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ペンタグラム  作者: はるひぶ いえん
103/116

陰謀

とある館で。

ドンッ!


「奴の暗殺はどうなっておるのだ!何故まだ奴が生きておる!」


「申し訳ありません。口が固く暗殺を成功させる者を探しておりますが、いまだ良き人材が見つかりませぬ。」


「さっさとせぬか!このままでは奴に領主の地位を乗っ取られるぞ!」


「はっ。急ぎ探して出し実行に移します。」


怒り声を上げる者の部下らしき男は返事をすると部屋を出て行った。

その姿を忌々し気に睨みつけ、「無能者が・・・」と呟くのだった。


暫くすると部屋をノックする音が鳴り、二人の男が部屋に入ってきた。


「ただいま戻りました。ご依頼の品物を持参致しました。」


最初に入ってきた男がそう言うと後ろに控えていたもう一人の男が前に出て両手で抱えた木箱を机の上に置いた。

部屋にいた館の主人と思われる男が睨みながら顎をしゃくり上げると箱を置いた男が木箱の蓋を開ける。

箱の中には小さな短剣と針、液体が入った小瓶が入っていた。


「ふん。これが例の物なのか?」


「はい。この小瓶の中に入っているのが瘴気水です。この水が少しでも体内に入るとその者の魔力を瘴気に変え体内で石となり体をむしばむようになります。

 一緒に入れてある短剣と針は特殊な加工をしてあり、水につけると一日位水分を纏ったまま保持することが出来ます。

 小瓶の瘴気水を短剣または針につけて相手に多少でも傷をつけることが出来れば人にバレることなく不治の病として相手を殺すことができます。」


男の話を聞いた館の主人は興味深げに小瓶を持ち上げると中身を光に照らして眺めだした。

小瓶の中身は微かに赤い色をしており館の主人は小瓶の蓋を開けて匂いを嗅ぐと仄かに甘い匂いがしており一息に飲んでしまいそうになる衝動に駆られるのだった。

館の主人は無意識に口元に小瓶を持ってこようとした所で品物を持ってきた男に手を掴まれて飲むのを止められてしまった。


その無礼な行動に男を睨みつけるが危険な物であることを思い出した館の主人は「ふんっ!」と鼻を鳴らすと小瓶の蓋を閉めた。


「それで、これが本物だと証明するにはどうするのだ?」


「偽物とお疑いで?」


「ふん。お前は本物か偽物かもわからぬのに大金を支払うのか?」


「ふふふ。御屋形様の仰る通りですね。ふぅむ。如何致しましょうか。この薬品は確実に病になりますが即効性はありませんからね。ここの地下にいる者たちを使ったとしても病になる前に死にそうですからね。」


男がそう言うと館の主人はギラと睨みつける。

それを見た男は恐縮したように頭を下げると一つ提案をした。


「では我々を信じて頂けるように、この品物をお預けします。ご使用いただき相手が病になった時に再度お伺い致します。その時にお金を支払い頂く事を書面に残して頂けますでしょうか?」


「いちいち書面に残す必要はなかろう。」


「いえいえ、こちらも商いでして口頭の約束は致しませんので。」


「ほう。ワシが信じられぬと?」


「そうは申しておりません。これは我々商人が定めたルールで御座います。それをお守り頂けませんのであればこちらの商品は持ち帰らせて頂きます。」


その言葉に館の主人は少し焦る素振りを見せ「まあ待て。」と商人の男を呼び止める。

そして机へと向かいサラサラと紙に何かを書くと商人の男にそれを見せサインを入れた。


商人の男はその書面を恭しく受け取り一礼すると部屋を出て行った。

それを見た館の主人は箱の蓋を閉め机の引き出しへ仕舞い込んだ。


「ぐふふふ。もうすぐだ。もうすぐ私が・・・。」



数日後、王都の侯爵家で殺傷事件が発生した。現場を調査した騎士の調査結果によると侯爵を傷つけた者は夜間に侯爵家へと忍び込んだという事しか分からなかったらしい。

何者かに襲われた侯爵は屋敷を守る騎士たちに怒声を浴びせ警備騎士を増やした。

とある館でその噂を聞いた館の主人はとても厭らしい笑みを浮かべ「ぐひ、ぐひひひ」と気持ちの悪い笑い声がこだましていた。



その頃、瘴気水を売った商人はある貴族に詰め寄られていた。その貴族はこの商人から瘴気水を買いもう少しで相手の貴族が死ぬところだったのだが、その病が治ってしまったというのだ。

貴族の男は部下の男二人を連れて商人に返金を迫っている最中であった。



「どういう事だ!奴の病は治ってしまったぞ!お前の言い分では不治の病では無かったのか!」


「あ、あのぉ・・・本当に病は治ったのでしょうか?瘴気水を体内に含むと小さな石が出来て瘴気が発生して体を蝕みます。石は回復薬や回復魔法でも受け付けませんので治る事はあり得ないはずなのですが・・・」


「では何故奴は元気に登城しておるのだ!確かに暫くは病に臥せっていたようだが奴の顔色は病の跡など何もなかったぞ!」


「えっ、えっ、えっ。こ、この瘴気水は帝国が実験に実験を重ねて作られたもので今まで治った者などおりません。ま、誠にその者は回復なさったのでしょうか?」


「私が嘘など申すか!どうしてくれるのだ!奴もあほではない。奴は私の策謀である事に気づくかもしれぬ!早めに何か手を打たねばならぬ!何とかせぬか!」


「は、はい。少々お待ちください!」


ど、どういうことだ。

この薬は帝国で何度も実験をして実績もあるはずだ。

私も何度も試して全員苦しんで死んだ。なぜ奴の相手だけ死ななかったのだ。

ほんの微かな傷だけで石は出来ていた。奴が言うにはその男は病に苦しんでたと言っていた。

ま、まさか瘴気水を治す方法が見つかったのか?


はっ!こ、このままではあの貴族に売った瘴気水も何かが原因で病が治ってしまうかもしれん。

もしそんな事になったら、今来ている貴族とは比べ物にならないほど責められるだろう。

いや、殺されてしまう可能性の方が高い。。。


この貴族には今は金が無いので出来次第返すと言って今回は帰って貰おう。

そして早急に店を畳んで帝国に帰るしかあるまい。あの貴族のターゲットが病になった頃に一度会う位で良いだろう。

くそっ!いったい何があったというんだ。

折角この王都で基盤を作り上げたというのに・・・。


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