第10話:6420日前……和歌山県2
オレは、仮面の男の持つ欠片の魔力を矢に封じた。
「ああ!ボクの術が!!」
ぼやく仮面の男の首に鎖分銅を締める。
「首が!首が!!く~び~がぁ~、取れちゃった!」
仮面の男は、首を取り外し、首の方はオレに向かって飛びかかり、胴体は首が無い状態で手探りでウロウロしている。
「さてと、龍脈の中心は、この辺りかなぁ~。大地に眠る龍神よ。このソードドラゴンに力を与えたまえ~。」
胴体の無い首がそう唱えると、首の無い胴体が、倒れた竜の怪物の前に剣を突き立てる。
「面白い。いい退屈しのぎにはなりそうだ。そんな術では、ここの龍神は呼び起こせないが、代わりに私が力を貸してやろう。」
空から黄金の光が刺し、剣が黄金に光り輝く。
「?あれ~?地面がガラガラ~っと割れて、巨大化するはずだったのに~あれ~?あれれ~?」
黄金の剣を抜くと、竜の怪物も黄金に変わっていく。
先ほどまでボロボロになっていたそれは、黄金の龍となり黒タイツどもを斬り捨てていく。
「何するんだ!ボクが鍛えた黒乱破に~!」
「回復は済んだ……もう、お前にも用は無い!」
黄金の龍は、仮面の男に剣をむける。
「もう許さないもんね。岩山に封じ込めてやる。」
仲間割れ……か……地球であれ宇宙であれ組織であれば起こりえるということか……
仮面の男が呪文を唱えると、地面に穴が開く。まるで風魔忍術の岩石封印……その穴の中に入れれば、封じこめることもできたのだろう。
だが、黄金の龍は、光り輝く剣を投げ、仮面の男の胴体を串刺しにした。
穴はふさがりはしないかったが、術の効力が弱まった隙に黄金の龍は、封印から逃れた。
こいつは、危険だ。オレの中で、黄金の龍に対する警戒心が強くなっていく。