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世代交代しても勇者は魔王を倒す宿命らしい  作者: 3983.
勇者と狐と勇者とエルフ
7/20

転生

新しい勇者の転生です。

これの話を含めて二話出したら元の主人公視点に変わります。

第一話 「召喚」


死んだ。

いや、正確にはこうして意識があるのだから死んではないだろう。

今さらだが足に力が入らない、手足ではなく足だけだ。


「………」


誰か呼ぼうにも声が出ない。

……五時間は待っただろうか、一向に誰か来る気配がない。


「おや、でかい獲物がかかってるなぁ」


いきなりだった。

足音もなかった。

風の流れもなかった。

白装束の男はいきなり現れたのだ。


「………」

「しゃべれないのか……これでどうだ?」

「誰なんだよ!」


白装束の男がそこにキーボードがあるかのように空中にタイプを始めた。

恐らくエンターキーであろう「ターン」と打ち終わると、喋れるようになった、足も動く、本当にここはどこなんだ。


「ここは、中間地点さ」


俺は言葉を発していないはずだ。

なぜ、俺の考えが読めたんだ。


「ここの管理者だからさ、それよりもしゃべってくれない? ログ読むのってめんどくさいんだ」

「ログ…?」

「そう、君の頭の上の四角いやつ」


頭上を見るがもちろんそのような四角いものはない。


「すまない、僕の権限で見えるようにするよ」


白装束の男がまたタイプはじめた。

打ち終わると白装束の男の頭上にチャットボックスが現れた。


「これがチャットボックス、僕が見ているものだよ、これはどうでもいいんだ本題に入ろう」

「本題?」

「そう、さっき僕は中間地点って言ったよね? どういう意味かわかる?」


白装束の男は優しい口調で俺に質問してきた。

多分、中間地点というのは地球とどこかの中間ということだろう。


「通路?」

「ブー、不正解」


白装束の男は胸の前で両腕を交差させバツを作って不正解といった。


「正解はあの世でした」


白装束の男は楽しそうに最悪な答えをいった。

あの世、つまり俺は死んだのだ。


「本来は君は天国に行ってもらうんだが、今回はちと特別でね」


天国でなければ地獄に行くのか?

最悪だ、俺の記憶が正しければやっと就職先が決まった日に死んだはずだ。

そのうえ地獄に行かなけばならないなんて、どこで人生の選択間違えたんだ。


「ん? 勘違いしていないかい? 君はエアにいくんだ」

「エア? 空気のことか? とうとう人外になるのか」

「違うよ、君の世界の言葉で異世界転生だったっけ?」


異世界転生、白装束の男はそういった。

俺が異世界に転生するのだ。

……あれ? なんで俺が特別なんだ?


「それは君の死因にあるんだよ」

「死因?」

「そう、君は信号無視した乗用車にひかれたんだけど、その時何か庇ったでしょ?」


そうだったか? 

死亡直前の記憶がないので、自分がどうやって死んだのかわからない。


「それ、僕の娘なんだよ」


娘? 中間地点の管理者も結婚はできるんだな。


「まあ、なんにせよ娘を救ってくれてありがとう、君は天国よりも異世界の方に興味があるんだろ」

「さすが管理者はよくわかってる」

「ありがとう、それと君には安全な生活を送ってもらいたいから能力を授けるよ、チートにならないくらいのを」


折角の異世界転生なんだチートで楽々生活してはもったいない。

こやつ、できる。


「まあ、でも、魔法の能力値は最大まで上げとくね」

「おい、チートは無しって」

「君にはお礼のついでに異世界の状態を治してほしいってのもあるんだ」


もしかして、娘というのは噓で本当はその世界を救ってもらいたいだけだったりして……これ以上考えるのはやめよう。


「いやいや、娘のことは本当だよ、なんなら今ここに呼ぼうか?」

「見てみたいけど面倒だしいいよ」

「そうか、連れないな」


何やらしょんぼりしている、見せたかったのか?

うーん、見るか。


「やっぱ、みたいな」

「そうかいそうかい、やっぱり見たいよね、おいでミケ」

「ハーイ」


どこからか声が響く。

後ろの壁からゴゴゴゴゴと音がなる。

振り返るとそこには碧眼の三つ編み金髪美少女がいた。

俺は先程まで無くしていた死亡直前の記憶を思い出した。

少女が横断歩道を渡ろうとすると信号無視の乗用車が少女に向かって走ってきた。

俺はその少女を突き飛ばした。

その瞬間俺の体が吹き飛ばされた。

痛みはある、だが感覚がない、体から暖かい液体が流れる感触がする。

体から大事なものが流れていく奇妙な感触を思い出した。


「うぼぇ! お! おえぇぇぇえええ!」

「え、大丈夫ですか!?」


頭が痛い、吐き気もする、とても気分が悪い。

頭が割れそうだ。意識が途切れる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「だ、大丈夫ですか?」


悪症状は治った。

あたもの後頭部が柔らかい、子供の頃母親にしてもらった膝枕を思い出す。

ん?


「膝枕?」

「良かった、目が覚めたんですね」

「うわぁ!」


俺は碧眼金髪三つ編み美少女に膝枕されていた。

驚いて顔を思い切りあげてしまった。

額と額だったら良かったが運悪く、唇と額だった。


「痛ッ!」

「うわぁ!」


最悪だ。

少女は唇を手で押さえている、うっすらと赤色が見えている。

恐らく俺のせいで唇を切ってしまったのだろう。


「ごめんなさい! 大丈夫ですか!」

「え、ええ、大丈夫です、気にしないでください」

「そ、そうですか」

「お父様は寝てしまったので私が手続きします、権限は私にもありますので」


そうなのか。

じゃあ、お願いするしかないか。


「じゃあ、魔法に関するステータスを最大でお願いします」

「わかりました、めんどくさいプログラムなので少々お時間をください」


めんどくさいって、根に持ってるなぁ。

まあ、恨まれるのは当たり前だけど美少女にこの反応されるのは残念だな。


「終わりました」

「全然時間かかってないじゃん!」


突っ込み終わると俺の足元に水色の魔法陣が浮かび上がり輝き出した。

その光はだんだん強くなっていった。

俺は自分に関係ない場所も光っていることに気づいた。


「あ! やば! プログラム間違えた! え! ちょ! 止まらない!」

「つまり俺と一緒に異世界を救うのか……頑張ろうぜ!」

「ちょ、嫌だー!」


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