思わぬ展開
山登りを再開し、慎重に山頂に向けて進んでいると上空を巨大な影が通り過ぎる。どうやら目的の怪鳥ガルルスが飛んでいるようで、俺は近くの木に登り怪鳥が飛んでいく方向を眺め見る。
「あ~、思ったより大きいんだなガルルスってのは。」
【そうだね、シュンの前世ではいなかった大きさだね。でも、どういう仕組みで飛んでるんだろうね。】
「んだね~、体が細いのかと思ったら結構肉付き良さそうだし、あの時の竜といいどういう力学で飛んでるのやら・・・」
怪鳥ガルルスは前世でいうところのプレテラノドンに近く、異常に足の爪というのだろうか?が長そうに見えた。
俺は木から降りて怪鳥が飛んで行った方へ進んでいと岩窟が見えてきた。岩窟が見える位置で暫く様子をみていも何も出てくる気配がないため、ゆっくりこっそりと岩窟に近づいていく。
岩窟の前で中の様子を伺うも結構奥深くまで続いているらしい。周りに注意しながら中に入っていくと前から突風がくる。
「くっ!」
俺は両手でガードしながら風が収まるのを待つが一向に収まる気配も無く反対に強くなっていく。
「なんだ、この風は・・・」
「ほう。我の風を受けきるか。」
岩窟の奥から声が聞こえ、怪鳥ガルルスが巨体を現わす。
「魔物の癖に言葉を話すのか?」
「ふん、我をそこいらのと同じにするでない。人間よ、自分の名声の為だけに我を倒しにきたか。」
「いいえ。」
「愚かな者よ、名声も得られず・・・?ん?いまお前は何ていった?」
「いいえ。と言いましたよ?」
「はぁ~?では、お前は何をしにここまできたのだ?」
「羽毛が欲しかったので来ました。でもガルルスが理性ある魔物と知らずどうしようかと。。。」
「なんじゃ?お前は我を馬鹿にしておるのか?羽毛の為に死にに来たと?」
「いや、何とか倒して羽毛を取ろうとしたんだけど、、、」
「やはり死にに来たのではないか!」
「ちょいちょい、ちょっと待って!あの、意思疎通が出来るのなら相談したいな。」
「相談じゃと?」
「うん。抜け落ちた羽毛でも良いんで譲ってくれない?代わりと言っては何だけど、途中で狩った羊を何匹かお渡しするので。」
「ほほう。人間がやっているような商売とかいうものみたいにか。ふぅむ。なかなか肝の据わった人間よのう。我に交渉を持ち掛けるとは。。。ワハハハハ!面白いぞ、人間よ。よかろう、お前の願いを叶えて進ぜよう。」
「おお!話の分かる魔物でよかった!無駄な争い嫌いなんですよね~。」
「ふむ。ではこっちについて来い。お前の望むものはこっちだ。」
俺はガルルスに案内され、岩窟の奥に進んでいくと山の山頂からの吹き抜けになるのか?その場所に出ると何匹ものガルルスがギャーギャー叫んでいた。
「静まれ!こやつは我らに交渉を持ち掛けてきた面白い人間だ!ふふふ、こやつからは敵意なども感じぬ!本当に自分の欲しい物を手に入れる事だけしか興味が無いようだ!」
「我はこやつと話、こやつが持っている羊と我らが羽毛を交換する事に決めた。まずはこやつに約束の羊を持ってこさせる。それを見て我等もこやつが本気か確認しようではないか。」
「「「「ギャーギャーギャー!」」」」
「人間よ、我は一族に話を通したぞ。次はおぬしが約束を守る番じゃ、おぬしが交渉で持ち掛けた羊を持ってこい。我等はここでおぬしが羊を持ってくる来るのを待っていようではないか!」
「「「「ギャーギャーギャー!」」」」
「あ~、あのですね、羊持ってますよ?ここに出しますか?」
・・・
「はぁ?我を馬鹿にしておるのか?おぬし何も持っておらぬではないか!」
「いやいや、そんな大声を出さずとも、ほら、こうやって・・・」
そういうと俺はアイテムボックスから羊を数体出す。
「なんじゃと!おぬしどこから出した!なんじゃそれは!」
「う~ん?俺だけの特殊能力?」
「ふ~っ!ふ~っ!ふ~っ!ふぅ~、、、人間のくせに我に交渉を持ち掛けるし、何もないところからこんなにも羊を出すとか。本当に何者なんだか。。。」
「まぁ~よい。おぬしは我との約束を守った事に変わりはない。そうじゃの、その羊の大きさ分の羽毛と交換でよいか?」
「え?そんなに交換して貰えるのですか?すんごい助かります。そういえば、この羊は食べるんだと思うんですが羊毛どうしますか?邪魔だと思いますんで剥ぎ取りましょうか?」
「そうじゃのお、我らは構わずに食うが無い方が食べやすかろう。剥ぎ取ってくれるか?」
「わかりました。羊の量はこのくらいでいいですか?まだ結構ありますけど。」
「おぬしは本当いったい何者なのじゃ?このような事をするものなど我は見たことがないぞ。そうじゃのお、何体持っているか知らぬが後10体ほど貰えるか?我らの羽毛を集めてもそれ位でギリギリじゃ。」
「了解。この出会いに感謝しておまけで5体増やして15体増やしておきますね~。羊毛を取るためにナイフを出しますけど勘違いしないでくださいね。」
俺はそういうとナイフを出して、羊の毛を削り取っていく。その間にガルルス達は羽毛を集めているらしく少し離れた場所に羽毛が山と積まれていく。
2時間位掛かり、羊毛を取った羊が30体並んでいる。
「ふ~、結構時間がかかったな。ガルルス、これでいいかな?」
「うむ。ずいぶんと綺麗にしてくれたの。これなら子供達でも食べやすかろう。交換品の羽毛もこっちに準備した。持っていくが良い。おぬしの心意気は気に入ったぞ、おまけで我らに挑んできた愚か者たちが残した物をおぬしにやろう。」
「まずは羽毛をその不思議な技で仕舞うが良い。」
俺は「はい」と返事をして羽毛をアイテムボックスに仕舞っていく。
「こっちじゃ、ついてこい。」
俺はガルルスに案内されるまま洞窟の奥に進むと剣や槍、杖や鎧などがそこかしこに捨てられている。
「これらが我らに挑んできたやつらが残した物じゃ、我等はこんなものいらぬし子供たちが誤って食べられるのもこまるからの。おぬしのその不思議な技ですべて持って行ってくれぬか?おぬしに取っても利益があろう。」
「ああ、ありがたく頂くよ。しかし、結構な人数がガルルスに挑んだんだね。」
「うむ、我らに挑む人間は多い。しかし、奴らは自分の実力も理解せずに挑んできおるからの。返り討ちばかりでなあ、我等も面倒くさいのじゃよ。ワハハハハ!」
「へえ、なんで争うんでしょうね。意思疎通が出来るなら話していた方がいいのに。」
「ワハハハハハハ、本当におぬしは変わっておるのう。」
「そうですか?名誉とかどうでもいいのは確かですね。」
そう言いながら武器や防具をアイテムボックスに仕舞っていると目の前にブドウの様な果物が目の前にあった。
「え?ブドウ?こんな所に?ガルルス、これってブドウ?」
「ん?それかよく知らんな、昔食べた事があったが旨くないから誰も食べぬぞ。」
【シュン、そのブドウはワインにすると良さそうな品種だよ、】
ほう。地球にこの肉体にしてもらった時が15歳位の肉体年齢だと言ってたな。師匠の所で3年。いま大体18歳と考えると後2年位で前世の法律では酒を飲んでも良いんだよね。
まあ、この世界で前世の法律なんて関係ないんだけど何となくお酒は20歳からって感覚があるな。
今から作れば20歳になった頃にちょうど良い?
「ねえ、ガルルスこの果物貰っていい?」
「ん?そんなものでよければ幾らでも持っていくがいい。我らは食さぬからな。」
「ありがとう。とりあえず、ここにあった物はすべて頂いたよ。」
「そうか、とりあえずこれでおぬしとの約束は守られたな。うむ。我はおぬしが気に入ったぞ。また何かあれば来るがよかろう。歓迎するぞ!」
「ああ、何かあったらお邪魔しにくるよ。羽毛とか色々とありがとう。」
「うむ。では、外まで送ろう。ついてまいれ。」
俺はガルルスに着いていき、岩窟の外へと出た。
「お見送りまでしてもらってありがとう。では俺はもう帰るね!戦いにならずに良かったよ。ではまた!」
「うむ、またおぬしと出会う事を楽しみにしておるぞ!」
そう挨拶を交わして俺はガルルスに手を振りながらエルフの村へと戻るのであった。




