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フラグは突然に③

「そうね、私も今回は自分の勘を信用しなくて良かったわ。


いつもなら1つ作業が多くなるからやらない方が良いような気がするし、いつも自分のその勘を信じてたけど、今回は違ったわね。」


いやー良かった良かったと笑い、堂々とした態度だが、俺の生涯を勘で決めようとしてたのかよ!ふざけんな!


「ま、結果オーライだし良いじゃない。私手の掛かる事とかって任せちゃうから今回は良く働いたほうよ?」


「ただの面倒くさがりじゃねーか!!ってダメだ!ツッコミ過ぎて話が進まない。

取り敢えず俺が何で此処に来たのかを教えてくれ。セレーナ…さん。」


頭痛がする。普通に話をしていてツッコミが追いつかないなんて初めてだ。いや、状況が状況だけに俺も混乱しているのだと思う。


「セレーナで良いわ。

そうね、じゃあ真面目に話をしましょうかしら。」


とセレーナが頭上を指差すと其処に巨大なスクリーンが現れる。いきなり現れるもんだから超びびって、「うおっ?!」って叫んだのをセレーナは無視したが、口元がヒクついてるのが見えるぞ!すいませんね!俺ビビりなの!


「ぷ、ごめん、ごめん。取り敢えず、まず蓮くんを連れて来た理由と行き先を教えるわ。さっきも言った様に別の世界に行って貰うため、そして行き先はこの世界よ。」


セレーナが指差すスクリーンを改めて見ると其処には地図が映し出されていた。

地球の地図と変わりないと思ったが大陸の形がかなり異なる。


「この世界は蓮くんが来た世界と違って、凄く小さいの。地球ぐらいの大きさしかない世界で、人間以外にも多くの種族がいるわ。蓮くんが想像してる様な種族もいるわよ。」


「マジかよ!」


俺が想像してたのはもふもふのケモミミ少女の姿だ。まさかそんな楽園があるだなんて…ケモミミ最高!


「男もいるけどね。」


「だまらっしゃい!ほら、説明、説明!」


「はい、はい。


あと、この世界は魔法が使えるし、魔法が進み過ぎたせいで、科学は余り発達していないわ。そのせいで文明はそこそこ止まり。蓮くんの世界では中世ヨーロッパあたりかしら。」


「テンプレだな。」


うんうんと頷く俺。よくある剣と魔法の世界なのだろう!最近俺も小説とかでよく見るしな!


「そうね。最近多いのよね。大体異世界転移するのってその世界の上位権限者である神が世界に刺激を与える為なの。

大体ここら辺で文明って止まっちゃうから更に進化を促進させる目的で入れるのよ。だから転生や転移先の行き先の文明ってこの時代が多いのよね。」


「へー。そうなのか。」


大変なんだな神様も。会社みたいな感じでやっぱりノルマとかあるんだろうか。とか思っていたがセレーナの説明が続行された為慌てて耳を傾ける。


「後は、その世界に行ったら分かると思うし、ナビゲーターも付けておくから大丈夫だと思うわ。まぁ、後はこの世界で蓮くんにやってもらう事の説明ね。此れ超重要だから耳をかっぽじって聞いてね!」


耳をかっぽじっるなんて一言も言わなさそうな美人がテンション高めにそう言っているのを見て、やはり見た目が全てじゃないと。人は中身が大切なんだと思わされた。


だが、確かにセレーナの言っている事は重要だ。異世界に行く目的がなんなのかを把握しきれずに目的が達成出来ないなんて事態になったらどうしようもない。


此処は耳をかっぽじってよく聞くべきだ。


それに、セレーナは世界に干渉できる程の力を持っている様だし、きっと目的も重要なものなのだろう。

そんなワクワクしている俺にセレーナは口を開く。



「異世界に行く目的は…フラグの回収よ!!!」


「すみません。帰っていいですか?」


「何故!!そしてなにゆえ敬語!!?」


ビシッと俺を指差し格好を決めたのは良いが俺の回答に戸惑って椅子から立ち上がっている。


俺はあまりの衝撃に敬語になってしまったが、もうどうでも良い。

取り敢えず、セレーナに背を向け出口を探そうと歩き出していた。


「ちょっと!ちょっとまってってば!」


ダダダッと足音がしたかと思うとズサっと結構重めのものが地面に擦れる音がしたため振り向く。


其処にはセレーナが俺の足元で転けていた。というかいつの間にか足を掴まれている。ナニコレ怖っ!貞子かよ!


「ちょっ。離せ!俺は帰る!」


「何でよ!異世界に行けるのよ!チャンスじゃない!一回行ってみたら人生変わるわよ。素晴らしい所なのよ!行きましょーよ!」


「宗教の勧誘かよ!?能力も与えられない上にフラグ回収ってなんだよ!俺は行かねーぞ!!」


とセレーナの動きがぴたりと止まり、ゆらりと立ち上がった。髪で顔が隠れて超怖くなっている。思わず後ずさってしまった。


「そう、なら仕方ないわね。本気の私の力を見せるしかないわ。」


や、やばい。怒らせた。セレーナの後ろからは某漫画のゴゴゴゴゴという効果音が聞こえてきそうだ。オーラがやばい。


此れは一回謝った方がよいか?


「 うっ。セレーナごめ…」


「見なさい!此れが私の本気の…!!」


ダンッと地面を蹴り宙に舞い上がったセレーナ。


そのまま地面に五体投地し、衝撃で俺は目の前のものを受け入れられない。

セレーナは面を上げ俺を見てニヤっと笑う。


「どう!?


此れが本気の私のジャンピング土下座よ!!」


頬に一筋の涙が伝うのを見て俺は痛さのせいなのか恥ずかしさのせいなのかどっちだろうと思ったが、それ以上の強い思いに俺は揺さぶられていた。


そう、セレーナの五体投地で俺も考えを改めたのだ。こんなセレーナを見て思わずにはいられようか。


グズグズのセレーナに俺はこの思いを伝えるべく笑顔で話しかける。



「セレーナ…絶対に俺は…帰る!!」


帰ろうと思っていた。だけどそれはなにをどうしても、倫理を欠いてまでも帰るとは思っていなかったのだ。


だが、セレーナの必死の五体投地を見て考えを改めた。こんなダメな大人に付き合っていたらダメになる!何が何でもなにをしてでも絶対に帰ると!!



「なんでよー!!」


「なんでもクソもあるかー!!17のガキに本気の土下座して恥ずかしくないのかよ!

俺はプライド高い奴は嫌いだけどプライド持たないやつも嫌いなの!!」


「だって、土下座くらいしかできないのよー!!今更行かないとかって詐欺よー!最初、蓮くん異世界に行くの乗り気だったじゃない!」
















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