召喚
今回初めて投稿しました。
更新頻度はランダムですが読んでいただいたら幸いです。
(全話の内容を大きく変更させてもらいました)
暑い……それしかいう言葉が見つからない。
確かに今年は異常な猛暑日が続くとは言っていたがここまで熱いとは甘く見ていた。
高校退学になって良かった。こんな猛暑日に登校だなんて死刑宣告もいいところだ。
「いらっしゃいませー」
やっとついた、片道三分のコンビニ。
あー、冷房が気持ちいい、こんな最高の環境で仕事ができるとは幸せだな。
俺はいつも買っている氷菓子…ではなく、夏限定! 五色かき氷を買うことにした。
「すぅいませぇん、今、氷が切れてましてぇ…」
氷が切れててなんだ、最後まで言え、それでも貴様コンビニ店員か。
俺はウォークから氷の袋を取り出しそれを買った。
「えっと…」
「これで、作って下さい」
「えーー」
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「ありがとうございました」
真夏のかき氷は最高だぜ。
この余った氷は……家で追加に作ればいいか。
「ただいま」
「おお、お帰りその氷はなんだ?」
「かき氷用」
「そうか、で、何人分作る気だ? それ」
何も気にせず最大サイズの物を購入したため、丼二杯分くらいは作れそうである。
「母さんと父さんの仏壇にそなえればいいだろ」
「ところでお前、カウンセラー大丈夫なのか? 確か一時半からじゃなかったか」
叔父に指摘され、時計を見てみると一時を回っていた。
この家から走って片道三十分ぐらいのところに俺の通っているカウンセラーがある。今の時間から出発しても間に合わないだろう。
「叔父さん車出して、車」
「仕方ないなー」
叔父の車は燃費の悪い中古の軽トラだ。
叔父は何度もキーを回すが中々エンジンがかからない。
「今日は気分が悪いみたいだ、電話で一時間ぐらい遅れるって連絡しとくから歩いて行ってきな」
片道三分でも地獄なのにそれを三十分だと、死刑宣告も同然じゃないか。
だが仕方ない、叔父は小一時間遅れると連絡するらしいから途中少し休みながら歩いていこう。
「行ってきまーす」
「おう! いってこい!」
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「あー、ちかれえた」
「いいですか犬走君、デートの待ち合わせは男性が三十分前につかないといけないんですよ、それなのに一時間も遅れるとは何事ですか!」
「どうせデートじゃないんだから遅れてもいいじゃないか」
「女性を待たせるなということです!」
そんなロマンチストだから彼氏ができないんだよ。
夢見すぎ、待ち合わせ場所に三十分前からとかめんどくさすぎ。
「ここは病院ですよ、三十分前に来たって他の待っている患者に迷惑なだけですよ」
「っち、じゃあ昨日の続きね、確か…」
あの? この先生、今舌打ちしたよね? あなた先生だよね? え?
「ああ! そうそう神話生物との遭遇だったわよね、はいロール振って……よ…で……、……で…の……」
何を言っているのか後半が聞き取れない、少々身体も熱っぽい、風邪でもひたかな。
それでも俺は渡された百面サイコロに少ない出目になることを願いながら回す。
……おかしいいつもはすぐ止まるのに今はやけに長く待っている。
サイコロの回転の勢いも弱まるどころか、どんどん強くなってきた、俺の視界が歪み始めた。
…………そして俺の意識はここで途切れた。