冷蔵庫の為に1
エリナさんとシェリアリスから紹介されたガニデンさん。
鍛冶も行うが本業は魔道具職人と本人は言っている。
しかし、近所の人が言うには魔道具は全く売れておらず鍛冶の仕事で食いつないでいるので鍛冶師という認識だそうだ。
本人が本業と思っている魔道具作りが周りからは趣味だと思われている悲しさ。
心が痛む。。。
ガニデンさんに依頼した冷蔵庫を作るには、俺たちが狩ったデスロックバイパーの素材とビッグフロッグの皮、鉄鉱石だった。
鉄鉱石はギルドに行けば買えるんだが、ビッグフロッグは王都から西へ二日ほど行った所にある沼地に生息する魔物で近くに村も無いし素材の使い道も限られるためギルドの依頼もない。
そのためギルドに行っても在庫が無い事が当たり前になっているらしい。
俺たちもガニデンさんの所を出てからギルドに向かったがビッグフロッグの皮は在庫がなかった。
仕方がないのでビッグフロッグを狩りに行くと話し合い、一応ギルドに依頼が無いか確認したが存在しなかった。
職員に近くに沼地近くで何か依頼が達成できるものが無いか聞いたところ、
沼地に生える月光花と、マデラス木という木の葉を採取してくる依頼があった。
両方の依頼を受けてから一度屋敷へと帰りギルドの依頼で数日間不在にすることを告げてから出発した。
今回は珍しい事にシェリアリスも一緒に来るらしく俺の頭で横になって寝ている。
こいつは折角の旅を楽しむつもりが無いのだろうか?
まあ、旅と言いながら周りに人が居なくなったら拠点に戻り魔導馬を持ってくるのだが。
それでも何か新しい物が見つかるかもしれないのにな。
俺とエリナさんは西門から王都を出て道なりに歩いて行く。
周りには人が疎らにいるため魔導馬を持ってくることができないため、ゆっくりと散歩気分で歩いているのも楽しいものだ。
2時間程歩いていると周りに人が居なくなったので移動ドアを出して魔導馬を連れてくる。
この魔導馬に乗るのをエリナさんは苦手としている。
何となく魔力の流す量を調整するのを失敗するらしい。
毎回「きゃああああ」と声を上げるのが様式美となっている。
さてさて、今回はどうなるか。
ちょっと期待してエリナさんが乗るのを見ていると颯爽と魔導馬に跨りゆっくりと馬を歩かせ始めた。
なん・・だと・・・。
「こっそりと練習しましたから!」と珍しくドヤ顔を決めてきた。
自分がドヤ顔をしている事に気づいたエリナさんが耳まで真っ赤にして顔を伏せてしまった。
うん。可愛らしい。
魔導馬に乗る場合、結構なスピードが出るためシェリアリスは頭の上で寝ている事が出来ない。
シェリアリスは羽を羽ばたかせてエリナさんの胸元へと飛び込んでいった。
くっそ!羨ましいな!
魔導馬でさくさく進んでいると前方に見える林に見慣れたものがぶら下がっている。
それに気づいた俺はフラフラと林の方へと魔導馬を進めていく。
林に近づくとふわっと爽やかな香りが漂ってくる。
やはりこれはミカンではないか!
俺は颯爽と魔導馬を降りると気になっている黄色い果実であるミカンを取り皮を剥いてミカンを口に含んだ。
うん。ビタミンたっぷりの少し酸味が強いが良いミカンだ。
エリナさんとシェリアリスにミカンを渡して食べ方を教えると二人はミカンを口に含むと口々に美味しいと声を上げた。
二人もミカンを気に入ったようなので、何個もミカンを採取してアイテムボックスへと仕舞う。
ミカンの木の近くに小さい木が生えていたので、根っこごと周りの土も採取してアイテムボックスへと入れて置いた。
拠点へ戻って家の近くに植えて育ててみよう。
村長たちもいるのでしっかりと植えつくだろう。品種改良が出来ればもっと甘いミカンを作り出す事も出来るだろうから楽しみが増えた。
野生のミカン林を後にして沼地へと向かって魔導馬を走らせると日が落ちてきたので人が来なさそうなところに移動ドアを設置してガーディアンとしてゴーレムを作成し、拠点へと戻った。
拠点へ戻りさっそくミカンの苗木を庭に植えるとエリナさんが育成魔法をかけてくれた。
採取したミカンを拠点に住む皆へとプレゼントするとローラーンさんが物凄く気に入ったようだ。
エルフの村長にミカンを育てましょうと熱く語っていた。
皆が集まったのでバーベキューをして楽しく夕食を取りゆっくりと夜が更けていった。
朝起きるとエリナさんがミカンの苗木に魔法をかけていたので思った以上に気に入っていたようだ。
朝の挨拶をして朝食を食べているとシェリアリスが元気よく起きてきて俺の朝ごはんを横取りしている。
う~ん。いつもの事ながら別で準備をするのが待てないのだろうか?
全員の準備が整うと移動ドアから昨日の場所まで戻ると移動ドアの近くには鹿型の魔物が5体横たわっていた。
どうやら夜にこの近くに来たところをゴーレムが倒したのだろう。
見たことがない鹿型の魔物は王都に戻ってから調べるとして魔物と移動ドアをアイテムボックスに仕舞い込んでからゴーレムを土に戻す。
後片付けを終わらせると魔導馬に跨り走り出す。
2時間程走ると沼地が見えてきた。
「あれが目的地ですかね?」
「そうだと思います。ここから馬を降りて進んで行きましょう。」
「そうですね。魔導馬が沼地に入ってしまうと抜けださせるのに苦労しそうですから。」
魔導馬を近くに止めて沼地の方へと近づいて行くと「グワグワ」と鳴き声が聞こえてくる。
この鳴き声を出しているのがビッグフロッグなのだろう。
沼の近くには白いスズランの様な花が咲いており、あれが月光花なのだろう。
月光花の方へと歩いて行くと沼の中から巨大な顔がズボッと出てきた。
あれがビッグフロッグなのかな?
ジッとビッグフロッグらしきのと見つめ合っていると急にゲコッと声を上げて飛び上がってきた。
ビッグフロッグは空中で舌を出して俺に巻き付かせようとしてきたので即座にその場から後ろに飛んで躱すとアイテムボックスから剣を出す。
ビッグフロッグの着地と同時に前に出て剣で切り付けるもビッグフロッグの体を滑り傷一つ付けれなかった。
剣の表面にヌメリ気がある。それを触ってみると粘着性のある液体だった。確かカエルは体の水分が外に出ない様に体の表面にヌメリ気のある液体を纏っているとか聞いた事があるが、魔物になるとそれが異常に覆っているのだろう。
そのせいで剣が滑って刺さらなかったのだろう。
お?こいつ結構強敵じゃね?この粘液のせいで火とかも効かなそうだし。
ハンマーとかで殴ってもあまり効かなさそうだな。
・・・氷結魔法か?
いやいや、あれをやるとエリナさんの目が輝き始めるから駄目だ。
これ以上黒歴史は繰り返すことはできない!
ではどうやってこいつを倒すのかというと、実はそんなに難しくはない。
こいつが舌を伸ばしてきた時に鉄の棒などに巻き付かせて振り回して頭から地面にぶつけてやればいい。
うん。難しくないとか言っておきながら反撃が出来るのは開いて次第になるのだ。
あ゛~!スッキリしないな!
最近カッコよく敵を倒した記憶がない!
う゛~!カッコよく倒したい。。。
しかし魔法があまり効果がなさそうなので肉弾戦になるがあのヌメヌメした体を触りたくない。
やっぱり鉄の棒などに舌を巻きつかせて振り回すのがよさげだな。
鉄の棒の先端に虫っぽい物を付けて目の前をフリフリしてやったらあっさりと鉄の棒に舌を巻きつけてきた。
もう一本鉄の棒を出して舌を挟んで抜けない様にしてからグルングルンと振り回して一度上空へ上げてから力の限り地面へと叩きつけた。
ビッグフロッグの頭から地面へと綺麗に落とせたので頭蓋骨が割れて脳にダメージを与えられたのだろう。
ピクリとも動かなくなったのでアイテムボックスへと仕舞ってエリナさん達の方を向いてサムズアップしてドヤ顔を決めた。
パチパチとエリナさん達が拍手してくれたので赤面してたら沼の方からゲコッゲコッと声が聞こえたので沼の方を向くと
数十匹のビッグフロッグが沼から目を出してこちらを見つめていた。
・・・まじですかい?




