第2話:6660日前……兵庫県
通天閣で見回りを続けていたオレは、強力な魔力を感じ、西へと走った。
3分ほど走った先にあったのは、神戸ポートタワーだった。
その上には、あの黒雲……
オレは、急いでその天辺へと跳んだ。
そこにいたのは、やはりあの仮面の男……
オレのことを死んだとでも思っていたのか、オレの顔を見て驚いていやがる。
「貴様ー!何故、生きている?」
オレは、仮面の男に向かい、忍者刀を構える。
「いや、まずはこちらが明かすべきだったな。こちらは、あの塔から墜ちなかったから生きている。貴様は何故、生きている?」
ふざけているのか?どうも要領を得ないヤツだ。
「オレか……妙な夢を見ちまってな……それが気になって跳び起きちまった。」
「妙な夢?それは、悪魔や鬼や妖怪の出る予知夢か?」
「鬼は出なかったが、確かに悪魔や妖怪は……何故、夢の内容を言い当てた?」
ヤツの仮面の裏の唇がニヤリと笑うのが見えた。
「いやいや、妖怪と戦っている忍者だから、妖怪の夢かなと思っただけだよ。ボクは何にも知らないよ。」
ふざけたヤツめ……
仮面の男は、そう惚けたふりをしながら、上空の黒雲をムラサキに光らせる。
またオレごと雷で狙うつもりか……
オレは、忍者刀を背中にしまうと、風魔矢を仮面の男に向かって構えた。
「アレ~?お空の雷は気付いてないのかな?」
仮面の男が再び塔ごとオレを雷で狙ってくるが、オレの背後から風魔矢がまっすぐ天に昇っていき、雷と黒雲を吸いとる。
「しまった!仲間がいたのか!」
オレは、呆然と空を見上げる仮面の男の仮面を風魔矢で射った。
「違う!オレに、仲間などいない。お前の単純な戦法に対策していただけだ。」
オレは、塔を登る前、時間差で風魔矢が空に放たれるように仕掛けをしていた。
攻撃方法なんてわかってしまえば、対処方法はいくらでもある。
突然背後から矢が出てくれば、仮面の男も逃げずに隙を見せてくれるだろう。
仮面の男の仮面にはヒビが入り、そのヒビから冷酷な赤い眼がこちらを睨んでいる。
「単純だと?大事な仮面まで、こんなにしてくれちゃって……ボクはね、雷獣の力を奪っているものの、元々は大帝国の世継ぎだったんだぞ!……いいよ。戦法を変えてあげよう。大阪府といえば大阪城……大阪城といえば豊臣秀吉。では、その豊臣にもう1つミが付けば誰になる?来年の1月、この兵庫県で、そのどちらとも所縁のある場所で待ってるよ。では、バイナ~ラ!」
仮面の男は、煙玉を出し消えていった。