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ペンタグラム  作者: はるひぶ いえん
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鍛冶師

ガルルスの依頼が終わって数日、俺たちは王都でゆっくりと散策していない事に気づきエリナさんとシェリアリスの案内で王都散策へと洒落込んでいた。


「ここのお店のお茶が取っても美味しいのよ。シュンも飲んでみてよ。」


「よい雰囲気の店だね。丁度お昼も近いし何か食べようか。」


「はい。」「はーい!」


前回エリナさんとシェリアリスがお茶した店でお値段的にもリーズナブルで気に入った見せらしい。

そのお店はオープンカフェの様になっており、この時代にしてはとてもお洒落な店だ。

ただし、お茶以外の食事はそんなに種類も無くもっさりとした食事が多い。

そんな中でも具だくさんスープとパンを注文して食べてみたが、スープは野菜の甘みが出ていたが塩味だけで味付けしてあるため調和されたおらず勿体ない料理へと仕上がっていた。


この世界では人気の料理なのだろうがもう少し手間暇をかければもっとマシな味になるだろうに。

やはり出来る限り多くの調味料を見つけ出して広めることを優先するべきだな。

魔物の肉は魔力の関係か見た目が悪いオークでさえA5ランクのお肉と遜色ないくらい美味しい。

前世で使っていた調味料が揃えば普通に焼くだけで高級料理店の味を超えるのではないだろうか?


あ~、そう言えば肉って熟成させると味と香りがとても良くなるって聞いた事があったな。

う~んと何々、1℃~4℃の冷蔵庫に吊るして3~4週間放置することで肉が熟成されるか。

ふむふむ。冷蔵庫なんてこの世界にはないから氷魔法で冷やして温度をなるべく一定にする空間を作るしかないか。

そんな物なんて作る事はできないから、一度鍛冶師のところに行って作れないか相談したいな。


という事を具沢山スープを持ち上げながら考えていると俺が止まっているのを不思議に思ったエリナさんが声をかけてきた。


「シュンさん。美味しくなかったですか?」


エリナさんの問いかけで我に返った俺は「あ、すみません。考え事してました。スープ美味しいですよ。」と笑顔で返事した。

それを聞いたシェリアリスが俺のスープを突きながら、「で?何考えてたの?」と聞いてきた。


「あ~、このスープとかって結構な具材を使ってるんだけど味がぼやけてる?っていうのかな?何かの調味料とか加えるだけでもっと味が良くなるんじゃないかな?って考えてたのよ。

 その流れでお肉をもっと美味しくする方法ってのを聞いた事あったなって思ってさ。

 その道具を作るには鍛冶師に相談する必要があるなって考えてたのさ。」


「え!?お肉がもっと美味しくなるの?」


俺の話にシェリアリスが食いついてきたが、エリナさんもソワソワして俺の話の続きが気になっているようだ。

そのまま話を続けて必要な物を話して行くとシェリアリスがガバッと立ち上がってシェリアリス用のスプーンを高々と突きあげた。


「私とエリナに鍛冶師の知り合いがいるわ!ねぇ、エリナ!この間であったあのドワーフってちょっと変わってたけど鍛冶師だったよね?」


「えっと、ガデニンさんのこと?」


「そう!ガデニンよ。へんてこな道具を作ったけど全く売れなくて仕事が無いと嘆いていたドワーフよ。」


「ガデニンさん?ドワーフなのに仕事がないの?」


「んとね。なんも魔道具作りが得意なんだけど作ってる魔道具が全く売れないんだって。で、食つなぐために鍛冶作業もしてるらしいんだけど面白くないから気が乗らないんだってさ。」


ガデニンさんは趣味人なんだろうな。

しかし、楽しいからって売れない魔道具を作っても困るのはガデニンさんだろうに。

まあ、面白そうなドワーフではあるな。

今構想している冷蔵庫もこちらの世界では魔道具として実現してくれるかもしれないし、魔道具って響きに心躍るってのもあるしな。


「へえ。なんか変わった人だね。じゃあ、昼食が終わったら紹介してくれるか?」


「おっけー!わったしに任せなさい!」


そう言ってシェリアリスは凹凸の少ない胸をドンッと叩いてむせていた。


食事が終わりお茶を飲んだが、このお茶は香り豊かで風味もよいとても美味しいお茶だった。

紅茶に近いのかな?

でも、このフルーティーな香りはなんなんだろうか?

なんの茶葉が聞いたら教えてくれるのかな?

帰りに聞いてみよう。


・・・うん。教えてくれなかった。お店独自のお茶で秘密だってさ。


少し気落ちしてトボトボとエリナさんの後をついて歩いていると職人街らしき所に到着した。

この職人街に目当てのドワーフが住んでいるらしい。

職人街を歩くこと20分。結構奥まったところに住んでいるようでメインストリートからも離れた位置に店を構えているようだ。


「ガニデンきてあげたわよー!いるのー?」


シェリアリスが俺にガニデンさんのお店の扉を開かせるとぴゅーっと中に入って行き声を上げた。

暫く何の音もしなかったが何度かシェリアリスが呼びかけると奥の方から「聞こえとるわい!」と大声が返ってきた。


ドシドシと足音を鳴らしてやってきた男は前世で想像されていたドワーフの姿そのままで慎重130~140位の小柄ながら筋肉質の髭面男だった。

俺は心の中でおぉ!と感動しているとシェリアリスとエリナさんがガニデンに挨拶を行っていた。


「久しぶりね。ガニデン!私が遊びにきてあげたわ!」


「お久しぶりです。ガニデンさん。」


「おお!あのちっこい妖精とエルフさんかい。久しぶりじゃのぉ。遊びにきたのか?」


「いえ、少しガニデンさんに相談したいことがありまして。」


「ん?なんじゃ?」


「あ、えっと紹介しますね。こちらはシュンさんです。鍛冶師の方に相談したいことがあるとの事でしたのでガニデンさんをご紹介しようとやってきました。」


「どうも初めまして。シュンと言います。ちょっと作って欲しい物がありまして、冷蔵庫という箱型の入れ物で箱の中が冷えている道具を作れないかなと。」


「冷蔵庫?箱の中が冷えている道具だとぉ?う~む。そりゃ魔道具のだなぁ。ふぅぅむ、少し考えただけで実現がむずかしいのぉ。そもそも箱の中を冷やすのは何とかなっても鉄で箱を作っても隙間は必ず出来てしまう。そこから冷気が漏れてしまうじゃろ?」


「そうなんですよ。そこで魔道具作りが得意な鍛冶師という事でガニデンさんを知っていると言ことで紹介して貰ったんですよ。」


「むむむむむむ。う~む。面白そうな依頼じゃが。。むううん。うむ!すぐ作るのは無理じゃが依頼は受けよう。ただ、物が出来るのは暫く後になるぞ?箱を鉄で作ってもその鉄から冷気が抜けて行ってしまうからの。先ほども行ったが、箱は開け閉めすることが前提の様じゃからそこをどうするかも考えねばならん。」


「そうですね。鉄以外の素材が何か必要なら集めてきますので行ってください。家に帰ればデスロックバイパーの素材がありますから持ってきますよ?」


「なにぃ!デスロックバイパーじゃとぉ!何でそんな高価な素材がおぬしの家にあるのじゃ?いやいやいや、その素材があればあれやこれが・・・うむむむむむ。」


唸りながらガニデンさんは黙り込んでしまった。

どうやらデスロックバイパーの素材を使って何かしらを作りたいようだ。

これはデスロックバイパーの素材を幾つか融通するって言えば冷蔵庫を優先で作ってくれるのではないか?

うし、ちょっと提案してみるか。


「ガニデンさん。冷蔵庫を優先して作って頂けたら余ったデスロックバイパーの素材を譲りますよ?」


「なにぃ!本当にデスロックバイパーの素材を譲ってくれるのか?」


「ええ。私が持ってても持て余してしまいますし。」


「あい分かった!お主の言う冷蔵庫とやらを優先して作ってやろう。冷蔵庫自体も面白そうな物じゃしな!

 では、その冷蔵庫とやらをしっかりと教えるのじゃ!」


俺はガニデンさんに今回使う冷蔵庫のイメージをしっかりと伝え、自分が考えていた作り方を伝えるとガニデンさんは目を見開き俺の目を見つめていた。

ここまで見つめられたことがないため少し気恥ずかしくなるもしっかりと見つめ返すと急にガニデンさんはニヤッとして俺に色々な素材を集めてくるように言うのだった。


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