の記憶が分離した。
・ブラックホールの中で融合が果たされた因子から生物が生まれた。
・俺が前世を思い出した事で分離した地球の記憶がが目覚めた。
・俺が死ぬとまた寂しいので俺を改造する。
「(えええぇぇぇぇぇぇぇぇええぇぇぇぇ!)
(改造ってなんだよぉぉぉぉ!)」
俺が衝撃の連続で体の痛みも忘れて突っ込んでいると今度は2体の球体が現れた。
【やあ、地球ちゃん目覚めたんだね!】
【あ、木星くん、土星ちゃん久しぶり!】
【久しぶり、ちーちゃん】
【ほー、これが地球ちゃんを目覚めさせた者か。えらくボロボロだね~。】
【そういえば、なんでボロボロなの?】
俺は頭をフリーズさせながらもボロボロになった原因を話しながらこの怪奇現象を自分なりに納得しようと頑張っていた。
【ふ~ん。大変だったんだねぇ~】
という一言であっさり流されてしまったが。。。
【所で君、狼の体だけど前世は人間だよね?折角だから人型に改造するね^^】
「(えっ!改造することは確定事項なの?)」
【え?改造しないと君死んじゃうよ?】
「(あ、はい。)」
【うん、じゃあ改造始めるね^^】
俺の意思は無視され地球が大きくなり俺は飲み込まれた。
俺は地球と木星と土星が会話しているが聞きながら意識が遠のいていった。
【おっ!この子フェンリルの因子を持っているね!】
【折角だから私たちが宿れるようにしようよ!】
【それいいね!】
・
・
・
□□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□□
「んっんん。」
目が覚めると体の痛みが無くなっていた。
自分の体に違和感があり、体を起こすと人型になっていた。前世の記憶がある俺は徐々に体の感覚が慣れていくのを感じた。
【お、目覚めたんだね!】
青く光る球体の地球は俺が目覚めたのに気づき声を掛けてきた。
【久しぶりの人型だと思うけど、どうかな?】
「うん、何か違和感があるけど徐々に慣れてきてるよ。あ、傷を治してくれてありがとう。」
【いえいえ、どういたしまして。私たちの為でもあるしね^^】
「えっ?というか、2個質問していいですか?」
【どぞどぞ。】
「では、1つ目。俺の体を改造したって事だけどどうやって改造したんですか?ロボットとかそんな感じ?それとも変なバイオ技術で何かのガラスの筒状の中で培養したの?」
【う~んと、私の記憶と土星ちゃんの力と木星くんの技術で^^】
「ソレハ安全ナノデスカ・・・」
【うん^^安全だよ。でも前世の人間とはちょっと違うかな。人間と言うにはちょこーっとスペックが度を超えちゃった存在だから、ハイヒューマンって所かな。テヘ!】
「オー、ソレハソレハ・・・」
【喜んで貰えて良かった。多分だけど、寿命も長いと思うよ。ちなみに15歳位の体格にしておいたから^^】
「オー、ソレハソレハ・・・」
幾ら考えても解決しないことに気づき考えることを辞めた俺は次の質問をすることに決め会話を仕切りなおした。
「ゴホン。あー、では2つ目です。改造される前に、宿れる様にとか何とか聞こえたんだけど・・・」
【あー、聞こえてたんだ!じゃあ説明は簡単にするね。私たちは惑星の精神体の様なもので自分で移動できないのね、でも折角だから色々と見て回りたいの。なので、君の体を改造する時に私たちが宿っても影響が無いようにしておいたの!】
「オー、ソレハソレハ・・・」
【ちなみに、今は私と土星ちゃんと木星くんの3惑星だけど最大で10惑星まで宿れる様にしておいたよ。】
と言った地球がドヤ顔をしているように感じたのであった・・・
【と、言うわけで君に宿るね^^】
そういうと地球は俺の頭に、土星は左手に木星は右手に宿った。
【あーあー、聞こえるかな?】
「あ、あぁ聞こえるよ。」
俺はトンデモ現象の連続に固まりながらも地球の問いかけに答えた。
【私たちは君に宿る代わりにそれぞれ力を与えるよ。ちなみに私は地球の全ての記憶を見れるようにするね!】
【ワタシは超新星を起こした時に一緒になったブラックホールとホワイトホールの力をあげる・・・】
【この大地はボクの上なんだけど地球のマンガなどであった魔力がある世界なのは知っているね。その魔力を無尽蔵に使えるようにしてあげるよ。】
「・・・え~っと、色々と聞きたいことがあるんですけど。。。地球の全ての記憶ってどこからどこまでで、どうやって見れるの?」
【う~んと、私の誕生から木星くんに飲み込まれて今までの事まで見せることができるけど、どうやって見せようか。あ、そだ!君の前世で使っていたパソコンの様に必要なキーワードを頭に浮かべて検索って考えればそれを君の眼の前に投影しているように見せるよ!】
「〈サバイバル〉サーチ!」
そう言葉に発すると目の前にウィンドウらしきのが見え、サバイバルに関係する項目が一覧で現れた。
俺は目の前のウィンドウに手を伸ばし、一つ目の文字列に触ろうとするも触った感覚はない。しかし、ウィンドウは表示が切り替わりそれに関係するものが表示された。。。
「これって、本当にパソコンで調べているように見えるね、これは俺にしか見えてないの?」
【うん、君にしか見えてないからその手で触った素振りを人が見ると変な行動をする人に見えるね!ちなみに、目線だけでさっき君がしたことができるからね。】
地球との会話で変な行動をする人と言われた時、自分の中でも「確かに」と思い少し恥ずかしい気持ちになったのは秘密だ。
「ちょっと引くくらいすごい能力だな。次に土星のブラックホールとホワイトホールって何?
【ワタシの力は全てを飲み込むブラックホールと吐き出すホワイトホール。でもその力の全てを使えるようにすると危険だから物の保管と取り出しができる位に今はしておく・・・】
「う~んと、それは俗にいうアイテムボックスとかいうものですか?」
【アイテムボックスっての良くわからないけどそれでいい・・・】
「オー!適当ぉ!」
俺は処理しきれない事柄に対してツッコミをいれるのも無視されるのであった。。。
「つ、次は木星の魔力は牙狼族の時に使っていたから多少はわかるんだけど、あまり詳しくはないから無尽蔵って言われてもどうやって使えばいいの?何か魔法って詠唱とか魔法陣とかって知らないんだけど。」
【ん?魔法はイメージの具現化だから自分が何をしたいかイメージするだけで、イメージの強さと使える魔力が魔法の威力に影響するだけだよ。今ボクの世界では何か詠唱とかが必須とか言われているけど・・・関係ないね!君たち牙狼族も身体強化を使ってたけど無詠唱だったでしょ。】
それを聞いた俺は自分の指先に炎が灯るのをイメージしてみるとポッと小さな炎が指先に浮かんだ。俺は自分の右手から魔力が流れるのをイメージして炎を大きくしみると急にボワッ!と炎が大きく広がった。
「うわぁぁぁ、消えろ消えろ!」というと炎は消え辺りは暗闇に包まれた。
地球たちと会話をしているとやっと自分の中の違和感が無くなったので体を動かす為に立ち上がった。
今自分がいるのは前世の自分の部屋、身体能力を確認するには狭すぎるし壊したくないものに感じたため必要なものをブラックホールで飲み込み家を出ることにしたのであった。