快適な生活への一歩
俺の拠点に一緒に来られる人が少しでも快適に過ごせるように、地面で寝させない様に布団が欲しい。しかし、さすがにそこまでの物は手に入らない為、せめて毛皮を手に入れておきたいからカルーゼに獲物が居ないか聞きに行くのだった。
「カルーゼ、布団代わりになるくらい大きめの毛皮が取れる獲物ってこの辺りにいない?」
「ん?気にしなくてもいいぞ、私たちは森で過ごすこともあるから地面で寝るのも慣れているぞ。」
「いや~、さすがに申し訳ないし、これからの為に備えてね!」
「そうか、そうだな。あの山が見えるか?あの山には怪鳥ガルルスという巨大な鳥の魔物が良い羽毛があるらしい。あとは大型の魔物が多いと聞いたことがある。ただ、やはりそれに見合って強いらしいぞ。」
「あの山か~。鳥型の魔物。攻撃が届くかな?」
「いやシュン、そもそもあの山に行くのに3日はかかるぞ。私たちの準備もあと3日位で完了するが帰る日を伸ばすか?」
「う~ん、多分だけど何体取れるかわからないが3日後には戻って来るよ。申し訳ないけど戻ってこなかったら少しだけ待ってて。」
そういうと俺はカルーゼに教えて貰った山に向かい走りだす。エルフの村が見えなくなるまで普通の人の速度で走り、村が見えなくなると本気で走り始める。
森を走っていると途中で頭に角が生えた狼がいたり、巨大な角を持ち体格も俺の記憶より1.5倍近く大きい鹿が居たが取り合えず無視して走りぬける。
森を抜けると平原が目の前に広がり、山に向けそのまま走っていると羊?の群れがいるんだが、頭が2つあるし何匹いるんだ?って位いる。。。俺は羊を無視して山に行こうとしたが羊は俺を見つけると突進してきた。一匹位の突進なら回避して放っておこうと思ったが、うん。何百頭?何千頭という羊(頭2つ)がドドドドドド!と俺に向かって突進している。
俺はビクッ!として足を止めてしまった。ヤバイ!と思い逃げようとするが思ったより羊の足が速く突進を許してしまう。
「よっ!」
「ほっ!」
「はっ!」
俺は羊の突進を回避するが如何せん何千頭の羊が突進してくるので徐々に追い詰められていく。
「やっべーーーー!こいつら何なんだよ!俺あの山に行きたいだけなのに何で突進してくんだよ!」
【う~ん、あの羊たちシュンを餌だと思ってるんじゃない?】
「餌?羊って草食じゃなかったっけ~?」
【普通の羊なら草食だけど頭2つあるし明らかに魔物だよね、これ】
「まーじかー!くっそ、多すぎだろこいつら~。」
俺は文句を言いながらも剣を出して回避しながら剣を振り続ける。もう何匹倒したんだろうか。。。ふと気づくと羊の突撃が止まるので前を向くと他の羊の5倍位大きい3つ頭がある羊がこちらに向かって走ってきている。
「ボス羊?」
【周りの羊が止まったことから、群れのボスっぽいね。】
ドスンドスンドスン!ボス羊が俺に向かって突進をしてくる。なんだろうダンプカーの大きさの羊が迫ってくる圧迫感がすごい。
俺はジャンプして回避すると同時にボス羊の足を切り裂くべく剣を振るうが「ガキン!」という音と共に剣が弾かれる。
「なんつー堅さだよ!剣弾かれるって!」
【あの羊身体強化してるね。そのせいで剣が弾かれたんだね。】
「おれもそうだったんだろうけど、魔物って無意識に魔法使ってるんだっけ?あの巨体で身体強化なんてしてたら倒せないだろう!」
【そうだね。普通に剣を振るっただけだと弾かれるからダメージを与えられないだろうね。】
「ふ~、どうすっかな。ボス羊以外向かってきてないから逃げるのもありっちゃーありなんだけど、倒した羊たちの羊毛が勿体ないんだよな~。」
【シュンは本当に使い慣れてないものは忘れるよね~。】
「俺が何を忘れてるって?」
【シュン、さっき自分で羊が身体強化してるって言ってたじゃない。】
「あ!!!そっか、おれ魔法使えたわ!でも蟲を倒したようなストーンランスとか効かなさそうじゃん。」
【シュン、魔法は無限の可能性を秘めているのよ、自然現象を発動させるだけが魔法じゃないよ。】
「なんだ?魔法のイメージなんて火の玉飛ばすとか風で切り裂くとかのイメージしかないけど・・・」
【よく思い出して、あなたには前世の記憶があるの。あの世界は幾千幾万の無限とも言える可能性を培ってきたわ。あなたの中にある無限の可能性を思い出して】
「おれの中にある可能性?なんだ?俺の中にある?銃?大砲?戦車?いやこんなの直ぐに何とかなるものじゃない・・・今できる事であの羊に有効な手段?」
俺は小さいころ見た宇宙刑事を思い出す。そう剣の手元から剣先に向けて手をスライドさせ、剣がひかり必殺技を繰り出す。あの仕草を俺は無意識にトレースしていた。
手をスライドすると同時に魔力を纏わせ剣の強度と切れ味を上げ、そのまま魔力を光らる。
正しく子供の頃の夢を実現させた瞬間だった。
俺は手に持つ剣に心振るわせながら、ボス羊に向かい剣を振るう。
ズバッ!
先ほどと違い何の抵抗も見せずにボス羊の足を切り裂く。巨大ゆえに切り飛ばすことは出来なかったが、足の半分を切り裂いたためバランスを崩したボス羊は倒れこむ。
この隙を逃さぬように倒れこんだボス羊の首筋に剣を叩き込む。大量の血しぶきを上げ断末魔と共にボス羊は動かなくなった。
ボス羊が倒れると羊たちは蜘蛛の子を散らすように我先にと逃げていく。
「ふ~。危なかった~。なんだよ、この羊の群れは。あの山に行くまでこんなのが沢山いるのなら3日で帰るの厳しいぞ。」
そう言いながら余り時間を掛けられないため、さっさと倒した羊たちをアイテムボックスに仕舞い山へ向かって走り出す。
羊以外は特に襲われることも無く山に到着する。山に入ると平原や森とは違った雰囲気が辺りを包む。
俺は慎重に獣道を進みガルルスを探すが飛んでないのか怪鳥を見つける事が出来ない。
ゆっくりと山を登っているとガサガサという音が聞こえ、俺はその場に立ち止まり何が出てくるか気を引き締めて待っていると角の生えたリスが出てきた。
リスは俺と目が合うとビックリしてすぐに逃げて行く。ほっと一息つくとリスが出てきた場所から巨大なクマが出てきて俺に向かって爪を振りぬく。
俺は左腕でガードしながら爪を食らいながら反発せずに爪の振りぬく方向へ体を流す。
ドザァァァァァ
地面にぶつかり滑る。即座に立ち上がりクマの次の攻撃に備えるも口を大きく開け齧りつこうとしている。
俺はバックステップをしながら少し距離を取ると目の前でクマの口が閉じられる。
ゾクッとしながらも、再度バックステップで距離を取る。クマをよく観察すると腕が4本ある・・・?
「え?!クマじゃないの?」
【クマの魔物ね。腕が4本もあって不便じゃないのかしら?】
「いや、問題はそこじゃねー!」
俺はクマが4本の腕を起用に振るうのを必死に躱し、剣を構えるとデカ羊の時に生み出した魔法剣を発動し剣を振るいクマの首を撥ねる。
「あっぶなー!あのリスのせいでやられるところだったわ。」
【シュン、腕の傷は大丈夫?】
「え?ああ、そういえば咄嗟に腕でガードしたんだった。え~っと。」
俺を腕を見ると薄っすらとクマの爪痕が残っていた。
「相変わらずの化け物ぶりだな、おれ・・・地球は俺をどう改造したのか教えて欲しいもんだな。。。」
【え~っとぉ、ひ・み・つ!テヘ☆!】
「は~、お蔭で無事だったんだから感謝するのが正解なのかな?ありがとうね」
俺は地球にお礼を言ってからクマを仕舞うと怪鳥探しを再開するのであった。




