第11話:6420日前……和歌山県3
オレは、聖徳太子の地球儀モドキを使い、騎雷神を呼び出す。
どれだけ力があろうが、巨大カラクリで潰してしまえば、それで終わる。
騎雷神の全高は、およそ20メートル。黄金の龍の10倍もの大きさがある。
オレは、騎雷神に乗り、黄金の龍踏んだが……黄金の龍は、騎雷神に踏まれる寸前、仮面の男の胴体から黄金の剣を抜くと、突きの構えをとっていた。
黄金の龍の一突きで、騎雷神の右足が瓦解していく。
体制を崩し、倒れる騎雷神から脱出したオレを待ち受けていたかのように、黄金の龍が飛び上がり、斬りかかってくる。
オレは、咄嗟に忍者刀で防ごうとしたが、黄金の剣により、忍者刀は折られ、オレの体も斬りつけられた。
忍者刀ごと斬られたことで衝撃も少しだけ和らいだのか、何とか致命傷は防げたが、さすがにもう動けそうにない。
黄金の龍が、黄金の剣を手にゆっくりとにじりよってくる。
オレが自分の死を覚悟したそのとき、仮面の男の胴体が黄金の龍を抑えつけ、岩石封印の穴の中へと入っていった。
穴は、仮面の男の胴体と黄金の龍が入ると、閉じてしまう。
「あ~あ……黒乱破がこんなにやられて、ボクの身体もこんなんなっちゃって……絶対、クロヤンに怒られるよ……」
黒乱破か……
乱破:ラッパ
戦国時代に雇用されていた忍者の一種。夜討ちなどを得意とする暗殺部隊で、それを率いていたのは、風魔忍者とされているが……
「おい!」
首だけになってボヤく仮面の男に、オレは話しかける。
「どうせ、先に体力が回復した方か、仲間が救援に来た方が、倒す運命だ!少し話をしよう。」
正直、この傷では当分動けそうにないどころか、そう長くはもたないだろうし、仲間なんてくるはずもない。
それならば、自分の中にある疑問を少しでも減らしておきたい。
「イヤだ!貴様はまだ名前も教えてないじゃないか!」
そんな理由か……
「よし、ならばこうしよう。オレは名前を教えてやる。お前はオレの質問に答えてもらう。」
「いいよ。そうしよう。」
「よし……オレの名前は一騎だ。」
「イッキか……」
「名前は教えたからな……質問に答えてもらうぞ……まず、お前は宇宙人か?」
「うん。宇宙の忍者だよ。イッキは、風魔忍者だろ?」
「そうだが、何故それを?」
「その風魔忍術の源だからだよ。元々、宇宙で妖怪やら悪魔やらの魔なる者たちを封印していた忍者集団だったんだけど、その魔が集まりやすい宇宙の偏狭の星の地球に身を置いたボクの父上は、星を浄化させようと色々とやってたのさ……」
「色々と?」
「現地の人間に忍術教えたり、地球の魔なる者を封じたり……でも、この星は無限にそれがわいてくる負のパワースポットだったんだ……正のパワースポットでもあるからバランスがとれて気付かなかったんだけど……現地の人間たちからしたら、ボクたちが来たせいで魔なる者が活発になったようにしか見えなかった。」