エルフ村のもうひとつの問題
ゴブリン達との闘いを終えた俺たちはエルフの村に戻り村長に結果の報告を行った。
「みんな無事に戻りましたね。報告通りだとすると我々の村の全滅の危機だったわけですね。シュン本当にありがとうございます。あなたのお蔭で皆無事に帰ってこれたようです。」
「いやぁ、折角お知り合いになれたのに見て見ぬふりなんてできませんよ。」
「ふふふ、本当にカルーゼの報告通り驕らない性格なんですね。私たちは貴方にとても大きな借りが出来ました。」
「気にしないで下さい。私もあなた達の森と知らずに勝手に採集などしてたので。そのお詫びだと思ってください。」
「ふふ、本当に欲のない方だ。そんな貴方が望んでいる木を持っていくことを許可します。カルーゼと相談してほしい木を決めて下さい。」
「ありがとうございます。私の住んでいる所に何種類かの木を植えたいと思いますので、そういう技術も教えて頂けるとありがたいです。」
「うむ。手伝ってあげたいのだが、シュンはこの村に来て何か気づかなかったかね?」
「そうですね、そういえばこの村は男性が多いんですね。あと、子供が少ない?」
「その通り、居ないわけではないのです。今この村は病が流行っていて体力のない子供や女が倒れているのです。そこで森で薬草を集めている時にゴブリンを発見したのです。そのゴブリンの問題が片付いた今、病を治すために薬草を集めているのだが症状からどの薬草を与えれば良いのか・・・」
そういや、師匠の所で錬金術を習ってた時に薬の作り方も習ったな症状を見せて貰えれば作れるか?
「村長、おれ多少ですが病に対する薬を作る知識を習ったので患者を見せてくれませんか?」
「シュンはそんな事まで出来るのかね?」
「ええ、錬金術を習ったのですが、その時の師匠が錬金術の役に立つからと色々と教えてくれたんです。」
「そうか、では私の娘も病に掛かる一人です。こちらに来て見てやって下さい。」
村長に案内され、屋敷の奥へ行くとベッドで苦しそうに横になっている女性が居た。女性は村長を見ると無理に笑顔を作り「お父さん私は大丈夫だから。」と掠れた声で声をかけ「そちらの方は?」と続けて呟いた。
「こちらはシュンさんという、私たちの村に近づいて来ていたゴブリンの問題を解決してくださった方です。」
「そうですか、村長の娘としてお礼申し上げます。」と言いゴホゴホと苦しそうに咳をした。
「無理をならさず、少しあなたの症状を確認させて頂いていいですか?」
村長は娘と目が合うと頷いて診察を許可するように促した。
「はい、私はどうすればよろしいですか?」
「あ、そのままで少し確認していきますね。」と言い、各種症状を確認していき病の原因を特定する。俺は師匠が作成した本を思い出し村長を伴って部屋を後にする。
「村長、今集めている薬草を見せて頂いていいですか?病の症状から薬を作成できるかもしれません。」
「おお!テイルとカルーゼに言って今集まっている薬草を持ってこさせよう。」
そう言った村長は家を出てテイルとカルーゼを呼びに行く、暫く待っていると薬草を抱えた村長たちが戻ってきた。俺の前に置かれた薬草を確認し、薬を作成するのに必要な物を選別していく。材料が全て揃っていることを確認し病が発症している人の人数を聞きさらに指定した薬草を集めてくるように依頼する。
その間、ある分だけの薬を作るために井戸水を沸かしお湯を作る。沸騰するまでの間に魔法陣を書き錬金術の準備をする。俺は魔法陣に魔力を流し錬金術を開始する。魔法陣から浮かび上がる透明な箱に薬草やお湯などを入れさらに魔力を流す。
素材を混ぜるタイミングなどがシビアだが師匠の下で何度もバシバシと教わったためサクサク作業を進めていく。師匠曰く、魔力を流せば流すほど薬のランクが上がるそうなので暫く流し込むと光を発行し薬が出来上がった。
師匠と作った時は光らなかったけどなぁ~と頭に?マークが浮かび上がるが薬の品質に問題は無さそうだったので村長に症状が重い人から順に飲ませて行くように指示をだす。
病人たちは薬を飲むと見る見る症状が改善していき、起き上がれなかった人たちが起き上がれるようになるくらい病が癒えていく。エルフの村人達は喜び病が癒えていない村人たちの為に薬草を集めるため走り出す。俺は持ち込まれる薬草が揃うたびに薬を作っていき最後の一人に薬が渡る頃には夜も更けていた。
村長は村を上げて歓迎をしたいと言い今日は病人が回復したばかりなので明日歓迎の宴を行うと俺に伝えにきて村長宅に泊めて貰えることになった。
村長が自ら手料理を作り食事を振舞ってくれたが男の手料理のためか美味しくなかったが無理やり笑顔を作り食べ続けるのであった。
食事中に村長から残っている薬草で薬を作っておくことが出来るか相談を受けた為、食事後に薬草の種類を確認し作れる薬の説明をした。村長は今後必要そうな薬を何種類か作ってくれと依頼してきたため俺は魔法陣を描き薬を作る。
薬作りが終わると村長から寝床に案内された俺は薬作りで疲れたのか倒れる様に眠りにつくのであった。夢の中で師匠が出てきて「どうじゃ、役にたったじゃろ。」とドヤ顔で言われたような気がした。
何時間位寝たのであろうか、すっきり目覚めた俺は暫くぼーっとしていると部屋の戸をトントンと叩く音が聞こえ、返事をすると緑髪が美しいロングの女性が部屋に入ってくる。
俺はその緑髪に目を奪われ女性の顔をよく見てなかったが、「昨日は私たちを助けて頂きありがとうございました。」と頭を下げる。俺はハッとして正座をして「いえいえ、元気になったようで良かったです。え~っと、申し訳ありませんがどちら様でしたでしょうか?」と言うとエルフの女性は顔を上げ「昨日診察をして頂いた村長の娘です。」と返答されたが俺は女性の顔を見ると、その美しさにまたボーっとしてしまうのであった。
「あ、あの大丈夫ですか?」
「え?あ、ごめんなさい見とれてしまって。」
「えっ?」
「あ、いえ、すみません。」
どこかの中学生並みの初心な反応を見せてしまい、二人とも頬を赤く染めてモジモジしていた時に村長がやってきて、「エリナ、シュン殿はお目覚めでは無いのか?」と声を掛けてきた。
「あ、いえ。シュンさんは目覚められております。シュンさん朝食の準備ができております。外の井戸で仕度されましたら居間へお越しください。」
というと、そそくさと部屋を出ていく。俺は顔をパンパンと叩き気持ちを切り替えてから外に出て井戸で水を汲み上げ顔を洗う。
よく考えたら朝顔を洗うのってこの世界で初めての行動じゃない?と感慨深げに物思いに耽ってしまう。そうしているとお腹がグゥ~っと鳴るので村長宅の居間へ向かった。
どうやら朝食はエリナさんが作ったらしく、昨日の夕食に比べると美味しそうに見えた。
「あ、シュンさん、こちらにお座り下さい。」
エリナはそういうと、主食のパンとスープを持ってきた。俺は「ありがとうございます。」とお礼を言い村長とエリナが席に着くと食前の祈りを捧げ始める。俺は食前の祈りは知らないので、元日本人として「いただきます。」と感謝の言葉を捧げると二人も祈りが終わったようで食事を始める。
パンも師匠の元で食べた堅いパンではなく、ある程度柔らかいパンだった。俺はその柔らかいパンに感動して思わず涙を流してしまい、二人にビックリされてしまい久々の柔らかいパンに感動したと説明するのであった。




